お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第1話「海と大地のまんなかに」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらコメントお願いします。

 

当然ながら、以下ネタバレありです。

 

はじめに、主要人物の紹介。
名前(ふりがな)→本ブログでの呼称

先島 光 (さきしま ひかり) →光
向井戸 まなか (むかいど まなか) →まなか
比良平 ちさき (ひらだいら ちさき) →ちさき
伊佐木 要 (いさき かなめ) →要
木原 紡 (きはら つむぐ) →紡くん

どうして紡だけ「くん」づけなのかと不思議に思われるかもしれないが、どうか気にしないでほしい。大した問題じゃない。

 


さて、本編へ。(以下ネタバレあり)

アニメに限らず、第1話というのは説明的になる。
それはそうだろう。人の名前から舞台設定から時代背景から、なにからなにまで視聴者に理解してもらう必要があるからだ。

なにからなにまで、というのは語弊があるかもしれない。しかし物語の中枢というか根幹というか、展開される軸となる部分を見せておくのは、1話における最低限の義務となる。


そういう意味で、光が玄関を開けた直後、海中の世界が広がる風景によって「あぁ、これは海の中に住んでいる人たちの物語なのか」と即座に判別できる。

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光→まなかの構図も1話開始直後に判明

家を飛び出した光の発言。
「やっぱ今朝はしょっぱいな」
これは海の中の世界ということを強調しているのか。単に作った朝食がしょっぱかったのか。あるいは「情けない」「いやな」の含意があるダブルミーニングなのか。

朝食であれば「今朝はしょっぱかったな」になるので不適合か。

 

そして上記のセオリーは人間関係にも適応される。

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この構図がいい。
ちさき→要→まなか(まなかだけ木の向こう側)

 

これはOP映像など、のちのち気づくのだが、光はまなかのことが好きである。そしておそらくちさき→光の構図もあると思われる。
1話からアクセル全開だな、という情感は置いておき、こういう立ち位置にも合理性があるというか、手を抜いていない感じ。今後が大いに期待できる。

後ろの「塩」は駄洒落か?

 

この場面の直後、カメラはちさきの胸をアップするのだが、これが何を示しているのかまったくわからん。けれども悪くないだろう。

 


まなかだけ置き去りに、3人は陸に上がる。
背景に映る古びた橋脚から察するに、昔はずいぶん発展した都市であった可能性。あるいは今の陸地が最近まで水に浸かっていた可能性。

「やっぱりまなかが心配なんだ」
ちさきの言動からは彼女自身、光がまなかを好いていることを知っているようにも受け取れる。横恋慕とでもいおうか。


そして紡くんの初登場シーン。と同時に、まなかとの出会い。

光のモノローグ。
「俺は見てしまった。誰かと誰かが特別な出会いをした、その瞬間を」

これが普通ではないことはなんとなくわかる。
が、海の中に住んでいる人間という設定自体がファンタジーなので、そこまで特別な出来事なのかはちょっとわからない。

 


この日から転校らしく、4人は自己紹介。
光は、まなかが運命の出会いをしたと思われるその相手(紡くん)が同級生で、あきらかに不服そう。

4人の自己紹介。
「ひ、比良平ちさきです。地上の生活に早く慣れることができたらいいなって思ってます。よろしくお願いします」
「伊佐木要です。どうも」
「先島光。地上の奴らは豚臭いっすねー。よろしくブヒィー」
「(まなかは、かませなかったためにタイムアウト)」

これはクラスメイトと同時に視聴者に向けての自己紹介でもある。
この数十秒のくだりで、おおよその位置関係だったり性格だったり、いわゆるペルソナを理解してもらう役割。

女子更衣室でのくだりは、自己紹介の延長であるように思う。
ちさきはお姉さんタイプで、まなかは必然的に妹。

物語の特性上、姉の立ち位置を担う人物は報われないことが多い。自分の気持ちよりも、守るべき対象を優先してしまうからである。
というか、ちさきの髪色が「青」である時点ですでに負けフラグが立っているのがつらい。


一方の男子は、マラソンの練習でしょうか。
まなかの興味はもっぱら紡くん。海の反射と相まって、キラキラ輝く描写が恋心を匂わせている。


学校の帰り道。
光の姉であるあかりは以前より地上の店で働いているようだ。

そこでガム文字を残す小学生2人組。のちのち物語に関与してくることは疑う余地がない。


海に戻ってきた光。
うすうす勘づいてはいたが、というかそれ以上に海と陸の軋轢は大きそうである。
そうして考えると、陸にあったあの錆びた橋脚は、地上と海をつなぐ役割が機能していないというメタファーとして捉えることも可能であろう。

 

ここで出てきた「おふねひき」の説明。 

むかし、人はみんな海に住んでいた。でも、陸にあこがれた人間は海を捨てた。海で暮らせるように、海神様がくれた特別な羽衣を脱ぎ捨てて。
陸に上がった人間たちには数々の苦難が待ち受けていた。日照りが続き、水を求めて争いあう。これを海神様が怒っていると考えた人間たちは、少女を生贄として舟に乗せ、海に流した。
これが「おふねひき」の始まり。今じゃ生贄じゃなく、米やら菓子やらだけど。
海に住む俺らは、海神様と生贄の女がやらかした、その子孫らしい。

