お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第16話「遠い波のささやき」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光が裸になっていた理由

 

↓前回の記事↓

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物語は後半に入り、今やおふねひきから5年後の世界。
毎話長ったらしく感想を書きながらも、正直なところ前半部分はあまり惹かれていなかったのだが、ここ最近はとても面白い。

おふねひきやら冬眠やら、少々話の展開が無理やりに感じるところはあったが、きっとこの物語でははじめから5年後の世界を描きたかったのでしょう。
そのための牽強附会だとするならば、多少の無理に目をつぶることくらい容易い。

また、当初は主人公を中学生にした理由が不明だった。心の揺れを表現したいならば、高校生の方がはるかに都合がよいはずだと。
しかし構想段階で5年後の世界を描くことが決まっていたならば、主人公を中学生にする必要がある。

ここ数話でようやく世間の評価に自分が追い付いてきた感じだ。

 

 

以下ネタバレあり。

 


さて、本題に戻りまして。

冒頭は光の転校シーンから。

「ダブりの先島です。どうぞ先輩と呼んで尊敬してください。タメ口利いたら体育館裏な」

「よろしくブヒー」と啖呵を切っていた1話とあえて対比させている描写が多い。
が、今の光は同じようなセリフを吐いても笑いが起きる。

それは、これまで光が地上の人間と接して絆を深めてきたからにほかならない。
そして同時に、地上が海村の人間に歩み寄っている影響も大きい。

初対面の相手をイジっても場が白けてしまうように、冗談を言うにせよまずはお互いの信頼関係が重要なのだ。
違いますよ、経験談ではありません。


美「光は、いつもの光だった。いつもの光のフリをする光だった。それなら私も、いつもの私のフリをしようと思った」

これは負けフラグ
勝ちヒロインとは得てして、主人公が曖昧にしている部分や隠したいこと、見ないようにしていることを無理くり白日に晒して、喧嘩してでも向き合わせるもの。
つまりは主人公と運命共同体にならなければならない。

とはいえ、美海は光の親戚。

「そういえば先輩って、おじさんになるの?潮留の」

このセリフの直後に映し出されたのは、13話にて美海に告白して見事に玉砕した峰岸くん。

今の美海には想われ人がいて、光のいない5年間を過ごしてきた。
きっと光とくっつくことはないと思うので、最終話には髪を切って新しい道に進んでいただきたい。

光は光で「いつものフリ」ができるくらいには立ち直っているらしい。前話ラストでちさきと会ったことが大きいのだろう。

 

場面変わり、学校からの帰路。

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初々しいカップルみたいな会話を繰り広げる2人を見ないように全速力で通過する峰岸くん(笑)

その後、峰岸くんから何かを伝えられた美海。
そんな彼女を妹のようにからかう光たちが家に着くと、そこには紡くんがいた。

 

紡「着られるようなら使ってください。卒業したときのものだから、少し大きいかもしれませんが」

 

光が帰ってきて目の前にいるというのに、あかりに向かって話し続ける紡くん。
ちさきを好きな紡くんは、その彼女が恋している(と思っている)光に対して思うところがあるようだ。

 

※このあとのあかりと至さんのいちゃこらシーンは、個人的に思うところがあったのでスルーします。


翌朝。
光は制服を新調しに、美海とさゆと一緒に街へ赴くことに。

おそらく10時の待ち合わせだったのだろう。
さゆが待っていると、10分遅れで光と美海がいちゃいちゃしながらゆっくりやってきた!

「お昼何にしようか!」という会話を10時過ぎに、しかも町に到着する前にしてしまうあたり、美海は相当浮かれている様子。
さゆの怒りゲージがじわじわ溜まってゆくぅ。。。

声優さんの演技も口角の上がった声というか、普段さゆと会話する時とは違う声調。

街に着くと、光が「ここも変わったなぁ」と漏らすほどさびれていた。
5年前の街は「塩水あります」なんて看板がすぐに目に入るほどだったので、海の人間が経済を支えていた側面もあったのだろう。


美海お気に入りの靴からは歩くたびに妙な音が漏れ、光は「屁靴かよ!」とイジり倒す。

この音とこの感じはどこかで・・・と思っていたら、これは1話でまなかがうろこ様に呪いをかけられた「ぎょめんそう」だった。

ぎょめんそうは、当時のまなかにとって紡くんと自分とを繋ぐキーであった。
そして今、美海にとって光は同い年で憧れの存在。

まなかにとっての紡くんが、美海にとっての光なのでしょう。
言い換えれば、5年後(物語後半部分)のメインヒロインは美海であるということかなぁ。すでに負け確だけど。

 

さ「自分はいいよね!好きな人、目覚めて」

 

ついに爆発してしまったさゆ。無理もない、あれは切れても良いレベル。

美海は光にしか目が行っていなかった。
冒頭のセリフ「私もいつものフリをしようと思った」はどこへやら。これは好きな気持ちを隠したままにするという意味合いと捉えればわからないでもないが、それでもさゆにとって今の美海は全然いつも通りじゃない。

