お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第23話「この気持ちは誰のもの」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

冒頭。いつも通りのようでいつも通りじゃないまなかを見て、浮かない表情の光くん。

「光、よく分かったじゃろ?世の中にはどうにもならんことは確実にある」

うろこ様の言葉を思い出し、その目からは涙。

この言葉はひどく刺さる。

個人的にうろこ様という存在は、ある種「原作者」と「視聴者」を往来するような立ち位置ではないかと考えている。
要するに「なんでも知っている」存在だ。

ときに原作の代弁者として用語や現象の説明をしたり、ときに視聴者と同じ目線(全員の心情を把握した状態)でストーリーを展開させたり。
うろこ様は神様的な存在なので、ギャルゲでいう「お助けキャラ」や「主人公の友達」だろうと何ら問題はない。

だからこそ、これまで色々な思いで光が踏ん張ってきたことを知っている視聴者の立場から、うろこ様が「どうにもならんことは確実にある」と言うのは重みが違う。

そして同時に、そういった「どうにもならないこと」をぶち壊すのが主人公というもの。
アニメの世界では「どうにもならないこと」は「どうにかなってしまう」。そこに活路がある。

ということで、本話は「だってまなかは紡くんが好きだし~」とウロウロしていた光だが、次話以降はちゃんと主人公してくれるはず。


くよくよしていた光に、美海が助け舟を出して二人は一時的に退散。

「(まなかが告白したかった相手は)俺じゃないかって?それはないかな。絶対にないんだ」

まぁ、たしかに光は公開告白して逃げられているし、抱きついたときに「いやっ!」と拒絶されているし、そういう結論に至るのも・・・え、なにこの黒歴史。やだかわいそう。

ストーリー展開から見ても、光とまなかがくっつく(にせよ、くっつかないにせよ何らかの着地をする)展開になるのは最終話である26話だと思うので、光は1回休みにしておくのが自然。
本話ではむしろ光以外の登場人物の恋模様が大きく進展している。


このあと、美海の提案によりみんなに相談を持ち掛けることにした光。
といってもこの構図。

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光が相談を持ち掛けたい相手というのは、(まなかの想い人だと光が思っている)紡くんただひとり。

前話までの展開から、本話ではみんなで協力してまなかの問題を解決しようと動き始めるだろうと思っていた。
が、まさか紡くんと光を対立させる構図にするとは。

この談合におけるちさき、紡くん、要のセリフは、なるほどたしかに「友達としてどうなの?」とは思うものの、対立構造を生み出すギミック上で必要なヒール的役回りに徹しているだけなのでセリフ回しはあえて追わない。

とはいえ、触れずにはいられないのがさゆ。
要に対して「大人ぶるな!あんただって子どものくせに!」

そう、要が紡くん・ちさきサイドに与するのはおかしい。
だって凪のあすからは海と陸の対立や大人と子供の対立や、そういったしがらみを越えゆく物語である。

だから14歳の要は本来、光サイドにいるべきなのだ。
そんな当たり前のことを、視聴者の僕でさえ何も思っていなかったことを、さゆは「間違っている!」と叫んだ。

それはさゆが要を好きだからという理由以外にないでしょう。
そして要のこの表情。

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さゆが怒りはじめたときには「さゆちゃん、」といつもの宥めるような(大人びた)口調だった彼が「大人ぶるな!」という言葉にはっとしている。
要はずっと最後尾を歩いていたつもりかもしれないが、さゆは要をずっと追いかけてきて、そんなさゆがようやく要と同じ土俵に立てた。

これは個人的にとてもうれしいニュースで、次話以降が気になるところ。
ちなみにこの後、告白の決意を口にしたシーンは、2話にて要がブランコを飛び降りた場面をなぞっている。こういう細かなこだわりがとても好き。


