夕方のチャイムが市民の精神を破壊しようとしている
夕方のチャイムと言えば、世間一般的にはキーンコーンカーンコーンとか夕焼け小焼けとかがメジャーどころだと思うのだが、我が町は違う。
平成27年に市の歌とやらが制定されてから、昼の12時と夕方17時にそいつが大音量で町中に響き渡るようになったのだ。
これまでプライバシーとか個人情報云々とかでわざわざ公にすることもないだろうと思い言及してこなかったが、もうバレてもいいのでとりあえず皆さんに聴いてみてほしい。
https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shisei/kouhou/shika/furusato_iwata.mp3
静岡県磐田市、と聞けば政令指定都市でないにもかかわらず意外と知名度は高いのではないか。
なんといってもヤマハ発動機の本社があるし、サッカー好きでなくともジュビロ磐田の名前くらいどこかで聞いたこともあろう。
そんな我が町磐田市。
これまで当ブログでは無名であることと匿名であることを良いことに散々田舎だの何もないだのと知力の限りを尽くして罵倒してきたため今若干怯えているのだが、新駅ができるまで20年以上も費やしているほどゆっくりと時間の流れる場所であるから、きっとこのブログに制裁がくだる頃には僕は寿命を迎えていることでしょう。
てなわけで今後も安心して不満タラタラに地元を貶し続けると思うので、どうか市役所にお勤めの方は見ないでください。
さて、そろそろ本題に戻ろう。
皆さん、お聴きいただけただろうか。
おそらく一聴してもらった方には、僕が何を言わんとしているのか察しがついたはずである。
重い。暗い。侘しい。そして物悲しい。
ちなみにこれ歌っているのは新妻聖子さんなんだけど、おそらくこの歌をミュージカルで歌い上げるときには片腕に伴侶の亡骸を抱えて涙ながらに口ずさんでいることでしょう。
まぁとはいえマイナーコードではないから絶望感はないんだけど、毎日毎日これを聞かされていると何て言うのかな。
死にたくなる。
世の中にはサザエさん症候群なるフレーズが存在していて、我が国日本では月曜日を迎える数時間前からTwitterのホットワードに「月曜日」の文字列が急増するくらいみんな月曜日が大好きなんだけど、我が町で流れる夕方5時のチャイムはこれと同じ効果をもたらすのだ。
夕方5時。ただでさえ切ない気分になるたそがれ時。
遠くでカラスの鳴き声が聞こえ、寂寞の念に駆られるそんな時分。それを知ってか知らずか、あの歌が大音量で町中に流れるのだ。
耳馴染みの良い郷愁感を扇情する優しいメロディ。それに呼応する犬の遠吠え。公園で遊ぶ子供らの声。
とたん僕の脳裏には「あぁ、今日も何もせず終わってしまった。こうして一日、また一日と無駄にして人生が終わっていくんだな。こんな僕なんて生きていてもしょうがないのではないのか」とか考え出して、我が身の愚かしさや世間の不遇さ、現実の儚さなんてものに思いを馳せてしまう。
これが本当の逢魔が時ってやつだろうか。
もはや一日の終わりでなく、人生の終末のような気分にさせられる。得体の知れない恐怖が全身を包みこむ。
夕方5時のチャイムは外で遊ぶ子供らの帰宅を促す効果があるらしいのだが、こんなの大人まで帰りたくなるじゃん。
いっそ子供らの好きな仮面ライダーか何かの主題歌でもガンガンに流したほうが帰宅効果は期待できそうである。
と、ここまで夕方5時のチャイムの憂鬱さについて語ってきたが、どうもこの「夕方5時のチャイム」という文字を見ると、この曲を思い出さずにはいられない。
いずれにしても、物悲しい気分になる。
ね、志村さん。