待ち合わせに遅刻するわ、電車では終始光と会話しているわ、仕立屋ではあたかもさゆがいないかのように「外で待ってる」と店を出てしまうわ。

美海は上の言葉を聞いて、ようやくさゆの気持ちに気づく。
が、そこは中学生。意地の張り合いで、すぐに仲直りできずに美海は走り去ってしまう。


さゆはしゃがみ込んで泣いてしまう。その様子が5年前の小学生っぽくて個人的にはちょっと安心。
大人ぶっていた小学生が5年経ち中学生になって、言葉に行動が追いついてきたのが逆に違和感だったので(笑)

光は第1話から15話にかけて、様々な試練を乗り越えて成長してきた。
一方の美海とさゆは、第1話の光たちと同じところからのスタート。

光が後半部分から妙に大人っぽく見えて、美海が光と同じ土俵に立てないのはこれまでに積み上げたものが違うから。

 

 

電車に乗り遅れて途方に暮れていた光たちのもとに、タイミングよく狭山が通りかかる。
泣いている少女を荷台に載せて、狭山に送ってもらうことに。

その途中、第5話にて光が美海を篭絡させた場所に差し掛かる。
ピンと来た光はそこで降ろしてもらい、事案が発生した場所に向かった。

 

案の定そこで落ち込んでいた美海と合流し、話していくうちにいつもの調子を取り戻したふたり。
美海が靴を投げると突如、古びたクレーンのネジが外れて倒れ始めた。

後ずさった美海はそのまま海に落ちてしまう。
が、「何の音?」と思った瞬間、彼女は海の中で呼吸ができるようになっていた。

この音は、14話にて美海が光の出現場所を察知したときと同じ。
本話で美海の中心人物としての立ち位置がより堅固なものになったので、この音についてもいずれ解明されることを願う。


紡くんがまなかを地上に2度引き揚げたように、今回で光も海に落ちた美海を2回助けたことになる。こういった対比があると面白いですよね。

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光が美海を助けるシーン

だが、この後の展開はちょっとどうなのか。
美海とさゆの喧嘩の直接的な原因を作ったのは、さゆが突っかかったことだとは思う。
しかし元をたどれば、美海がさゆを蔑ろにして光といちゃこらしたところに根があり、そのことを美海が反省して自分から謝りに行くのが自然な流れ。

さゆは美海が大好きなので、光が車を降りたとき、狭山に言って自分も降ろしてもらったのだろう。
だから、さゆの方から会いに来る展開は良い。

問題は、美海が自分から会いに行くアクションを起こさなかったことではなく、その決意すらしていないこと。

おまけに、さゆと再度対面したときは泳げるようになってハイテンションの状態。
さゆは美海と仲たがいしたことを引きずって鼻水まみれなのに、本来謝るべき人が、そのことをそっちのけではしゃいでいる状況。

これは・・・どうなのかしら。

さきほど、ぎょめんそうがまなかと紡くんの間を取り持っていたと書いた。
別の視点から見ると、ぎょめんそうによりまなかと光の間には一時的な溝が生じていた。

今回は、美海とさゆの間に溝が生じ、そしてさゆから歩み寄る形で解決している。
美海のネガキャンなのか、さゆの好感度底上げを図りたかったのかは謎だが、メインヒロインとしてはちょっといただけない形になった感は否めないだろう。


そして美海が例の音を聞いたということはつまり、誰かが目覚めたということ。
あの男の凱旋である。

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要「すみません、今日っていつですか?」


・・・ターミネーターかよ。

というか、先に聞くべきは「服貸してくれませんか?」では?(笑)

 

 

  • 結局制服を作らなかった光

本話の主軸は美海とさゆの関係性でも要の帰還でもなくて、光の制服である。
制服問題を軸に紡くんの複雑な心境が浮き彫りになったり、さゆが不機嫌になったり、美海がエナを獲得したりした。

だとすれば、制服を作るというのは単なる舞台装置という考えもあるだろう。
が、これは光や美海の気持ちの暗喩でもある。

何の暗喩かというと、恋心でしょうね。

光ははじめから制服を新調することに否定的だった。
美濱中学の制服を作るというのは光にとって、海を捨てるのと同義。

つまり、まなかを諦めるということ。
まなかが目覚めていない今、踏ん切りのつかない光はどうすべきか当惑している。

光「迷子になったらどうすんだよ」
美「迷子になんてならないよ!」
光「俺が迷子」

光は、額面どおり地上と海の間で迷子なのだ。


仕立屋では波路中学の制服を頼もうとするも躊躇ってしまう光。
そこに助太刀したのは、美海。

美海は、光がまなかを好きと知っている。
自身も光が好きなのに、光の恋路を応援するという負けヒロインぶり。

その後、自己矛盾に耐えられず店を出てしまう美海さん。今後も苦労が続きそうである。

 

残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)

 

  • おまけ

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仕立屋のおじさんが谷村新司にしか見えない件。

 

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