部屋を飛び出した子どもサイドは、そのあとまなかたちと合流し、海に向かった。
そこでまなかがウミウシの吐いた白い石を発見する。

といってもこれが「まなかの気持ち」である証拠はどこにもないのだが、まなか自身が「あれ何だろう?」と見つけたことや、光が確信していることから、間違いなくまなかがウミウシに話した気持ちなのでしょう。

ここでまなかが第一発見者になったのは意外と大きな出来事なのではないかと思っていて。
というのも、張本人が自身の失われた気持ちを見つけることができたからである。

たとえば光が「あの光っているものはなんだ?」と最初に見つけていたらば、この先の話は変わってくる。
まなかが自分で気づいて、そして興味を示したこと。それがとても重要なのである。


そのあとのシークエンスは美海のターン。といっても、決して前向きではないのかもしれないが。

「好きになれければ苦しくならない」

5話にて美海が叫んだセリフである。
美海すら忘れていたそのセリフを、気持ちを、光は憶えていた。

「この間」と言っているくらいなので時間的なアドバンテージはあるものの、重要なのはそこではない。

光が美海のことをちゃんと認識して、そしてその想いに感化されて行動すら変えていたこと。美海にとって、かなりの衝撃だったのではないだろうか。

ここからはあくまで推論。考察ではないのでスルーしていただいて構いません。

美海は自分の恋心を押し殺していたので、光に「自分の気持ちを知ってほしい」だとか「気づいていてほしい」だとか、そういった振る舞いはしてこなかった。
とはいえ、まなかしか見ていない光を想い続けるのはしんどく、心の内では「私のことも見てほしい」という願望があったはずである。

しかし、実のところ光はちゃんと美海を見ていた。
光の中に美海はちゃんといて、自分が光の心を変えていたことを知った。

つまりどういうことかというと、見事なまでの失恋である。

美海は、光が自分のことを見ていないと思っていた。だからその思いは一方的で、届いているはずがないと。
けれども光は美海をちゃんと見ていて、そのうえでまなかを選んでいたのである。

光のなかに美海という存在がちゃんといることが、彼女は心底嬉しいはず。
けれども同時に、それは自身の恋の終着地を告げたのではないだろうか。

このシーンのあとから、美海のまなかに対する態度が変わっているのは、そういた心境の変化も手伝っている気がしてならない。
こんなことを言って美海が次回告白とかしていたら、それはどう言い訳すれば良いか分からないが。

 


●ちさき×紡

光たちと対立する立場になったふたりの恋模様は、本話にてかなり進展した。

ちさきは「好きの心がなくなったらホッとする」と言っている。
それは誰かを選び、誰かを選ばない選択をしなければならないから。そして、自分が変わってしまった(紡くんが好きと告げる=光を好きな自分ではいられなくなった)と認めなければいけないから。それが彼女にとっては恐怖なのである。

要は5年前、「別に答えがほしいわけじゃないんだ」とは言いつつも彼女への好意を口にしている。
そしてその想いが変わっていないことをちさきは知っている。
そこへきて、紡くんが新規にエントリーしてきた。二者択一だ。曖昧ではいられず、誤魔化しも効かず、どちらかを振らなければならない。

唯一の逃げ道とすれば「まだ光が好き」と嘘をつくことくらいか。
つまり、誰も選ばない選択をすること。

しかし、紡くんがあんなかっこいい告白をした直後なら、きちんと向き合ってほしい。
というか、あんなに情熱的な紡くんは初めて見た。彼があそこまでしたのだ、いい加減、答えを出す方向に持っていくに違いない。

だとすれば、次回は5年前にプレエントリーを済ませた要の本エントリーが必要になる。
ふたりが跪いて手を差し出し、ちさきはどちらかの手を選ばなければいけない。

そうなると、紡くんが選ばれる展開になるとは言い切れないが、要が選ばれる展開にはならないと断言できる。
そこで登場するのが、本話にて堂々のヒロイン昇格を果たしたさゆだ。

