お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第20話「ねむりひめ」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

光たちがおじょし様の墓場からまなかを連れ去って、早2週間。
それでもいまだ目覚めないというのは、どうにも物語的な意味合いを感じざるを得ない。


20話では、光や美海のすれ違う心が描かれている。
そして2人の心を覆っていた黒い靄が晴れたラストシーンにて、ようやくまなかが目覚めたのだった。

つまり、それまでの2週間はまなかが目覚めるための準備が整っていなかったということになる。

その準備とは何か。
光に関しては、まなかのウミウシになるための準備であると思う。

本話にて光は、まなかばかりに気を取られ、美海やさゆなんかを放ったらかしにしている。

 

あかり「起きた?すごい熱だったんだけどね、今は下がってる。美海に感謝しなよ、さっきまでずっと見てくれてたんだから」
光「まなかは?」
あかり「変わりないよ」

 

この会話からも分かるように、光はまるで美海のことなんて考えていない。
これまでの彼だったら「そっか、あとで礼言っとかねぇとな」くらいは言えていたはず。

まぁ、それほどまでまなかに対して真っ直ぐだったという証でもあるので、光らしいと言えばそうなのだが。


しかし彼も熱によって(物理的に)頭を冷やし、ようやく周囲に支えられていたことを知った。

(ちなみに美海は光のウミウシ役を引き受けているので、ここでの役割も間接的ながら光を正しい方向に導いている。)

光に関しては、そうしたマインドセットの再構築が、まなかの目覚めの前に必要な作業であったということだろう。

おそらく最終話にかけてまなかに関するひと悶着が起きると思われるので、その解決のため光が周囲と協力しながら動き出すはずである。
そういった物語展開のためには、あきらかにテンションのおかしかった光を一旦冷静にさせる必要があった。


一方の美海に関しては、言い方はヒドくなるが、個人的に「ヒロインの入れ替え」準備ではないのかなと。

これまでもたびたびまなかと美海の物語的な立ち位置が類似していると述べてきたが、まなかさんの目覚めによっていよいよもって美海さんがお役御免になってしまうのでは!?なんて。

本話において、泣いている美海を紡くんが優しく慰めるシーンがあった。
これは第6話「巴日のむこう」にて、ちさきと喧嘩して泣いているまなかを、紡くんが海まで送り届ける場面とよく似ている。

そういった、いわば凪あすメインヒロインの通過儀礼を終えた美海さんは、今後どういった立ち位置になるのだろうか。
上に書いた「ヒロインのお役御免」は仮説のひとつでしかなく、しかも何の根拠もないので、今後の立ち位置には注目したい。

ともあれ、美海は2クール目のヒロイン担当としての役目を全うし、まなかにバトンタッチする準備が整ったわけだ。


きっと皆さんも、本話ラストシーンでは画面の前で「「うぇ?」じゃねぇーよっ!!」と盛大にツッコんだだろうが、まなかは再び目を覚ました。
次回以降、どういった話の展開になるのか楽しみである。

 


さて、前置きが長くなったが本話の流れと感想。


冒頭は眠り続けるまなかを見つめる美海からスタート。

「今ここでコイツを殺れば、光とくっつくのは私のはず...」みたいな表情をしていた気がするけど、気のせいですね。


OP明けて、放課後。
光と要はうろこ様探しの旅に出るため、授業が終わるやすぐに教室を後にした。

普通なら、直近うろこ様と会った美海も連れて行くのが賢明だと思うのだが、このときの光にはまだ周りが見えていない。
「まっすぐで一生懸命」と言えば聞こえは良かろうが、猪突猛進なだけで終いには風邪をひいてしまうのだから世話がない。


一方の美海は、健気にもまなかの分もノートを取っているよう。
こうした善意がのちに「偽善なのかもしれない」とか、「まなかのためではなく光のため、ひいては自分のため」と気づき、自己嫌悪に陥るきっかけとなってしまう。

 

光たちはうろこ様探しに難航しているよう。そして要が指摘するように、確実に海水温度は低下しているらしい。
あかりの家出から始まり、まなかの略奪によって寒さが増したことに鑑みると、やはり寒冷化の原因は海村から女の子が消えたことかな?