 やらかしたって、おい。

 

「エナ」というのがどうやら上の「海神様がくれた特別な羽衣」でしょうね。

そしてまたまた新出単語の御霊火とは、こはいかに。

ついでに誰だようろこ様。生ける神仏的な存在だろうというのは予想できるが。

と思ったら直後のシーンで解説。
光「神様じゃなくて海神様のうろこだろ? 俺たちがまた地上の奴らみたく変なことしないか、見張ってるって」

昨今は様々な擬人化がされているが、よもや鱗の擬人化もあるとは恐れ入る。

うろこ様いわく、まなかは発情期だそう。きっかけは間違いなく紡くんでしょうね。

 


翌朝。
「まーなーかちゃーん」の呼びかけに応答なし。光がずかずか部屋に押し入ると、まなかに呪いがかかっていた。
うろこ様、たしかに「呪うぞ!」と言っていたものの、えげつない。。。


光はまなかに対し「俺が守らなければ」という強い信念を抱いている。
「細っせえ足...」というつぶやきは、彼女の頼りなさや寄る辺なく立ち上がれないことを確信している証拠である。
だからこそ、まなかが紡くんに惹かれている=庇護下にいたはずの人間が、自分の思い通りにならないことに強い抵抗がある。

だが悲しいことに「ひーくんはいいの!」は異性として見ていないということなので光終了のお知らせ。


画面変わって、まなかの逃走シーン。
通例、現実逃避は自己保身であるから、走る方向は画面右側を向く。

しかしまなかの進行方向は画面左側。つまり物語のはじまりを示している。
この例として分かりやすいのが、となりのトトロのオープニング。暇な方は見返してみてほしい。

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派手に転んだまなかの皮膚が剥がれ落ちている。
まなかを探すちさきは「エナが乾いて」と頭痛を訴えている。

どうやら海の人々が地上で暮らすには制限があるようだ。そしてそれは海に浸かると解消される。
おそらく、皮膚の上にエナと呼ばれる薄い膜があり、それが乾く=地上に長く居続けると体調に障る。きっと放置すると命の危険もあるはずだ。


要とちさきの会話
「なんか、敵わないな」
「傍から見てると、ちさきと光のが夫婦って感じに見えるけどね。まなかはふたりの子供って感じ」
「えっ?」
「それにさ、このまま、もしまなか居なくなったら、光の隣にいるのはちさきでしょ?」

 

理解できない点が3つ。

ひとつめ。なぜ要は「夫婦」と表現したのか。中学生であれば普通はカップルとか恋人と言うはず。
ふたつめ。最後の要の発言。友達としてはちょっとあり得ないというか、さらっとそんなことが言えてしまうあたり人格破綻レベル。
みっつめ。そもそもどうしてちさきが光に好意を寄せていることを要が知っているのか。

 

だがこの3つの問題は、「要がちさきを好いている」という仮説によって解消できてしまう。

 

主人公の光が「感情」で動くタイプであれば、要は「理性」で動くタイプである。
つまり要はちさき同様に負けヒロイン属性を備えている。男だからヒロインではないが。

そして要は自分の恋が実らないことを皮肉って、夫婦と表現したのではないだろうか。まぁもしかしたら「まなかはふたりの子供って感じ」ということを言いたいがために夫婦にした可能性も大いにあるが。

最後の発言は自己保身のため。そういうこと言っているとあとで辛くなるのは自分だからやめたほうがいいと思うんだけどなぁ。

 

仮説とは言いながら個人的には確信しているというか。物語的にもそちらのほうが面白いし。
恋心とは、えてして(敵対関係にある)第3者の介入で自覚するものである。すると、要がちさきを好きになったとき、ちさきが光のことばかり見ていたら、否が応でもその事実に気付かざるを得ない。

なにより、まなかが生命のピンチかもしれないときに、ちさきを心配してその後捜索を再開しないってことは、ちさきと2人でいることのほうが彼にとっての優先度が高いはず。


そして倒れたまなかの元に、案の定紡くんが再ログイン。なぜ「野草」の図鑑を持っている?

紡くんは両親ではなくおじいさんと暮らしているらしい。あるいは共働きで帰りが夜遅いとか。
そしておじいさんは海の暮らしに詳しそう。

※この後の紡くんの無自覚イケメンコメントは諸事情により全スルーします。


場面変わって、光と再会したまなか。
「紡くん」呼びに怒りを覚える光。

 

最後の光のモノローグはむしろ説明的すぎるというか、不要だったのではないか。
そのくらいは前のシーンから予想できるだろうし、視聴者にそういった解釈の余地を与えるのも重要だと思う。

 

EDで本編終了。
OPでも思ったが、まなかが主人公のような映像が多い。
まぁ光の物憂げな表情をスローで流されても、てな気もするので良いが。

 

 

第1話終了。

残った謎は以下の通り

・御霊火とは
・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは

 

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