お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

イケメンが世界を救う

予め言っておくが、僕はイケメンが好きではない。
無論これは僻みだ。
今回のタイトルも本当は「イケメンが世界を巣食う」にしたかった。

イケメンは大抵運動神経がよく、筋肉質で、髪もさらさらとしていて声質もイイ。
おまけに数少ない短所もその長所がカバーして余りあり、しかもその短所は女性の脳内で「ギャップ」と自動変換されてしまうためむしろ短所なんて何一つとしてない。

例えばとあるイケメンが仮に超が付くほど音痴だったとしても、女性陣の脳内ではその男性の歌う姿に「カワイイ」とか「萌える」とかいう単語を補完してしまうため愛らしく見えるという寸法だ。

マジで大嫌い。ひとつも勝てん。

しかも生まれたときから既に決着が付いているという点が更に腹立たしい。
「天は二物を与えず」とか言うけど絶対嘘。
天がイケメンに十物くらい与えちゃうからそこらじゅうに取るに足らない有象無象ができあがる。

だいたい往々にしてそういうことを言ってくるやつはイケメンと相場が決まっている。
イケメンが我々ブサイクに憐憫の情を傾けて優しくそうのたまうのだ。実に気に入らない。

 

生まれたときからの勝ち組。しかもイケメンは自分がモテる理由とかどうすればもっとモテるようになるかとか多分常日頃から考えているからそれなりに頭も冴える。
言葉も動きも洗練されて超スマート。
だから給料もよくてどんな場所でも重宝される。

イケメンは為るべくしてイケメンになっている。常人には理解できん。

でも今日の僕はそんな愚痴を言いたかったわけではない。


最近話題の小出恵介さんのニュース、日本人ならまず間違いなく知っていると思うが、正直に言う。

最初知ったときは心の中でガッツポーズをかましましたごめんなさい。

こんな感じで顔がブスのヤツは美形のスキャンダルが大好物。性格もブス。ネットで美男美女の悪口書き込んでるのも決まってブス。

ブスは相対的に自分よりも格上だった人物が転落していく様を見るのが大好き。

性格が歪んでいるから顔もだんだんと歪んでくる。
ブスも為るべくしてブスになっている。


だが彼の事件は一筋縄ではいかなかった。
ブスが寄って集ってウホウホとフィーバーを起こしていたら、いつの間にかどんどんと情報が更新されて、最近では「小出恵介が被害者」みたいになってきている。

おかしい。これはおかしい。
数年前ならば性格のひん曲がったメディアがたちどころに集中砲火を浴びせて跡形も無く消し炭にされていたのに、今回蓋を開けてみればそうは問屋が卸さなかった。

 


これは一体なぜか。
答えは簡単である。彼がイケメンだからだ。

イケメンだから擁護派の勢力が端から強い。
しかもそのグループの中心には女性しかいない。

男性と女性、まず間違いなく先に行動を起こすのは女性である。
これは近年の経営戦略を見ても明らか。

映画館に「レディースデイ」があって「メンズデイ」が無いのも、テレビショッピングのターゲット層が基本的に女性なのも、ライブやコンサートに女性客が多いのも当然。
仮に「メンズデイ」なんてやっても絶対流行らない。魅力が微塵も感じられない。仮に実施しても室内が汗臭くなって終わり。

だから女性グループを味方につけているイケメンは非常に強い。

その証拠に世間一般の彼に対する心象は、少なくとも事件発覚時より明らかに向上している。
ガリガリガリクソンの飲酒運転なんて、もうもはや誰も気にしてなどいないのだ。

 


ところが僻みもそこそこに、これはブスにとっても決して悪い話ではないらしい。

今後まったく同じような事件が起きたとき、その男側が仮に所謂イケメンではない風体だったとしよう。

するとどうだ。
この事件が起きる前だったならば「気持ち悪い」「死ね」「消えろ」という罵詈雑言の嵐しか生まれなかったはずなのに、この事件をきっかけに相手の女性側にも落ち度があったのではないかという議論があるいは生まれてくるかもしれない。
もちろんこれはブスのブスによるブスのための希望的観測に過ぎないが、希望が生まれただけでも我々ブスの生存権は広がる。

つまるところ、我々ブスが最も忌み嫌い妬み嫉み悪行の限りを尽くして滅ぼさんと陰ながら狙い定めているイケメンに、間接的ながら助けられてしまっているのだ。

この事実は実に耳が痛い。
人間として既に負けているにもかかわらず、その上救いの手まで差し伸べられているという現実。

 

このことを認めてしまうと自分の何もかもが否定されているような気になって死にたくなるのでもちろん絶対に認めないが、それでも今後はちょっとだけイケメンに感謝の気持ちを抱いて盛大にディスりたいと思う所存である。