というか、寒冷化を乗り切るために冬眠に入ったはずの彼らが、未解決の(むしろ悪化した)状態で目覚めてしまって問題なかったのか?このあたりも最終話までに解説があると嬉しいのだけど。

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そぼ濡れたちさきを見る二人。中坊にはやはり刺激が強すぎた模様

 

さ「美海は光たちとシシオに行かなくていいの?」
美「シシオのことは、光たちに任せようって」

光に対して「周りが見えていない」と上述したが、美海からもあえて協力を持ちかけないスタンスでいるようだ。
光はうろこ様探しを「まなかのこと」と捉えて行動しているが、美海はあくまで「シシオのこと」と発言している。

こうした地味な矛盾から、ジワジワ綻びが生まれてゆくのだが。

 


美海は家に戻ると、まなかを目覚めさせるための方策をメモにまとめはじめる。
しかし、同じことを思いついた光たちがすでに行動を開始している事実を知り、メモを消してしまう。

と、ここで光が帰宅。
かなり落ち込んでいるようだが、美海の前で(周囲に対して)は気丈に振舞っている。

美海はそんな光に「そうだ。今日出た宿題、量多かったし一緒にやろ」と誘った。
普通は、おふねひきの唄のことについて聞いたり、さゆが提案した「五感を刺激する」について光に話したりするはず。

そこをあえてスルーしたのは、彼女(さゆ)の行動理念が「海村カルテットの輪に入りたい」という想いに支えられていることに起因する。
光たちはもう動き出しており、美海らはまた彼らの輪に入るきっかけを失ってしまった。だから、美海はそこに触れられない。

反対に、光が必死に考えないようにしている「このままもし目覚めなかったら・・・」という言葉をぶつけてしまい、後悔することに。
美海は美海で光に対してまっすぐなので、彼への危惧が思わず漏れてしまったといったところだろう。

 


「わたし、あのままで良かったんだよ。私がいなくなっちゃったから、地上も海も、どんどん凍えて。私も・・・」

美海の言葉により、心の奥底に仕舞っていた不安が夢になって表出した光。

「私も・・・」のあとが気になる。
演出から考えればエナがなくなったことを指すのだろうが、光たちがまなかを見つける前から剥がれ始めていたので、やはり別の何かでしょうね。

 

 

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懐かしのカセットテープ。

しかもマイク内蔵型とはなかなかレアな気が。幼少期はCDからカセットテープに録音するという時代錯誤なこともよくやっていたなぁ、懐かしい。
でも直径8センチのミニCDは車で聴けなかったので、やむを得ずという・・・どうでも良いですね、すみません。

 


一方、美海はさゆの「まなかさんのこと、ホントは目覚めてほしくないみたい!」発言をきっかけに自己嫌悪スタート。
彼女の場合、光というフィルターを通してまなかを心配しているので、たしかに屈折しているかもしれないが、そこまで自責の念に駆られなくても、とは思うのだが。

翌朝、無理がたたって熱が出た光を介抱するため、美海は仮病を使い学校を休んだ。

 

学校にて、さゆと要。

さ「あの、要は大丈夫なの?光と一緒に冷たい海に入ってるんでしょ?」
要「うん、平気」
さ「そっか、良かった」

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完全にメス顔のさゆ

この2人だけのシーンって、実は初めてではないのか?
今後にも期待しています。ぐへへ。

 


仮病の美海はというと、光たちの看病をしながらもまなかへの気持ちに整理がつかず、自己嫌悪も相まって泣いてしまう。
タイミングよく電話していた紡くんは、そんな美海を見かねて波止場で落ちあうことに。

 

紡くんはジュースを飲みながら、ちさきへの気持ちや光が戻ってくることへの不安と安堵など、これまでにないくらい自身の感情を赤裸々に語った。
それは彼も美海も、地上の人間でありながら海の人間に恋をし、そして5年前から時間が止まっている。おまけに恋をした時点で片想いが確定しているという、なかなかにヘビーな境遇を共有していたからこそだろう。

紡くんは美海より少しだけ先に、同じような体験をしている。
そして想い人へのラブと、恋敵へのライクは共存できることを示した。それは美海にとって代えがたい希望となったはずだ。

 


(色々な意味で)熱の下がった光は、美海や要たちが自分を支えていたことに気づき、穏やかさを取り戻していた。
美海との小さな衝突もなくなり、満を持してまなかさんのご起床である。

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「うぇ?」じゃねぇんだよ!おい!