要はもう彼女を年下の女の子扱いできなくなってしまったので、彼らの関係性がどう転ぶのかは楽しみ。

 


●海という言葉

本話は、光以外の登場人物が「誰かを想う心」に向き合う回であったのと同時に本作品における「海」という言葉の定義を考えさせられるものであった。

印象的だったセリフは以下の通り。

「なんかね、耳の奥で波の音がすごいする感じして」(まなか)
「ウミ」(魚面相)
「お前のこと海みたいな奴だって思った」(紡くん)

凪のあすから」のメインテーマにも関わる話なので本話限りでは結論は出ないが、海と恋愛という事象が密接に関連していることは間違いないでしょうね。

紡くんがエナを獲得した理由、というよりエナを獲得する人間の条件にも関係するところでしょうが。

そもそもどうして「海の人間」と「陸の人間」の物語を描いたのか。
彼らは何のメタファーとして描かれているのか。推測はいくらでもできるでしょうが、そういったところが明らかになると嬉しい。

残すところ3話だが、この物語が何を伝えたかったのかに対して、海と陸の対比が必要不可欠であった理由が判明してくれると嬉しいなと思います。

 

 

残っている謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

 

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凪のあすから 第22話「失くしたもの」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは(⇒地上に帰す代わりに恋心を奪った?)

 

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以下ネタバレあり。

 

冒頭は、まなかの調理シーンから。
第1話や2話にてうろこ様に献上した煮物と同じものを作っている模様。どうやらうろこ様をおびき寄せる作戦の一つらしい。

そんなまなかにいまだどう接すればよいのか分からない美海。
逃げるようにお風呂に向かい「ダメだなぁ」と一言。

僕はロリコンじゃないので中学生女子の入浴シーンについて触れるつもりは1ミリもないのだが、伏線があったため仕方なく言及しよう。まったくしょうがないなぁ。

美海がずり落ちるようにしてゆっくり顔まで湯船に浸かると、不意に例のイメージが湧いてきた。

貝殻が擦れるような音。
これは美海が光を発見したときに聞いた音であり、エナを獲得する直前に聞いた音であり、海村、そしてまなかの元にに辿りつくまでに聞いた音である。

いずれにしても、あれが何のイメージなのかが不明。
まなかから剥がれたエナなのか、海神様のうろこなのか、ぬくみ雪なのか。

 

OP終わり、うろこ様をエロ本と煮物で釣る作戦が開始。

 

「きっしょ」とか言いながらしれっと団地妻特集のページを開いて設置するさゆ。

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釣れるのはうろこ様ではなくて要か紡くんでは・・・。

 

一方のまなかは煮物をセット。
「タケノコと人参と鶏、ちゃんと別々に炊いたんだよ」
このセリフは第1話にて聞いた。まなかのおばあちゃんによる煮物の作り方そのものである。

そういった細かいことはきちんと覚えているまなか。
でも確実に忘れている記憶はあり・・・。

 

そうこうしていると、ぬくみ雪が降りはじめた。

「このところぬくみ雪はよく降るようになり、テレビのニュースによれば、海から遠く離れた町や都会でも降り始めているということでした」

地上はじわじわ寒冷化の影響が強まっているらしい。

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なにこの未亡人感

 

その後御一行は木原家で落ち合い、うろこ様探しの計画を再勘案。

 

この後のストーリー展開がとても秀逸で、たった数分だけのシーンに現在の人間関係と心象とフラグを織り交ぜている。
まず、自然な流れで
①光・まなか・美海
②ちさき・要
③紡くん・さゆ
に分ける展開が見事と言うほかない。

①では、まなかが一部の記憶を失っていることに不安や失望を抱く光と、そんな彼を見てやっぱり落ち込む美海。
②と③は片想いずつの関係性に対して連続性を持たせたままカメラを切り替えることで、どちらの感情であったり立ち位置であったりを明確に示している。

