お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第18話「シオシシオ」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)

 

↓前回の記事↓

ex-finprethe.hateblo.jp

以下ネタバレあり。

 

 

光、要のふたりは美海に連れられてついにシオシシオにやってきた。
するとそこには薄い膜が町全体を覆っており。

 

「それは不思議な音だった。シャラシャラと砂が擦れあう音のような。まなかさんの胸がドキン、ドキンって波打っているような」

 

なぜか美海にだけ聞こえた音。
それはまなかから発せられていたらしい。

となると、美海にだけその音が聞こえていた理由も推測が可能になる。

たとえば、

①まなかと美海の気持ちが通じ合っている(光が好きという共通点)
②まなかと美海の物語的な立ち位置が同じ(まなかは前半のメインヒロインで、美海は後半など)

もちろん本話限りではあくまで推測に過ぎず、次話以降まなかが目覚めるともう少し明るみになるはずなのでモニタリングは継続。

 


汐鹿生に着いた3人。
だが、そこは光や要が知っているような、あるいは美海が想像していたような場所ではなかった。

 

光「美海!本当はこんなんじゃない...」

 

光は、美海にいつも通りの海村を見てもらいたかった。
海村は光の生まれ故郷であり、美海自身のルーツでもある。

けれども、そこはもう何十年も前に滅びてしまったかのように時間が止まっていて、「冬眠しているだけ」という言葉は何の慰めにもならないほど「死」を感じさせるような空間だった。

 

光「なに怖がってんだよ!冬眠してるだけだって言ってるだろ!そんな驚いたらみんなに失礼だろ!お前みんなのこと、死んでるみたいだって思ってんのか!」

 

光が美海に詰め寄ったセリフは、まさに光が自分自身に言い聞かせていたこと。
みんな死んでいない、冬眠しているだけだ、大丈夫、と。

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フラットな表情の美海に対して、光と要は神妙な面持ち


どことなく映画「デイ・アフター・トゥモロー」を想起させる。
急激な寒冷化により人間が瞬間冷却されてしまい、マダム・タッソーに展示されている蠟人形のように動きを止めた世界。

光「このままだと、なんか動揺してみっともないとこ見せそうな気がする」

十分にみっともない姿をさらした気もするが、昂る感情を一旦落ち着かせて客観視できるようになったのは成長の証。


その後、「どこにも行っちゃだめだよ!」というフラグを立てると、美海をその場に残して立ち去る男子2人。

「美海の生みの母ちゃんは、海の人間だっただろ?やっぱせっかくなら綺麗だって思ってほしかったんだ」
要にそう話した光。

第6話にて、紡くんも同じような発言をしている。
「なんか分かる。自分の良いって思うもの、自分が良いって思うヤツらと一緒に見たいって」

光は光で美海のことを思い、海村の現状にどうしようもないもどかしさを感じていたらしい。

 

けれども美海の汐鹿生に対する思いはちょっぴり違っており。。。

 

2人がいなくなったあと、案の定その場を離れた美海は、シリアスな雰囲気に呑まれることなく遠足気分でおやつタイム。
この場で一番落ち着いているのは、間違いなく美海でしょうね(笑)


光は様変わりした海村を巡りつつ、自宅に到着。
冬眠中の父の横に座り、雑談を始める。まるで墓前にて死者に語りかけるように。
そうやって言葉にすることで気持ちに整理がつき、冷静さを取り戻した。


光と要が元の場所に戻ると、そこに美海の姿はなく。

 

そのころ美海は、砂の擦れる音に導かれるようにして波路中学校に来ていた。

教室に入ると、そこでようやく光の面影を見つける。


美海が海村に来たいと思っていた理由は様々あれど、一番は光との繋がりを見つけることにあった。

前話で、光たちと同い年になったことで近づけたと思ったのに、結局届かないままだと思い知った美海とさゆ。
それは光たちが海の人間で、自分たちには知りえない過去があるから。

本話にて折しもそんな光のバックグラウンドを知る機会が与えられれば、美海は海村にその面影を求めるだろう。
しかし降り立ったその場所には、光たちはもとより人間の生活痕すら失われていた。

そんな美海は学校にて、4人の身長が描かれた支柱にようやく憧れの海村を見出すことができた。

・・・というのは分かるのだが、涙を流す美海にはちょっと共感できない。
そこまで真剣だったらば、あそこで呑気にポッキーなんて食べますかねぇ(笑)


美海は4人に近づきたいという思いから、自身の身長もそこに書き加える。
けれども書いたのは「私はここ」

4人はそれぞれの名前を書いてあるのに、彼女は「美海」と書かなかった。

 

主要人物の名前にあるルールが存在していることは以前にも書いた気がするが、

男子は漢字一文字:光、要、紡、至、など
女子はひらがな三文字:ちさき、まなか、あかり、みをり、など

美海もさゆも、そのどちらにも属していない。

そういう事実からも、ここであえて名前を書かなかったのは、美海たちでは光たちに決して追いつけないという暗示であるような気がしてならない。。。

「私はここだよ。気付いて、光」と。

 