残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは

 

  • おまけ

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ゆるキャラだけはやめたほうが良いと思いますよ、至さん!

あと「おしおっしー」が若干ふなっしーっぽい見た目なのもさすがにやめ(

 

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凪のあすから 第19話「まいごの迷子の...」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

冒頭は、幼少時代のちさきが光を好きになったきっかけとなるエピソードの回想からスタート。

思えば、光がまなかを好きになった経緯も、要がちさきに惚れた理由も、紡くんがちさきと過ごした5年間でさえ、僕たちはほとんど知らされていなかった。

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数多もの幼女をメス顔にさせる男、先島光

 

OP終わり、お医者さんによるまなかの触診。

光は念願だったまなかをようやく見つけることができて、晃と一緒におおはしゃぎ。
絵に描いたような欣喜雀躍ぶりにあかりや美海らは呆れ顔。

 

先生「賑やかでいい。これなら、彼女もおちおち寝てられないでしょう」
あかり「お恥ずかしい限りです」
美海「ホントに」
ちさき「光、まなかが見つかってホントに嬉しいのね」

 

眠っているまなかに視線を落とす美海。

 


直後、先生のお見送りシーン。

 

先生「比良平くん、実習日誌は明日の朝までに出しておいてくれれば良いから」

 

そう言い残して車を出した先生。

本来、このシーンは物語の本筋から外れているというか、先生がいなくなれば視聴者は「帰ったんだな」と分かるはず。
そこをあえて見せたということは、このシーンが必要だったから。

本話では珍しくちさきがモノローグを担当していることから、ちさきが主役の回。
ストーリー展開もちさきの行動が主軸となっており、海村カルテットで唯一自分だけ大きくなってしまった彼女にスポットが当てられている。
いまの彼女は、光たちよりも5歳年上で、専門学校に通っていて、着実に大人に近づいている。ただでさえ思い悩むことが多い年ごろに、微妙な立ち位置の彼女は何を思うのか。


お見送りを済ませた彼女が先島家に戻ると、美海を発見。
美海は、眠り姫に語りかける光を障子の隙間から覗いていた。

 

光「あのとき、どんだけ伸ばしても全然お前に届かなかった。でも、もう二度と、お前が嫌だっても、ぜってぇ離さねぇから」

 

前話では、美海自身が恋敵であるまなかを見つけ出した。
それは光のためとはいえ、美海にとっては欺瞞である。

けっきょく光はまなかが好きで、それを分かったうえで行動した手前、誰にも八つ当たりはできない。
そもそもさゆ以外には知られていない気持ちなのだから、押し殺すほかない。

「何かが現れるとき、何かが失われる。さすれば、足し引き同じになるというわけじゃ」
前話におけるうろこ様のセリフである。

美海はエナを得た代わりに、近づけたと思った光からまた遠のいてしまった。

そんな折、ちさきにその姿を見られてしまった。しかも、すべてを悟ったような目で。
たまらずその場から逃げだす美海。

 


ちさきはその後、勇さんのいる病院へ向かう。

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「そっか、美海ちゃんも光のことが好きなんだ」

この「も」というのがだれを指すのか。
もちろんちさき自身のことであるが、いつの時点の彼女であるか。

冒頭シーンで助け出されたときなのか、5年前なのか、それとも今なのか。

「ずっと子どもだって思ってたけど、もう、そうだよね。あの頃の私たちと同い年なんだもんね」

このセリフから察するに、5年前時点のちさきかな?

一方の自分は、自分があの頃の(結婚を考えていた)あかりと同い年になりつつある現状に気づく。


勇さんはまなかのエナが消失したことを知り、海神様とおじょし様の話の続きをはじめた。。。

 

 

場面変わり、地獄パートへ。

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やだも~、こわーい。

 

「ねぇ紡、それって何か事情があるんじゃないの?」
「もう、いつも言葉が足りないのよね、紡は。ねぇ要、分かってあげてくれないかな?なんか、あるのよね、色々」

 

基本的に紡くんを擁護するスタンスのちさき。
これまで要は理性的というか、感情を発露させない役回りであったのに対して、この場ではかなり感情的。

要は(個人的感情もあり)紡くんや教授が研究と名声のことしか考えていないと断定し、自分たちが実験の道具として扱われていることに苛立ちを隠しきれない。

一方のちさきは、紡くんがあの日の出来事や異常気象を解明するために研究を始めたことを知っている。
もちろんその裏には紡くん自身の様々な思いもあるのだが、光や要たちを単なる被験者として扱ってなどいないことは、要だって知っているはず。


