お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第10話「ぬくみ雪ふるふる」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・5話冒頭のうろこ様の発言「地上と海との境を完全にするべし」の理由

 

↓前回の記事↓

ex-finprethe.hateblo.jp

以下ネタバレあり。

 

本編はうろこ様のセリフからスタート。

さて、むかし海神様は海を捨て地上に上がった人間たちのことを悲しんで、海の奥底にお隠れになった。
すると海にも地上にもぬくみ雪が降り積もり、世界はどんどん灰色に冷たく凍えていった。
そこで娘が一人、海に潜り海神様に会いに行った。
「人間たちを助けてほしい」
娘の頼みに海神様は心を動かされ、再び人のそばにお戻りになった。

そして今。
人間側が海神様を忘れていったことで海神様の力が弱まり、寒冷化が進んでいるとのこと。

うろこ様による物語りにをよそに、光はまなかのことが気になって仕方がない模様。
だが無理もない。僕なら毎日の風呂と布団の中で思い出して「ぬお~~っ」とか言いながら悶えるレベルの羞恥を経験した直後である。

というか、1話では日照りに苦しんだ地上の人間が「おふねひき」という生贄の儀式をもって異常気象を食い止めた話が紹介されていたはず。
それとは別のお話なのであれば、海神様はなんて器が小さく、しかも女の子一人に諫められて全部許しちゃうくらいのかまちょなのでしょうか。。。

 


うろこ様いわく、どうやら光たちがどれだけ手を尽くそうが、この現象を食い止めることはできないそう。そんな人間が唯一できること。それは、

「人という種族が生き永らえるには、凍える世界から眠りによって逃れる以外に術はない」

ということらしい。
たしかに冬眠によって越冬する生物も多く存在するし、理解できないこともないのだが。

 

人間の信奉心によって海神様の力が増すのであれば、その人間が寝てしまうのはいかがなものか。
眠りによって逃れるべきとする根拠は「いつか海神様が力を取り戻したときが来るから」というものであった。
しかしその力の根源たる人間が寝ていては、いつまで経っても力が戻らないのでは?

課金しないと回復魔法やアイテムが使えないクソゲーで体力ゲージが空になりつつあるのに、貯金ゼロみたいな状態じゃないの?

 

まぁその後親父さんが言いかけた「先延ばしにすると頭数が減っていく」というセリフから、海の人間が海に留まり続ける(≒寝ているので地上には出ない)ことで海神様の力が緩やかに回復していくのであろう。
無課金でもログインボーナスでやり繰りできるようになる、みたいな。

 

そこまでして地上と海の恋路を阻みたいか?(笑)

先延ばしにすることで海村の人間同士がくっついて頭数が増えるかもしれないし、今いる海村の夫婦が頑張って子供を増やせるような環境を整えたりという手段は色々あるだろうに。

光が家に帰ったときに見つけた古い書物に関しても、おそらく親父さんが冬眠以外に為す術がないか調べていた痕跡であろう。
そんな親父さんをはじめ、ひと癖もふた癖もある海村のおっさん連中が何の反論もせず冬眠準備をしているくらいなのだから、そういう対抗手段では無理なのかもしれないけど。

少なくとも、僕ら視聴者に提示された原因と理由に限っていえば、冬眠する必要性が十分に説明されていない。

どうやらエナが人工冬眠装置的な役割を果たすようで、海の人間が食を断てばエナが分厚くなり、コールドスリープ状態になれるとのこと。

冬眠の仕組み自体はファンタジーでも良いのだが、そこに至るまでの経緯が見えない。

 


というモヤモヤが晴れず色々と検索してみたところ、以前ベンチマーク先として拝読したことがあるwebサイトで面白い考察を見つけてしまった。

それが「うろこ様(海神様)はあかりが好き」というもの。(以下リンク参照)

kaityou-osusume.seesaa.net

たしかにこの考察であれば、「今すぐに海村の人間を眠らせる」ことで(まだ結婚に至ってない)あかりに海に戻ってくるよう促すことに繋がる。
ぬくみ雪が降ったのも、あかりと至さんの交際が発覚した時期と見事なまでに重なっている。

光が考えるように「おふねひきを実行して海神様に力を取り戻してもらう」というのは、海の人間であれば真っ先に思いつくだろう。
いくら互いにいがみ合っていて、おふねひきが中止であったとしても、さすがに地上の人間が死にゆく結末を嬉々として用意するような間柄でもあるまい。

であれば、おそらくうろこ様と海村の人間の会合で誰かが「おふねひきを実施して力を取り戻してもらうのは?」と発言していたはず。
その上でうろこ様が否定し、冬眠を強行できるだけの材料は、上の仮説が一番しっくりくる。

 

これが合っているのかどうかは分からないし、おそらく今後のストーリーで真相が語られることもないだろう。
だから謎は謎のままでもいいのだが、僕はこれで納得してしまった。

あかりは、美海やさゆが泣くほど怯えていたり、光がどれほど真剣に話してもほとんど意に介そうとしていない。
そうやって不自然なほど無関心を装うのも「いくら脅されても決して他には靡いてやるものか」という彼女の強い意思が感じられる。

まぁ、そうやって毅然とした態度を取っているのは、美海に要らぬ心配をしてほしくないからというのもあるでしょうけど。

 

そして翌朝。4人組はいつもの場所に集まっていた。

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ふと、第1話のショット思い出す。

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第1話より

光「うろこ様の話が本当なら、鴛大師の連中にも教えないとまずいだろ」
ち「地上の人たちに言わなきゃいけないこと? だって助かる方法はないって。私だったらそんなこと知りたくないかも。やっぱり地上の人と私たちは違うんだし」
要「そうかなぁ? 知りたいヤツもいると思うよ」 