「僕ももう一度、告白しなおそうかな」
要は最後尾を歩いているようで、恋愛沙汰においては切り込み隊長らしい。

とはいえ、ちさきのあの反応見ましたか。これで要×ちさきルートは完全に潰えた。

ひと呼吸置いた「冗談」という言葉は、その雰囲気を本人も察してのことでしょうね。

 

場面変わり、教授のお見送り。
紡くんはもう少しオシオオシに残るらしい。まぁ、腕に魚面相の呪いをかけられたまま大学に戻るのもちょっとねぇ。

「残るのはちさきのため?」
「あぁ」
「てっきり、調査のためとかって言うと思ってた」
「そんな必要ないだろ。いい加減答えを出したいし」
「そうだね」

紡くんはオレンジジュースと無糖珈琲を買い、後者を要に差し出した。

この場面ちょっと面白くって。
要は間違いなくオレンジジュースを渡されると思っていただろう。

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これは色々な解釈ができるだろうけど、まずBREAKの文字。
今の曖昧な関係性を断ち切るぞという紡くんの意思。そして無糖珈琲。「甘くないぞ」という彼なりの果たし状か、あるいは要を子供ではなくちゃんと大人=ライバルとみなしているという表明か。

 


翌日。
光とまなかがうろこ様に向けた罠の仕掛けスポットを訪れると、エロ本も煮物も無くなっていた。

そのまま学校に向かった2人は、空っぽのプールを前にして語り合う。

紡くんと光が競争をしたあの日は、水が満ちていたプール。
今のプールはまなかの「人を好きになる心」が空っぽという隠喩でしょうね。

恋や愛なんかに関係するエピソードをまったく覚えていないことにショックを隠しきれなかった光は、ついぞまなかの前から走り去ってしまう。
しかし光の行動が理解できないまなかは「ひーくん...?」と怪訝な表情を浮かべるだけで、追いかけることはしない。

そんな光を見かねた美海は、さゆを置いて彼を追いかけることに。
見知らぬ土地に辿りついた二人は、そこでついにうろこ様と遭遇する。


ここからは怒涛の伏線回収。
やはりうろこ様は光をはじめ、海村カルテットを手助けしてくれる立場のよう。


ここで回収された謎
①まなかがおじょし様の墓場で見つかった理由⇒おじょし様になっていたから
②おじょし様を地上に帰したとき、引き換えに海神様が奪ったもの⇒人を好きになる心
③うろこ様の正体⇒海神様が亡くなったときに剥がれ落ちた鱗の1枚(いまいちピンと来ないが)
④御霊火とは⇒海神様の意識のようなもの
⑤おふねひきで渦潮が発生した理由⇒海神様の想いのかけらが勝手な行動をとった結果
⑥地上の寒冷化が落ち着いていた(ここ数日で加速した)理由⇒まなかがおじょし様となったことで御霊火と海に散らばる海神様の意識が一体化し、均衡がとれていたため
⑦まなかのエナが剥がれ落ちた理由⇒まなかの中にあった一部の気持ちが生贄であることを良しとせず、外に出ようとしたため
⑧突如現れた海村に通じる謎の潮流⇒まなかからあふれ出た気持ち
⑨美海が聞いた音⇒まなかから剥がれ落ちたエナの粒がぶつかる音

さすがうろこ様。
まさか1話にて、というかたった数分でここまで謎を明らかにしてくれるとは。

 

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「まなかはもう、誰も愛することができんのじゃ」

うぅ...目にハイライトがないまなか怖いよぅ...。
直前のカメラでは普通にハイライトがあったので、前話同様にこれは光の視点でしょうね。

目に光がないだけに、その目は光を見ることはできない、と?