だがそれ以上に要が気にいらなかったのは、ちさきが紡くんを全面擁護したこと。

要には、自分がちさきの一番の理解者であるという自負があった。
それは、ちさきがいつも光のことを考えていて、そのことを要自身も知っていたから。

しかし5年間という時間の隔たりが、その立場をひっくり返してしまった。
17話では2人のツーカーぶり(古いか)を目の当たりにし、今回もちさきは紡くんをかばった。

「分かってあげてくれないかな?」というセリフは、紡くん側にちさきがつくことを意味している。
そのことが、要にとってどれほどのショックだったかというのは次のセリフからも明らか。

「大人だね、ちさきは」

要なりの精いっぱいの暴言である。
ちさきの性格上、彼女は自分だけ5歳年上になってしまったことを気にしていると、要は理解していただろう。
だからこそ彼女の心に一番刺さるトゲを向けてしまう。

好きな女の子の気持ちがわからなくなって、それに戸惑ってつい当たってしまう。

14歳と19歳の対比を痛いくらいに表現しているのは本当にすげーと感じる。
あれほどクールに思えた要も、5歳年上に宥められる姿は、まるで駄々をこねる子どものようであった。



Bパート。

案の定「大人」という言葉が引っかかっていたちさきだったが、波路中学校の制服を見つけてテンションMAX!
そのまま豪快に着替えに入ってゆくぅ!

これはキッズには刺激が強すぎる!R指定なしで良いのだろうか。

 

そして何より絶対にパンツを見せないという徹底ぶり。
謎の光にお世話になってたまるか!というスタッフの熱意を感じる。

恒例のお約束のあとは、文字通りコスプレにしか見えない自分の姿を鏡で見て、時の流れの残酷さを噛みしめるちさき。


「大人」なちさきは、何かに抵抗するようにヤケ酒に走ろうとしていた。

そんな姿を紡くんに見られるも「なんだ、紡かぁ。もう、脅かさないでよ!」と動じない。
ちさきにとって紡くんは家族(と自分に言い聞かせている)なので、素の自分を見せられる存在。それは紡くんが恋愛対象外ということでもあり、だから紡くんからも一歩を踏み出そうとはしない。


まさかのロックを一気飲み!かと思いきや、「梅ジュース 焼酎無」ときっちり明記。時代だなぁ。
プラシーボ効果もありすっかり気持ちよくなってしまったちさきは、紡くんの前で無防備に、、、というか誘ってないか?これ。
紡くんが思わずそっぽを向くのがちょっと面白い。

 

ちさき「今日ね、光、眠ったままのまなかに一生懸命話しかけてたの。それはあんまりショックじゃなかったんだ」

 

ちさきがショックだったのは、自分が美海のようにまっすぐ誰かに恋できなくなってしまったかもしれないということ。
それはつまり、ちさきがまっすぐ光に恋できなくなったということ。

 

「身体は勝手に膨らんで(どこがとは言わない)、なのにいっぱい零れ落ちて(どこがとは言わない)。大人になるって、色んなもの失くしてくこと?」
「たぶん、いっぱい失くす。でも、失くした分は新しいもので満たせば良い」

 

もはや事実上の告白を聞き逃すちさき。
ちさきは海村カルテットと過ごすはずだった5年間を失ったが、代わりに紡くんと過ごす5年間を得た。

 

「お前と一緒のこの5年は、俺にとってはそういう時間だった」

 

紡くんがようやくちさきへの気持ちを表出してきましたね。


そこに要が登場。

 

紡「あそこで見過ごせるような奴だったら、絶対にちさきは渡さない」
要「言ったね?」

 

ようやくちさきが好きだと要に伝えた紡くん。
まぁ、見過ごされていたら死んでたけどね。

 

紡「でも、お前たちが戻ってくれて本当に感謝している。ずっと宙ぶらりんだったからな。俺もちさきもこれで、やっと前へ進める」

 

このセリフ地味に最低じゃないですか?(笑)
無事でよかった、とか安心した、とかなら分かるのだが、これじゃ本当に自分とちさきと研究のことしか考えていないように捉えられてしまう。

たしかに、残された側は苦痛に満ちた5年間だったかもしれないけど、これは心の内に留めておくべき言葉だったでしょう。

 