ちさきは表面上地上の人間を慮っているようで、地上の人間、もとい紡くんにブチ切れ中の模様。
それを知ってか知らずか、結果的にちさきを煽るような発言をする要。

 

その後、光はひとりでうろこ様のもとへ向かう。

 

おふねひきを断行しようする光に対して、うろこ様は言葉の上では「やめておけ」と諭すも。

「義務教育」という理由で学校への通学を許された4名。
まったくもって筋が通っていないし、ポカン顔の理由も分かる。

しかしこのうろこ様の決断も、上の仮説を信じるのであればある程度理解できる。

光は「あんたは俺のことなんかこれっぽっちも分かってねぇ!」と言うが、うろこ様は光のことをとても理解している。
だから反対すれば光が俄然やる気を出してしまうことも知っているし、光がまなかと紡くんのため(地上と海の恋路を応援するため)におふねひきを実施しようとしていることも知っている。
そしてその決断が現実逃避であるということに本人が気づいていないことも知っている。

 

光の考える、おふねひきの成功とはなんだろうか。

そもそもおふねひきがどのような祭事なのかよくわからないが、光はおふねひきをやり遂げることを目標としており、その先のことを何も考えていない。
それはそうだろう。「おふねひきやりたい」という2人の発言が原動力となっているので、彼の想いもまた、それ以上でもそれ以下でもないはずだ。

うろこ様は、おふねひき成功後のその先を見据えている。
もし仮にあかりを動かそう思ったらば、光は駒としてさぞ使い勝手が良いだろう。

海村の人間を海から出さないための冬眠なのに、その村の将来を担う若者を「義務教育だから」という理由で陸に放出するのは理解不能である。
けれどもあかりを動かすというその一点のみを考慮した場合、光を召喚する行為はもっとも適切かつ効果的で、それを為すための「義務教育」という建前はとても都合が良い。


とはいえこれはかなり穿った見方をしているので、疑問点のひとつとして「うろこ様が4人を陸にあげた理由」は残しておきたいと思う。

 

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まなかは気持ちを整理するため掃除している

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まなか一人だけやや離れている

 

場面変わって、形見分けをする小学生2人。どんなだ(笑)

さ「大切って、どうすれば大切のままにしておけんの?大切がいなくなったら、それってどうなんの?」

さゆは美海から「大切」を教わって「美海の大切になりたい」という思いから友達になった。
誰よりも大切を重んじる彼女だからこそ、気持ち悪くなっちゃうほどそれがなくなる恐怖が人一倍大きい。(なんとかしてくれ要さん)

 


そして場面は最後の晩餐。
めかぶおじさん(ネーミングは適当)はあかりに来てほしかったご様子。やっぱりあかりは海村の人間から好かれていたのでしょうね。


まなかは光抱きつき事件で「知らないぬくもり」を知り、自分の気持ちが整理できないご様子。

「エナなんか、無ければ良かったのに」

そう言って、ちさきの作った巻き寿司を頬張りながら号泣するまなか。

この涙の粒の大きさ。がむしゃらに食べながら号泣する女の子・・・どこかで見たことある気が(笑)

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どことなくバックミュージックも久石譲を感じる。。。

花澤香菜さんの演技も完全にかのシーンを意識していますね。これは感動すればよいのか笑えばよいのか。。。
まなかとは別ベクトルで感情が渋滞を起こしてしまう(笑)

 


おうちに帰ったまなかは、光とのあれこれを思い出し、「ぬくもり」を思い出し、そして赤いウミウシに告げる。

「あのね・・・」

 

 

翌朝。髪を結ぶちさきのもとに現れた要くん。おもむろに、いつも通りのトーンで告白。

「僕、ちさきのことが好きなんだよね。かなり前から」

要が攻めたぁぁぁあああ!!!

 

なんという熱い展開。

おそらくまなかがウミウシに告げたのは「あのね、私ひーくんが好き」であると思われる。たぶん。
そして要がこれまで隠してきたちさきへの想いを、ついに公言した。

つまり本話で、4人全員の好きな人が明らかになった。(まなかだけは明らかになっていないけど、さすがにあの回想の直後に「紡くんが好き」とかないわー)


おそらく要は、ちさきに返事を求めないだろう。
紡くんというライバルの出現と冬眠という思わぬイベントの発生に瀕し、とりあえず先手を打ったに過ぎない。

要の言葉を裏返すと、光はライバルとして眼中になかったということになるので、それはそれで(笑)
まぁ、彼の気持ちがまなかに向いていることを要自身も知っていたからでしょうが。

 

とはいえ、恋愛において先手を打った者は敗北するという暗黙のルールが存在する。

ちさきは光を選んでいるようでいて、実は自分が選ばれない道を選んでいるに過ぎない。
光もまなかを選ぼうとしていたが、(どうせ無理だが)諦めようという考えに向かっている。

そこに来て、要はちさきを選んだ。誰かを選ぶということは、同時に誰かを選ばないということでもある。
それはちさきが最も恐れる「変化」そのものであり、痛みを伴うことが発覚した瞬間。立場で言えば、悪役に近い。

そう、悪役。
ヒーローよりも先に必殺技を出す悪役は、結局のところ打ち負かされてしまう。そういうものなのである。

要という主人公の友達属性と、鷹揚な性格からして、損な役回りを演じることははじめから明白であったし、酷だがそれが彼の人生である。
しかしこれはさすがにしんどい。きっとこの先も要は不幸に見舞われるしかないのだろうが、せめて当ブログでは彼の気持ちを斟酌し、供養してあげたいなぁと。

 

残った謎。

・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・5話冒頭のうろこ様の発言「地上と海との境を完全にするべし」の理由
・うろこ様が海村カルテットの通学を許可した本当の目的
・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容

 

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