・・・というわけで本編はここまで。

正直今回はかなり面白かった。
伏線が回収され、そして解決すべき問題が明確になった。

残り4話という短さではあるが、まなかの恋心を取り戻すために動くのが最終章になるでしょう。

前回の記事でも書いたが、OP映像的には美海がおじょし様になる未来が予想される。
けれども美海がおじょし様になることでまなかに人を好きになる気持ちが戻ったところで、それでは美海が生贄のままである。

光がそれを良しとするはずがないので、別の結末が用意されているのでしょう。
そこはとても楽しみ。


それから、今回はあまりスポットライトを当てられなかった紡くん。
彼に魚面相ができたのは、もちろんうろこ様が地上にいる証拠としての機能もあるでしょうが、それだけではないはず。

ちさきとの関係性や、魚面相がいなくなるまでのひと悶着なんかも次回以降は期待される。

 


◎おまけ

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光はどうせ脈ナシだし、もうコイツで妥協しよっかな


残された謎


・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

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凪のあすから 第21話「水底よりの使い」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

冒頭。「うぇ?」の再来ならず。くそぅ。


今回はいつもと趣向を変えてストーリー展開を追わず、オープニング映像から本話の立ち位置を概観しようと思う。
間違っていたらめちゃくちゃ恥ずかしいのだが、どうせ残り5話なのでこの際それは考慮に含めないこととする。

実はこれまでOPは毎回飛ばしていたので気づかなかったのだが、今回偶然に飛ばさず見たところかなり興味深かった。

 

たとえば、赤い傘について。

まず映されるのは、はるか上空にある赤い傘を見つめるまなか。グッと右手を強く握り、何かを堪えている描写。
そして降り注ぐぬくみ雪を掴んだ美海が、赤い傘をさしている。
直後、一陣の風が吹き、美海の持っていた傘が飛ばされてしまう。
そしてラスト、落ちてくる傘(太陽)を眩しそうに見つめる美海。それを掴んだのがまなかであった。

これが何の暗喩なのかについては色々考えられるでしょうが、恋心であるならばかなり面白いなぁと。

赤い傘を最初に掴んでいるのは美海である。これが最後にはまなかの手に渡る。「赤い傘」をそのまま恋心に翻訳すると、~21話では「美海⇒光」という恋愛模様であったが、最終話にかけて「まなか⇒光」の構図に移っていく可能性が高い。
それだけならばまだ良いのだが、美海の持っていた傘は強風によって、つまり美海がコントロールできない事象によって飛ばされている。

 

そしてこの映像。

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あとは冒頭、上空にある傘をまなかが見つめている描写も忘れてはいけない。

これらをひとつの線としてつなぎ合わせると、一つの仮定が生まれる。

美海がまなかの代わりにおじょし様となり、まなかは光への恋心を取り戻す。

といっても、まだ証拠が十分でないのでもうちょっと肉付けしていく。

18話にて、うろこ様はこんなことを言っていた。

「何かが現れるとき、何かが失われる。さすれば、足し引き同じになるというわけじゃ」

凪のあすから 第18話「シオシシオ」感想 - お金がほしい

そして海神様とおじょし様の物語で、海神様はおじょし様を地上に帰したとき、引き換えに「あるもの」を奪ったという。
それこそが「赤い傘」=恋心なのではないだろうか。

 

OP冒頭、恋心を奪われたまなかは上空にある傘を見つめるだけであった。
そのあとは美海のターン。まなかの一時退場により見事メインヒロインの座を勝ち取ったのも束の間、超自然的な力によりそれを失う。
その力とは何か。OP映像から推測できる限りでは、海神様へのいけにえ。つまりおじょし様になるということ。
そしてラスト、美海が眩しそうに見上げる中、まなかがその傘をキャッチしてエンド。

 

うろこ様的に言うならばこう。

<2期前半>

美海:エナを獲得し、メインヒロインという立場を得た
まなか:メインヒロインから降格し、エナを失った

<2期後半>

美海:エナを獲得したが、メインヒロインから降格
まなか:エナは失ったが、メインヒロインに返り咲く

※ちなみに先ほどからメインヒロインと連呼しているが、主人公に対する恋心を有している人物を指しています。

 

このバトンの受け渡しが赤い傘として表現されているような気がしてならない。
だとすれば、最終話に向けて「まなか⇒光」という恋を成就させる鍵は美海にある。

美海の光に対する恋心が失われたとき(おじょし様になったとき)、まなかと光の恋が実るというわけだ。
なにそれつらい。パレート最適みたいな?