その後、美海はうろこ様と遭遇。

うろこ様「探し物は見つかったかのぅ?」
美海「探し物?」
うろこ様「ん?おかしいのぅ、お前はそれを見つけるためにここに来たのではないか?」

さきほど美海が見た幻想はうろこ様が見せてくれたもの。
前述のとおり、美海は光との接点を増やすため、つまり自分のために汐鹿生に来た。

まなかを助けたい、純粋に汐鹿生という場所に興味があった、というのは、うろこ様に言わせれば嘘となる。

それでも美海は自分が望まない道を、光が望むものをうろこ様に尋ねた。

こうやって負けヒロインぶりが徹底されていると、むしろ清々しいですね(笑)
美海ちゃんが幸せになる日は来るのか。。。

 


そうこうしていると、ようやく光と要が登場。
うろこ様はいつの間にか姿を消していた。

 

その後、例の音に導かれた美海が2人を連れてやってきたのは、光たちですら見たことがない場所。

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マジでホラー。

なんだよ18話、最初からずっと怖いんだが。

 

美海の言うように、ここはおじょし様のお墓。
これまでのおふねひきで、木彫りのおじょし様はすべてこの場所に流れ着いていたらしい。

そしてその中心には手のような形の何かがあり。
光が近づいてみると、そこではまなかが(やはり全裸で)眠っていた。

 

9話で「おじょし様はここにいるよ」とおどけて見せていたまなか。
まさか本当におじょし様になっていたとは。。。


まなかのもとへと向こう見ずに突っ走る光を、遠くから見つめるだけの美海。
そこへうろこ様がやってきて「あれがお前の探し物というわけじゃな」と皮肉たっぷりに言ってのける。

まったく、人が良いのやら悪いのやら。

 

その後、意味深な発言あり。
「何かが現れるとき、何かが失われる。さすれば、足し引き同じになるというわけじゃ」

 

美海にずっと聞こえていたのは、まなかのエナが剥がれる音だったことが判明。
であるならば、上の発言は順当にまなかのエナが美海に移譲されたという意味合いになるわけだが。

どうにも他意をはらんでいるような気がしてならない。
たとえば、まなかを連れ去った代わりに美海がおじょし様になるとか、美海の光に対する好意が生まれた結果、まなかの光に対する好意が失われるとか。

いずれにしても、まなかのエナがなくなったということは地上でしか生きていけないということ。この事実だけでもひと悶着ありそうだなぁと。

 

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怖い。左手というのがなおさら。

 

それから、まなかを連れ去ってゆく3人を物憂げな表情で見つめるうろこ様も気になるところ。

 

 

 

本話ではウミウシが再登場。
だから何だという感じでしょうが、かなり重要なメタファーっぽいのでちょっと考察。

まずは今回ウミウシが登場したシーンをおさらい。

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美海が海村に対して抱いていた憧れをモノローグで語る場面

この絵本では、主人公が2匹のウミウシになっている。
また「きのうは あらし、きょうは なぎ」という記述も気になるところ。

 

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海村でひとりになった美海が町をブラつく場面

ウミウシの置物に積もったぬくみ雪を掃っていると、砂の擦れる音が聞こえて、美海はそれを追いかける。
そこで美海は「待って、まなかさん!」と思わず叫んだ。


それから、ウミウシとは直接的に関係ないが、美海が学校の音楽室で木琴をたたく場面。
あれは第3話のまなかを完全にトレースしている。

そして3話では、そのシーンの直後におなかの赤いウミウシを発見している。

本話では美海がまなかを発見した。


これらを踏まえると、本話では美海とまなかがウミウシという存在を軸につながっている様子が描かれているとわかる。

であるならば、美海の聞いた砂の擦れる音は、まなかの「あのね・・・」によってウミウシの吐いた石の音、つまりまなかの「誰にも言えない気持ち」の可能性も考えられる。

 

個人的に「あのね・・・」の後は「私、ひーくんが好き」だと思っているので、光に好意を抱いている者同士で共鳴していると考えれば納得できる。
もしまなかが光に好意を持っていなかったとしても、物語上まなかと美海が同じ立ち位置(まなかは物語の前半のヒロインで、美海が後半のヒロイン)である限り、美海にだけ例の音が聞こえた理由も明確である。

ここでいう同じ立ち位置とは2人が「ウミウシ」であるということ。
絵本に登場した2匹のウミウシ。それぞれまなかと美海であり、前半のあらしと後半のなぎである。

 

では、まなかは誰にとってのウミウシだったか。美海は誰にとってのウミウシなのか。
言うまでもなく、光である。

 

光はまなかという存在を通して自分の本心と向き合い成長してきたし、美海は15話で旗を振っていた。
つまり、自ら光の「笑顔の守り人」役になると志願している。

そういった役回りの共通点があるから、美海はまなかの居場所を見つけられたのではないだろうか。

 


だからこそ、次話以降まなかが目覚めたとき、それぞれがどういった立ち位置になるのかはとても興味深いところ。

 

残った謎

・うろこ様の正体(一応)
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・美海がエナを獲得したときに聞いた音(美海にだけ聞こえる理由)←まなかのエナが剥がれる音?
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

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