お金がほしい

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先に謝っておきます。ごめんなさい。

席替えという儀式の功罪

前回は学校ネタだったので、ついでに今回も学校ネタを。
どうせ高校なんて卒業して10年もすれば大半のことは記憶から葬り去られてしまうので、書き留めておくなら1日でも早いほうがいい。

というわけで今回は「席替え」というシステムについて語ってゆこうと思う。

 


席替え―――そう、それは安定を求めるはずの人間がごくたまに刺激を求め、そして現実を知って「安定」の良さを再認識するという、ただそれだけの儀式である。

安定というのは「慣れ」という言葉に置き換えてもいいかもしれない。
人間は飽きっぽい性分だから、ある状態にだんだん慣れてくると、今度は刺激を欲するようになる。


ほら、毎朝ZIP!観てると飽きちゃうでしょ?
たまにCMになったらめざましテレビに変えてすぐチャンネル4ちゃんに戻すんでしょ?

そんなのと一緒ですよ、多分。


そりゃもちろん、再放送のように毎日同じ動きをしても全く苦にならない人とか毎朝同じメニューの食事をとっても平気な人とかそんなのはいくらでもいる。

ちなみに僕も、割と後者の部類に属する。


だから言ってみれば、僕は「席替え」に関して言えば完全に被害者なのだ。これまで席替えに際して「刺激が欲しい!」なんて発したことは一度たりともない。

まぁでも、小学生の頃は言っていたかもしれないよ?
席替えをした翌日に「席替えをしたい!」って、そんなことも言っていたかもしれない。

しかし中学、高校と年齢を重ねるにつれて、席替えがいたく面倒臭く感じるようになっていった。


その理由はもしかすると共感を得られるのかもしれないが、「予定調和なくじ引き」というのがイヤになったからである。


席替えというのは担任や学校、または地域によって決め方が色々あるかもしれない。
でも僕の経験上、大概の場合は「くじびき」によって座席が決められることが多かった。

あみだくじとか、くじびきとか、いわゆる人間の手の届かない運勝負。

 

だからいくら「グウォリャ~~ッ!」とか奇怪な雄叫びを上げながらくじを引いても結果が芳しくないときはいくらでもあるし、3回に1回くらいは「ま、今回はアイツの近くにさえならなければいいや」と思っていたソイツに「こ、これから隣同士よろしくね」と挨拶をしなくてはならない状況も訪れてしまう。

所詮席替えなんてギャンブルみたいなもので、自分の理想が叶うことなんてほとんどありえないのだ。


それなのになぜだろう、担任が「よし、じゃあ今日は席替えをするか!」と言ったらクラス中が爆発音のような大きな歓声に包まれる。

その瞬間、いつも陰で「キモい」とか言っている担任のことが一瞬にして大好きになり、仲のいい友達と「今度は近くになれるといいね~」なんて会話がバランスボール並みに弾みまくる。

気分は浮き、テンションは最高潮。
朝の情報番組で自分の星座が最下位だったことなんて、もはや記憶のかなたにぶっ飛んでしまう。


するとそんなテンション高めな生徒たちを久しぶりに見た先生は嬉しくなっちゃって「一番前に座りたいやつはくじ引きなしで特別席を用意してやるぞ?」とか言っちゃう。
んでクラスの空気が一瞬にして冷める。

ってマジで先生かわいそう。
もうちょっと優しくしてあげなよ思春期諸君。

 

とまぁそんなこんなではじまった席替え。
先生が必死にくじを作り、生徒たちがこぞって「いい席が当たりますように!」と祈りを捧げる。


でもあれだよね。
席替えの神様とかきっと存在しないだろうし、しかもどうせ初詣くらいにしか神社に行かないくせして都合のいいときだけ「神様お願い!」って言われても神様も困っちゃうよね。

「せめて初詣のとき100円くらいお賽銭を入れてくれたら考えてやってもいいかなぁ」って、そんな感じじゃないんですかねぇ。

「ご縁があるから」とか正月早々寒いギャグをかまして、本当はお金を浪費したくないだけなのに5円玉だけ賽銭箱に投げ込むスタイルの人が最近多い気がするんですよ。
まぁ、僕のことなんだけども。

 


そして授業にも時間の制限はあるため、席替えもここまで来るといよいよ大詰め。

「じゃあくじの結果を書いていくから、自分の番号が書かれた席に机ごと移動しろよ~!」

そう言って黒板に番号を書き始める先生の後姿に、生徒たちは興奮と希望と期待と不安を綯い混ぜた表情で固唾を呑んで見守る。

 


でも席替えが楽しいのは結局ここまで。

なんだか知らないけど席の番号が書かれた瞬間にガッツポーズを決め込む男子生徒に、まるで裏で画策していたかのように隣同士になった仲のいい女子2人組が黄色い悲鳴をあげたり。
そしてたいてい自分の番号は、最後のほうに書かれるのが常。

しかもそこが、いっつもあんまり良い席ではないんだよね。


だから先生の「じゃあ移動開始!」という合図と共に動き出した生徒たちに向かって、陰ながら「お前だけはマジで近くに来るなよ!」と持っているはずもない念力を全力でかけたりして、でも結局全員が移動を終えるとこれがびっくりするくらいクソみたいな席なんだよ。

隣にはクラスで浮いているような喋ったこともない異性がいたり、斜め前にはクラスの中心的人物がいてマジでうるさい。やかましい。騒ぐなよマジで。

 


しかし席替えはこれでおしまいではない。
席替えの真骨頂というのは、ここからが始まりなのだ。

全員が着席すると、先生がクラス中を見渡して「だいぶ雰囲気が変わったなぁ」とか感傷に浸りだす。

メンバーが変わってないのに雰囲気が変わるわけねぇだろ!っていう気持ちはさておき、するとここでこれまでまったく口を開かなかった「とある1人」が、突如としてこう口にするのだ。

 

「あの、先生。私この席だと前が見えないんですが...」

 

見るとそこには身長が小さい女子生徒の姿。
その前の席には、男子の中でも身長が大きいほうの野球部が座っていたりする。


でもそんなこと言われたら先生だって「いや、その席で我慢しろ」とは言えない。時代的にも、モラル的にも。

だからその身長の低い生徒は、必然的に前のほうに席を移動することとなる。そう、これが第一の変更。


そして一度この例外が認められてしまうと、クラスはもうカオス状態必至。

「先生、私目が悪いので前のほうがいいです」

「先生、私冷え性なので冬に窓側だとちょっと...」

「じゃあ僕はプールを覗きたいので窓側に行きます」

「え、じゃあウチらも前後だけ入れ替えない?」


こんな感じで、もうもはや先生の作ったくじ引きは何の意味もなさなくなる。

んで結局蓋を開けたら決まってこうなるのよ。

 

あれ、席替えする前とあんまり変わってなくね?