実は21話にて、まなかが恋心を失っていると思しきシーンはいくつか散りばめられていて、たとえば「すいぶん(晃に)好かれたな、お前」「好かれた?」というセリフ。


あるいはここ。

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ハイライト消えているのマジで怖かった。
紡くんが当初まなかを「目のまんまるい子」と覚えていたほどなので、作画班のミスとは到底思えない。

であるならば恣意的な何か。
このシーンをおさらいすると、晃がお皿を落とし、やけどを恐れたあかりが慌てて冷水をかけるという、母の子供に対する愛を見せた場面であった。

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その場にいたほとんどが晃を心配して緊張した空気が流れる中、まなかだけは例の顔である。

他にも「おふねひき、終わったら言うね」と光と約束したことを忘れていたりと、伏線は多い。


「おじょし様を地上に帰す代わりに恋心を奪った」という物語ならば、悲しい結末という表現にも納得がゆく。
おそらく21話時点で目を覚ましたまなかは、自我を持ったAIのように「恋とは何ですか」状態にあると思われる。


そしてまなかに対し、最終話にかけて恋心をもたらすのが美海の役目。どのように接続していくのかは不明だが、大まかな流れはこんな感じなのではないのかなと。

 

そして、恋模様といえば紡くん×ちさきについても少し。

今回はっきりしたのは「ちさき⇒光」ルートが完全に潰えたということと、「ちさき⇔紡くん」ルートが完成間近にあるということ。
前者に関しては、狭山がくれた5個入りのシュークリームを、自分が退場することで成立させたことから明らか。

狭山は(何も考えていなかっただけかもしれないが)光、要、ちさき、まなか、紡くんの5人を想定していただろう。
しかし実際にシュークリームを食べたのは光、要、まなか、美海、さゆという全員同学年の5人であった。

一方のちさきは病院で紡くんとコーヒーゼリーを食べて「私、シュークリームより好きかも」と発言している。
ちさきは「シシオ4人衆」として友達関係は継続させながらも、一歩引いたところで見守るスタンスに変更した。

また病院で紡くんが「大学に戻る」発言をした際、ちさきの動揺がすごかった。(必死に隠そうとしている姿が描かれていた)
実際のところ、紡くんと一緒にいるちさきは生き生きとしているし、彼はちさきの中でかなり大きな存在になっていることは間違いないでしょう。

だからこそ「アパートに送るね、みかん」とちさきが返した時、紡くんが少し残念そうな表情をしているように見えた。
勝手な推測だが、紡くんとしては一緒に行きたかったのではないのかなぁと。それをちさきから提案するのはかなりハードルが高いが。


とにかく、本話はラストスパートに向けた土台となるお話だったので、大きな展開こそなかったものの確実に次話以降とつながってくる事象は多いと思われる。

特に本編ラスト、紡くんに魚面相(なつかしいなぁ)ができたというのは、今後うろこ様が絡んでくるという意味でも大きく期待できる。
魚面相といえば、物語前半において紡くんとまなかの仲を取り持った存在である。そんな魚面相が紡くんにできたというのは(まぁエロ本を餌にしようとした罰だとは思うが)、まなか×紡くんはもちろんのこと、ちさき×紡くんや光×まなかの関係性を大きく変容させる兆しであるため、次話以降が楽しみである。


というわけで今回はかなり雑になったがここまで。

 

いまだ残っている謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは(⇒地上に帰す代わりに恋心を奪った?)

 

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