 

翌朝。
大人になった自分と向き合うため、海に潜ることを決意したちさき。

しかし強い潮流に捕まって身動きが取れなくなってしまう。
そのとき現れたのは、光であった。

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光に身体を触られても、頬を赤らめることなく戸惑うちさき

 

「光にとっては、おふねひきもついこの間のことなんだもんね」
「まぁな。でもお前だって変わってねぇ。普通にちさきだよな」
「そうかな?自分では、変わったつもりなんだけど」

 

これまでのちさきだったら「そうだよね」と返していただろう。
でも今のちさきは、いくら光が「変わらない」と言っても、どうしようもなく変わってしまった(光たちとは違う)ことを自覚している。


光はまなかのエナ消失の手がかりを探しに来たと聞き、ちさきは勇さんから聞いた話を伝える。

 

「引き換えに、あるものを奪って」

 

これがエナではないかと推測するちさき。

ただ、個人的には別の何かではないかと睨んでいる。
というのも、勇さんは「悲しい結末」と話しているからだ。エナがなくなったところで、おじょし様は地上の男と仲良く暮らしました、めでたしめでたし。で終わるだろうし、悲しい結末とは言いがたい。

であるならば、たとえば浦島太郎よろしく地上に戻ると想い人がすでに死んでいたとか、別の要因が働くのではないかと。

 


この話を聞いた光は、うろこ様を探しに行く!と決意。賢明な判断ですね。

 

光「でもさ、つくづく勝手だよな、海神の野郎は。人間作って言うこと聞かないとエナを奪ったり、逆に与えてみたり。子どもかよ!」
ちさき「そうかも。何百年何千年生きてもそうそう変わらないのかもね」


ここで一旦整理すると、ちさきの思う「変わる」には「身体的特徴」と「精神的構造」の2つがあって、前者では波路中学の制服を着るシーンで、後者は美海の恋心を知るシーンで描かれている。

 

「立場とか歳とか、そんなんよか気持ちだろ」

 

光のこの言葉を聞き、「気持ち」という単語に引っかかったちさき。

 

「あぁ、そっか。やっぱり私、好きなんだ、光のこと」

 

これは額面どおりに受け取ると、ちさきがキャンディーズよろしくネイビーブルーのTシャツを着た5歳年下の男の子に恋しているという意味になるわけだけど。

どちらかというと、自分にもまだ美海と同じようにまっすぐな恋心を抱けることへの安堵だったり、幼少時代と変わらない気持ちが残っていることの喜びであったり、そういう意味合いが強いと思う。

だからここまで紡くんルート進めておいて「また光かよ!」というのは多分なくて、あのころ光に抱いていたまっすぐな恋心を、では今後誰に向けるか。
それは紡くんしかいないと思うんですけどねぇ。

これで次回以降も、ちさきが光を好きだと思い込もうとしていたら正直コイツなんやねん感がすごいので、まぁそこも含めて次話お楽しみに。。。

 

 

残っている謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・海神様とおじょし様の悲しい結末とは

 

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凪のあすから 第18話「シオシシオ」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

光、要のふたりは美海に連れられてついにシオシシオにやってきた。
するとそこには薄い膜が町全体を覆っており。

 

「それは不思議な音だった。シャラシャラと砂が擦れあう音のような。まなかさんの胸がドキン、ドキンって波打っているような」

 

なぜか美海にだけ聞こえた音。
それはまなかから発せられていたらしい。

となると、美海にだけその音が聞こえていた理由も推測が可能になる。

たとえば、

①まなかと美海の気持ちが通じ合っている(光が好きという共通点)
②まなかと美海の物語的な立ち位置が同じ(まなかは前半のメインヒロインで、美海は後半など)

もちろん本話限りではあくまで推測に過ぎず、次話以降まなかが目覚めるともう少し明るみになるはずなのでモニタリングは継続。

 


汐鹿生に着いた3人。
だが、そこは光や要が知っているような、あるいは美海が想像していたような場所ではなかった。

 

光「美海!本当はこんなんじゃない...」

 

光は、美海にいつも通りの海村を見てもらいたかった。
海村は光の生まれ故郷であり、美海自身のルーツでもある。

けれども、そこはもう何十年も前に滅びてしまったかのように時間が止まっていて、「冬眠しているだけ」という言葉は何の慰めにもならないほど「死」を感じさせるような空間だった。

