「秒速5センチメートル」を見たら女性恐怖症になりかけた話
※とりあえずこの記事は途中から映画「秒速5センチメートル」のネタバレを多分に含みますのでイヤな方はご退出を。
新海誠監督と言ったか、今を駆け抜ける新進気鋭の映画監督。
今となっては「君の名は。」でその名を世間に知らしめているが、以前からその活躍は目まぐるしく、2002年公開の映画「ほしのこえ」ではアニメーション制作のほとんど全てを自力でおこなうなど類稀なる才能をかねてより顕現させていた。
そんな新海誠監督の3作目、2007年公開の映画「秒速5センチメートル」は主題歌である山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」も相まって人気が高く、この作品を通じて彼の名前を知った人も多いのではないだろうか。
ちなみに僕もその一人である。
まぁ、最近まで読み方がシンカイセイだと思っていたけど。
僕がこの映画を初めて見たのは、もう何年前になるか分からないくらい昔のことだが、最近偶然ながらこの映画を見直すきっかけがあった。
いざ見返してみると「あぁ、こんなシーンもあったっけな」とか「あれ、ここってこんなセリフだったっけ?」みたいなありがちな思いを馳せる中で、しかし僕はこの物語の根幹に潜む女性の恐ろしさを見つけてしまったのだ。
そうした体験を経て僕は今、マジで女性が怖い。
特に綺麗なお姉さんが怖い。カフェの店員とか茶髪の美容師とか本当に怖い。
クレヨンしんちゃんとかよく年上の女性に軽々しくアタックできるものだと素直に尊敬してしまうレベル。
そのくらい僕は今精神的に参ってしまっている。
というわけでこじらせ男子諸君。
この記事を読んだが最後、更にこじらせ度合いを増幅させてしまうことになるだろうが気にしないでほしい。
もちろん「もう彼女なんていらない。家でゲームしてたほうがマシ」という考えになってしまっても責任は取らないが、今後の人生に幸多からんことを祈って読み進めることをおすすめする。
では早速。
※以下ネタバレあり。
一度見た人なら分かるだろうが、この物語は親の都合で引越しを繰り返す遠野貴樹と篠原明里という2人の子供にスポットライトが当てられ話が進行してゆく。
そして小学生だった2人が桜の舞い散る道を一緒に下校していくところからこの映画は始まるのだが、もう最初から明里ちゃんが怖い。怖すぎる。
ねぇ、秒速5センチなんだって
冒頭、明里は何の脈絡も無くそう言い放つ。開始わずか数秒にして視聴者を置いてけぼりにした明里の才覚たるやマジで恐ろしい。もうすでに怖い。
当然ながら貴樹もこの突然のメンヘラ台詞に「えっ?」と訊き返している。
しかし彼女は依然としてこう答える。
桜の落ちるスピード、秒速5センチメートル
ちょっと待とうか。いきなり付いていけない。
どうした明里ちゃん、これがいわゆる電波系というやつなのか?
きっと貴樹も戸惑ったに違いない。いや、そうに決まっている。
男というのは年齢に関わらず理性的な人間だ。会話というものには筋が通っていないと理解ができない。
しかし彼はできる子。
僕なら「で?w」などという卑陋な言葉がいの一番に出てきてしまうところを、「明里、そういうことよく知っているよね」と何とか誤魔化した。
偉いぞ貴樹。オマエは男の中の男だよ。もう感動しちゃった。
だが残念なことに、彼女の暴走はこれで終わらない。
その直後、貴樹の必死の返答を悪びれることなく華麗に無視した明里は、その場で立ち止まると手のひらをそっと差し出し、落ちてくる桜を受け取るしぐさをしながら一言。
ねぇ、なんだかまるで雪みたいじゃない?
オーケー分かった。僕が悪かったからもう許してくれ。せめて時系列を統一してくれ!
このあたりから、僕の頭の中にはタイガー&ドラゴンが爆音で流れ始める。
そりゃ僕に芸術的素養が無いことは認める。いや、認めるけどさ、ちょっとさすがに桜を雪みたいだと表すのは無理があるんじゃないかと、えぇ。僕はそう思うよ。
そしてこれが嬉しいことに、貴樹くんも同意見だったようで。
えぇ?そうかなぁ...
