お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第23話「この気持ちは誰のもの」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

冒頭。いつも通りのようでいつも通りじゃないまなかを見て、浮かない表情の光くん。

「光、よく分かったじゃろ?世の中にはどうにもならんことは確実にある」

うろこ様の言葉を思い出し、その目からは涙。

この言葉はひどく刺さる。

個人的にうろこ様という存在は、ある種「原作者」と「視聴者」を往来するような立ち位置ではないかと考えている。
要するに「なんでも知っている」存在だ。

ときに原作の代弁者として用語や現象の説明をしたり、ときに視聴者と同じ目線(全員の心情を把握した状態)でストーリーを展開させたり。
うろこ様は神様的な存在なので、ギャルゲでいう「お助けキャラ」や「主人公の友達」だろうと何ら問題はない。

だからこそ、これまで色々な思いで光が踏ん張ってきたことを知っている視聴者の立場から、うろこ様が「どうにもならんことは確実にある」と言うのは重みが違う。

そして同時に、そういった「どうにもならないこと」をぶち壊すのが主人公というもの。
アニメの世界では「どうにもならないこと」は「どうにかなってしまう」。そこに活路がある。

ということで、本話は「だってまなかは紡くんが好きだし~」とウロウロしていた光だが、次話以降はちゃんと主人公してくれるはず。


くよくよしていた光に、美海が助け舟を出して二人は一時的に退散。

「(まなかが告白したかった相手は)俺じゃないかって?それはないかな。絶対にないんだ」

まぁ、たしかに光は公開告白して逃げられているし、抱きついたときに「いやっ!」と拒絶されているし、そういう結論に至るのも・・・え、なにこの黒歴史。やだかわいそう。

ストーリー展開から見ても、光とまなかがくっつく(にせよ、くっつかないにせよ何らかの着地をする)展開になるのは最終話である26話だと思うので、光は1回休みにしておくのが自然。
本話ではむしろ光以外の登場人物の恋模様が大きく進展している。


このあと、美海の提案によりみんなに相談を持ち掛けることにした光。
といってもこの構図。

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光が相談を持ち掛けたい相手というのは、(まなかの想い人だと光が思っている)紡くんただひとり。

前話までの展開から、本話ではみんなで協力してまなかの問題を解決しようと動き始めるだろうと思っていた。
が、まさか紡くんと光を対立させる構図にするとは。

この談合におけるちさき、紡くん、要のセリフは、なるほどたしかに「友達としてどうなの?」とは思うものの、対立構造を生み出すギミック上で必要なヒール的役回りに徹しているだけなのでセリフ回しはあえて追わない。

とはいえ、触れずにはいられないのがさゆ。
要に対して「大人ぶるな!あんただって子どものくせに!」

そう、要が紡くん・ちさきサイドに与するのはおかしい。
だって凪のあすからは海と陸の対立や大人と子供の対立や、そういったしがらみを越えゆく物語である。

だから14歳の要は本来、光サイドにいるべきなのだ。
そんな当たり前のことを、視聴者の僕でさえ何も思っていなかったことを、さゆは「間違っている!」と叫んだ。

それはさゆが要を好きだからという理由以外にないでしょう。
そして要のこの表情。

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さゆが怒りはじめたときには「さゆちゃん、」といつもの宥めるような(大人びた)口調だった彼が「大人ぶるな!」という言葉にはっとしている。
要はずっと最後尾を歩いていたつもりかもしれないが、さゆは要をずっと追いかけてきて、そんなさゆがようやく要と同じ土俵に立てた。

これは個人的にとてもうれしいニュースで、次話以降が気になるところ。
ちなみにこの後、告白の決意を口にしたシーンは、2話にて要がブランコを飛び降りた場面をなぞっている。こういう細かなこだわりがとても好き。


部屋を飛び出した子どもサイドは、そのあとまなかたちと合流し、海に向かった。
そこでまなかがウミウシの吐いた白い石を発見する。

といってもこれが「まなかの気持ち」である証拠はどこにもないのだが、まなか自身が「あれ何だろう?」と見つけたことや、光が確信していることから、間違いなくまなかがウミウシに話した気持ちなのでしょう。

ここでまなかが第一発見者になったのは意外と大きな出来事なのではないかと思っていて。
というのも、張本人が自身の失われた気持ちを見つけることができたからである。

たとえば光が「あの光っているものはなんだ?」と最初に見つけていたらば、この先の話は変わってくる。
まなかが自分で気づいて、そして興味を示したこと。それがとても重要なのである。