 

光「なに怖がってんだよ!冬眠してるだけだって言ってるだろ!そんな驚いたらみんなに失礼だろ!お前みんなのこと、死んでるみたいだって思ってんのか!」

 

光が美海に詰め寄ったセリフは、まさに光が自分自身に言い聞かせていたこと。
みんな死んでいない、冬眠しているだけだ、大丈夫、と。

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フラットな表情の美海に対して、光と要は神妙な面持ち


どことなく映画「デイ・アフター・トゥモロー」を想起させる。
急激な寒冷化により人間が瞬間冷却されてしまい、マダム・タッソーに展示されている蠟人形のように動きを止めた世界。

光「このままだと、なんか動揺してみっともないとこ見せそうな気がする」

十分にみっともない姿をさらした気もするが、昂る感情を一旦落ち着かせて客観視できるようになったのは成長の証。


その後、「どこにも行っちゃだめだよ!」というフラグを立てると、美海をその場に残して立ち去る男子2人。

「美海の生みの母ちゃんは、海の人間だっただろ?やっぱせっかくなら綺麗だって思ってほしかったんだ」
要にそう話した光。

第6話にて、紡くんも同じような発言をしている。
「なんか分かる。自分の良いって思うもの、自分が良いって思うヤツらと一緒に見たいって」

光は光で美海のことを思い、海村の現状にどうしようもないもどかしさを感じていたらしい。

 

けれども美海の汐鹿生に対する思いはちょっぴり違っており。。。

 

2人がいなくなったあと、案の定その場を離れた美海は、シリアスな雰囲気に呑まれることなく遠足気分でおやつタイム。
この場で一番落ち着いているのは、間違いなく美海でしょうね(笑)


光は様変わりした海村を巡りつつ、自宅に到着。
冬眠中の父の横に座り、雑談を始める。まるで墓前にて死者に語りかけるように。
そうやって言葉にすることで気持ちに整理がつき、冷静さを取り戻した。


光と要が元の場所に戻ると、そこに美海の姿はなく。

 

そのころ美海は、砂の擦れる音に導かれるようにして波路中学校に来ていた。

教室に入ると、そこでようやく光の面影を見つける。


美海が海村に来たいと思っていた理由は様々あれど、一番は光との繋がりを見つけることにあった。

前話で、光たちと同い年になったことで近づけたと思ったのに、結局届かないままだと思い知った美海とさゆ。
それは光たちが海の人間で、自分たちには知りえない過去があるから。

本話にて折しもそんな光のバックグラウンドを知る機会が与えられれば、美海は海村にその面影を求めるだろう。
しかし降り立ったその場所には、光たちはもとより人間の生活痕すら失われていた。

そんな美海は学校にて、4人の身長が描かれた支柱にようやく憧れの海村を見出すことができた。

・・・というのは分かるのだが、涙を流す美海にはちょっと共感できない。
そこまで真剣だったらば、あそこで呑気にポッキーなんて食べますかねぇ(笑)


美海は4人に近づきたいという思いから、自身の身長もそこに書き加える。
けれども書いたのは「私はここ」

4人はそれぞれの名前を書いてあるのに、彼女は「美海」と書かなかった。

 

主要人物の名前にあるルールが存在していることは以前にも書いた気がするが、

男子は漢字一文字:光、要、紡、至、など
女子はひらがな三文字:ちさき、まなか、あかり、みをり、など

美海もさゆも、そのどちらにも属していない。

そういう事実からも、ここであえて名前を書かなかったのは、美海たちでは光たちに決して追いつけないという暗示であるような気がしてならない。。。

「私はここだよ。気付いて、光」と。

 


その後、美海はうろこ様と遭遇。

うろこ様「探し物は見つかったかのぅ?」
美海「探し物?」
うろこ様「ん?おかしいのぅ、お前はそれを見つけるためにここに来たのではないか?」

さきほど美海が見た幻想はうろこ様が見せてくれたもの。
前述のとおり、美海は光との接点を増やすため、つまり自分のために汐鹿生に来た。

まなかを助けたい、純粋に汐鹿生という場所に興味があった、というのは、うろこ様に言わせれば嘘となる。

それでも美海は自分が望まない道を、光が望むものをうろこ様に尋ねた。

こうやって負けヒロインぶりが徹底されていると、むしろ清々しいですね(笑)
美海ちゃんが幸せになる日は来るのか。。。

 