ガチなトーンでよく言った貴樹!
いくら相手のことが好きだろうとイエスマンになるのは間違っている。ちゃんと自分の感性を信じるべきだ。大丈夫、僕も桜を見て雪みたいだと思ったことはないぞ。
しかし!ここで思わぬ事件が発生。
なんとこのセリフの直後、何を思ったか明里がいきなり勢いよく走り出したのだ。
訳のわからぬセリフを言ったかと思ったら急に走り出す。なんなんだよ色々な意味で付いていけねぇ。
この時点で精神的にかなり置いていかれていたにもかかわらず肉体的にも置いていかれた貴樹。錯乱状態に陥りつつも、とりあえず「待って!」とか言いながら明里を追いかけるしかないよなぁお気の毒に。
そうして貴樹が明里を追いかけると、これがどういう運命のいたずらだろうか。
目の前にあるのは踏切。しかもちょうど電車が来るため遮断機が少しずつ下りてきているという偶然。
そこで明里だけはギリギリ踏切の向こう側にわたることに成功し、追いかけていた貴樹は渡れずに取り残されてしまった。
っておい。これはもはや偶然ではなく必然。明里ちゃんがこのタイミングの計り方とか30回くらい練習していたと思うと泣ける。
まぁ、てな具合で踏切のこちらと向こうに分断されてしまった2人。
これを明里が図ったのか否かは現時点では不問にするとして、この後の明里の行動が個人的に物議を醸したのだ。
ひとまずこの画像をご覧いただきたい。
踏切の向こう側に立った明里ちゃんは前傾姿勢で「貴樹くん!」と一言、雨も降っていないのに何故か傘をさし、しかもその勢いで謎の1回転。
そしてその後、
来年も一緒に桜、見れるといいね!
こう言い放った直後に電車が通過して2人を分かつタイミングも完璧。
お分かりいただけただろうか。
どう見てもフラグのセリフはさておき、この仕草が男性をめちゃくちゃドキッとさせるのだ。
もういいよ、認める。男なんて単純だからさ、このシーン見たとき「あぁ、明里ちゃんマジ可愛いし尊い...」って、そう思っちまったよちくしょうめが。
ほら、男の人が女性の色々な仕草にそそられるみたいなことって結構あって、メジャーなところで言えば髪を縛るときにゴムを口にくわえるところとか、蛇口の水を飲むときに垂れてくる髪を片手でそっと抑えるところとか...ってなに書いてるの自分。
でもそういう何気ない仕草に男子ってのはドキッと来るもので、まさにこの明里ちゃんが軽くやってのけた動作。しかも傘をさすという動作と同時にクルリと回転を加えるという世界スケートレベルで難度の高い技を見事に成功させたことには我々男子は胸を動かされずにはいられなくなってしまうのだ。
あ、もちろんこういった「女性の萌える仕草」みたいなやつは可愛い女子限定でのみ効果を上げるので、残念ながら好みの女性ではない人が髪を掻きあげても「あ、髪にハエでも止まったのかな?」くらいにしか思わない。むしろその動作にすら気付かないことのほうが多い。鈍感でどうもすみませんね。
と、そんなことより僕が言いたいのは、この明里ちゃんの動作が完璧な計算の元で為されているということだ。
タイミングの計り方、セリフの尺、動作から何もかも完璧。絶対にこれは計算。
いや何が言いたいかというと、このとき明里ちゃんはまだ小学生であるという事実。
僕の小学生時代なんて「金玉」って叫ぶだけで幸せだった気がするのに、この年齢から女の子ってこんなにも計算高くて大人びていたの?
なんかごめんね。今さらだけど同級生の方々すんません。
っておっと!
現時点でまだ映画が開始してから1分も経ってねぇよ。
これ終わんのか?
いや、終われるのか...?
ということでこの続きは次回に持ち越し。
それでは~