そのあとのシークエンスは美海のターン。といっても、決して前向きではないのかもしれないが。

「好きになれければ苦しくならない」

5話にて美海が叫んだセリフである。
美海すら忘れていたそのセリフを、気持ちを、光は憶えていた。

「この間」と言っているくらいなので時間的なアドバンテージはあるものの、重要なのはそこではない。

光が美海のことをちゃんと認識して、そしてその想いに感化されて行動すら変えていたこと。美海にとって、かなりの衝撃だったのではないだろうか。

ここからはあくまで推論。考察ではないのでスルーしていただいて構いません。

美海は自分の恋心を押し殺していたので、光に「自分の気持ちを知ってほしい」だとか「気づいていてほしい」だとか、そういった振る舞いはしてこなかった。
とはいえ、まなかしか見ていない光を想い続けるのはしんどく、心の内では「私のことも見てほしい」という願望があったはずである。

しかし、実のところ光はちゃんと美海を見ていた。
光の中に美海はちゃんといて、自分が光の心を変えていたことを知った。

つまりどういうことかというと、見事なまでの失恋である。

美海は、光が自分のことを見ていないと思っていた。だからその思いは一方的で、届いているはずがないと。
けれども光は美海をちゃんと見ていて、そのうえでまなかを選んでいたのである。

光のなかに美海という存在がちゃんといることが、彼女は心底嬉しいはず。
けれども同時に、それは自身の恋の終着地を告げたのではないだろうか。

このシーンのあとから、美海のまなかに対する態度が変わっているのは、そういた心境の変化も手伝っている気がしてならない。
こんなことを言って美海が次回告白とかしていたら、それはどう言い訳すれば良いか分からないが。

 


●ちさき×紡

光たちと対立する立場になったふたりの恋模様は、本話にてかなり進展した。

ちさきは「好きの心がなくなったらホッとする」と言っている。
それは誰かを選び、誰かを選ばない選択をしなければならないから。そして、自分が変わってしまった(紡くんが好きと告げる=光を好きな自分ではいられなくなった)と認めなければいけないから。それが彼女にとっては恐怖なのである。

要は5年前、「別に答えがほしいわけじゃないんだ」とは言いつつも彼女への好意を口にしている。
そしてその想いが変わっていないことをちさきは知っている。
そこへきて、紡くんが新規にエントリーしてきた。二者択一だ。曖昧ではいられず、誤魔化しも効かず、どちらかを振らなければならない。

唯一の逃げ道とすれば「まだ光が好き」と嘘をつくことくらいか。
つまり、誰も選ばない選択をすること。

しかし、紡くんがあんなかっこいい告白をした直後なら、きちんと向き合ってほしい。
というか、あんなに情熱的な紡くんは初めて見た。彼があそこまでしたのだ、いい加減、答えを出す方向に持っていくに違いない。

だとすれば、次回は5年前にプレエントリーを済ませた要の本エントリーが必要になる。
ふたりが跪いて手を差し出し、ちさきはどちらかの手を選ばなければいけない。

そうなると、紡くんが選ばれる展開になるとは言い切れないが、要が選ばれる展開にはならないと断言できる。
そこで登場するのが、本話にて堂々のヒロイン昇格を果たしたさゆだ。

要はもう彼女を年下の女の子扱いできなくなってしまったので、彼らの関係性がどう転ぶのかは楽しみ。

 


●海という言葉

本話は、光以外の登場人物が「誰かを想う心」に向き合う回であったのと同時に本作品における「海」という言葉の定義を考えさせられるものであった。

印象的だったセリフは以下の通り。

「なんかね、耳の奥で波の音がすごいする感じして」(まなか)
「ウミ」(魚面相)
「お前のこと海みたいな奴だって思った」(紡くん)

凪のあすから」のメインテーマにも関わる話なので本話限りでは結論は出ないが、海と恋愛という事象が密接に関連していることは間違いないでしょうね。

紡くんがエナを獲得した理由、というよりエナを獲得する人間の条件にも関係するところでしょうが。

そもそもどうして「海の人間」と「陸の人間」の物語を描いたのか。
彼らは何のメタファーとして描かれているのか。推測はいくらでもできるでしょうが、そういったところが明らかになると嬉しい。

残すところ3話だが、この物語が何を伝えたかったのかに対して、海と陸の対比が必要不可欠であった理由が判明してくれると嬉しいなと思います。

 

 

残っている謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

 

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