そうこうしていると、ようやく光と要が登場。
うろこ様はいつの間にか姿を消していた。

 

その後、例の音に導かれた美海が2人を連れてやってきたのは、光たちですら見たことがない場所。

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マジでホラー。

なんだよ18話、最初からずっと怖いんだが。

 

美海の言うように、ここはおじょし様のお墓。
これまでのおふねひきで、木彫りのおじょし様はすべてこの場所に流れ着いていたらしい。

そしてその中心には手のような形の何かがあり。
光が近づいてみると、そこではまなかが(やはり全裸で)眠っていた。

 

9話で「おじょし様はここにいるよ」とおどけて見せていたまなか。
まさか本当におじょし様になっていたとは。。。


まなかのもとへと向こう見ずに突っ走る光を、遠くから見つめるだけの美海。
そこへうろこ様がやってきて「あれがお前の探し物というわけじゃな」と皮肉たっぷりに言ってのける。

まったく、人が良いのやら悪いのやら。

 

その後、意味深な発言あり。
「何かが現れるとき、何かが失われる。さすれば、足し引き同じになるというわけじゃ」

 

美海にずっと聞こえていたのは、まなかのエナが剥がれる音だったことが判明。
であるならば、上の発言は順当にまなかのエナが美海に移譲されたという意味合いになるわけだが。

どうにも他意をはらんでいるような気がしてならない。
たとえば、まなかを連れ去った代わりに美海がおじょし様になるとか、美海の光に対する好意が生まれた結果、まなかの光に対する好意が失われるとか。

いずれにしても、まなかのエナがなくなったということは地上でしか生きていけないということ。この事実だけでもひと悶着ありそうだなぁと。

 

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怖い。左手というのがなおさら。

 

それから、まなかを連れ去ってゆく3人を物憂げな表情で見つめるうろこ様も気になるところ。

 

 

 

本話ではウミウシが再登場。
だから何だという感じでしょうが、かなり重要なメタファーっぽいのでちょっと考察。

まずは今回ウミウシが登場したシーンをおさらい。

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美海が海村に対して抱いていた憧れをモノローグで語る場面

この絵本では、主人公が2匹のウミウシになっている。
また「きのうは あらし、きょうは なぎ」という記述も気になるところ。

 

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海村でひとりになった美海が町をブラつく場面

ウミウシの置物に積もったぬくみ雪を掃っていると、砂の擦れる音が聞こえて、美海はそれを追いかける。
そこで美海は「待って、まなかさん!」と思わず叫んだ。


それから、ウミウシとは直接的に関係ないが、美海が学校の音楽室で木琴をたたく場面。
あれは第3話のまなかを完全にトレースしている。

そして3話では、そのシーンの直後におなかの赤いウミウシを発見している。

本話では美海がまなかを発見した。


これらを踏まえると、本話では美海とまなかがウミウシという存在を軸につながっている様子が描かれているとわかる。

であるならば、美海の聞いた砂の擦れる音は、まなかの「あのね・・・」によってウミウシの吐いた石の音、つまりまなかの「誰にも言えない気持ち」の可能性も考えられる。

 

個人的に「あのね・・・」の後は「私、ひーくんが好き」だと思っているので、光に好意を抱いている者同士で共鳴していると考えれば納得できる。
もしまなかが光に好意を持っていなかったとしても、物語上まなかと美海が同じ立ち位置(まなかは物語の前半のヒロインで、美海が後半のヒロイン)である限り、美海にだけ例の音が聞こえた理由も明確である。

ここでいう同じ立ち位置とは2人が「ウミウシ」であるということ。
絵本に登場した2匹のウミウシ。それぞれまなかと美海であり、前半のあらしと後半のなぎである。

 

では、まなかは誰にとってのウミウシだったか。美海は誰にとってのウミウシなのか。
言うまでもなく、光である。

 

光はまなかという存在を通して自分の本心と向き合い成長してきたし、美海は15話で旗を振っていた。
つまり、自ら光の「笑顔の守り人」役になると志願している。

そういった役回りの共通点があるから、美海はまなかの居場所を見つけられたのではないだろうか。

 


だからこそ、次話以降まなかが目覚めたとき、それぞれがどういった立ち位置になるのかはとても興味深いところ。

 

残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

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