お金がほしい

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凪のあすから 第4話「友達なんだから」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。


前回までに残った謎は以下のとおり。

・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・あかりのお相手の正体(あかりとの馴れ初め・妻の存在)

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり

 

もう3年ほど前(!)にもなるが、新海誠監督の「秒速5センチメートル」についての所感を述べたとき、女性の髪形が性格や心境を象徴的に示していることに気が付いた。

 

たとえば三つ編みが幼く見える理由の解釈の一つとして、誰かの庇護下にあるという印象を受けるから、と考える。

三つ編みにしたくって母や姉に手伝ってもらう少女の姿。それは誰かに保護され、所有されているようなイメージと重なる。そもそも髪を結う≒縛るという行為自体、不自由さの比喩であるようにも感じられる。

 

それを踏まえ、まなか。まなかは子供っぽい描かれ方(光たちに守られる役割)をしているのに、髪をいっさい結わず、常にシュシュを腕に巻いている。

そういうところから、まなかという人物像の変化が窺える。というか、これまで守られてばかりだった存在が、その殻を脱ぎ捨てて進んでゆくという、まさしくまなかの成長を描くアニメ。あれ、主人公誰だっけ。

1話でうろこ様はまなかをして「発情期じゃ」と言った。
光は地上(やそこに住む紡くん)に憧れるまなかにつっけんどんな態度をとってしまった。

つまり、光たちの気持ちが追い付かないうちから、まなかの心は地上に傾いていた。
2話における要の発言。「意外だったな、まなかがこの場所からの一歩を最初に踏み出すなんてね」

同じく2話にて、うろこ様。「お前は今まで、いっつも誰かに守られてきた。光やちさきや要や、お前はその後ろをちょんちょろちょんちょろ付いていれば良かったじゃろ?それが、皆に守られないところに行こうとしている。自分を守るためにはな、多少の嘘も必要になってくる」

まなかは海村カルテットの誰よりも先に地上にあこがれを抱き、そして近づこうとしている。もはや誰かの後ろをくっついて歩くだけの、か弱い女の子ではない。

 


にしてもこの発言。飄々としているうろこ様らしさ全開というか、実に思わせぶりである。
本話にて、うろこ様はあかりに向かって「呪い、かけてやってもいいんじゃぞ?」と発言している。

これはかなり好意的に捉えているかもしれないが、うろこ様のバックボーンというか行動指針として、海村の人々の幸せを第一に考えていると思う。
「幸せ」というのはずいぶんと定義があいまいで、可変的かつ即物的に捉えられる点において微妙な表現だが、彼の言動をたどってゆくと、たぶん「幸せ」に行き着くと思う。

まなかは1話でぎょめんそうの呪いをかけられたが、それが奏功して紡くん(地上)と近づくことができた。
その後、まなかは再度呪ってほしいと懇願するも、あえなく却下。それはまなかのためにならないどころか、本人の成長を阻害する行為である。
なにより、うろこ様が2話で上の発言をしているとき、妙にうれしそうな表情をしていたのが印象深い。

 

一方のあかり。現状、彼女が幸せになるルートは2つ。
①地上の男(「至さん」と言うらしい)をきれいさっぱり忘れて、海村で暮らす。
②誰にも後ろ指をさされることなく、認められ祝福されながら至さんと地上で暮らす。

彼には神の使という役目があるから「承知いたしておりますよ、海神様。海の人間を、今地上にやってはならない」というセリフに象徴されるように、表向きあかりが地上に出ていく行為を認めるわけにはいかない。

 

ただ、うろこ様は海村の人間の味方であると思う。いまだ正体不明のうろこ様に全幅の信頼を置いてもよいのかは疑問だが。
おそらく彼はあかりが拒否することを分かったうえで上の提案をしたと思うが、それはつまりあかりが至さんとくっつく未来しか残されていないということ。

よって、物語としてはあかりが地上に出る方向に進むのであろうが、正直なところ展開の予測が全くできない。
あかりの地上進出を、海神様の使いであるうろこ様が許可し、海村の人間が祝福している未来。そんなあかりと視聴者にとって都合の良い未来は来るのでしょうか。

 

4話時点で一つ言えることとしては、上のセリフ「承知いたして~」の「今」がいつまでを示しているのか。こういった曖昧な部分が伏線として敷かれていることで、物語が思わぬ展開に動く可能性を秘めていることくらいだろうか。

 


ここからやっと本編へ。
といっても前置きで疲れたので今回はだいぶ端折りますが。

 

冒頭。負けん気の強いさゆと光の会話で、印象的なシーンがある。

 

光「俺もお前のおやじのこと気に食わねぇ。子供がいるのに若い女に手ぇ出すなんて、あかりに、姉貴にふさわしいとは思えねぇよ」
さ「お前んちのお姉さんがたぶらかしたんだろうが!」

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少し見づらいが、さゆが上のセリフを言ったとき、美海はさゆの前に腕を出している。

 

4話中盤以降に分かることだが、美海とあかりは元々仲が良かった。本心では今でもあかりのことが好きなのだろう。

だから他人にあかりの悪口を言われたくない。自身の母になろうとしていることは気に入らないが、人格否定となると話は別というところか。僕も自分が住んでいた田舎の悪口は散々言うが、余所者がわが故郷をコケにした日には末代まで呪いたくなるので彼女の気持ちはよく分かる。違うか。

 

光「お前、美海みたいな卑怯なやり口は、俺嫌いだ」

 

美海は、あかりから月島家の(母が他界しているという)事情を聞いていたのかもしれない。だから光は自分と同じような境遇にあって、唯一協力してもらえる≒自分の行動を肯定してくれると確信していたはず。

たぶん美海は本来めっさ良い子で、わがままを言うことも少なかったのだろう。
そんな彼女が幼くして母を亡くし、お姉さんと思っていた人が、その後釜に入ろうとしている。そんな現実を拒絶しないほうがおかしい。

けれども拒絶の仕方がわからない彼女は、友達であるさゆの方式に従った。
さゆは年の割に小難しい言葉をよく用いるが、それは弱い自分を隠すための盾であり、また自分の言葉ではうまく語れないことも示している。口よりも先に手が出るタイプとでも言おうか。

真正面から「いやだ」と言えない美海にとって、さゆの陰湿で直接的でない攻撃はずいぶんと手軽で気軽なものだったろう。
しかしそんな行為を光に一刀両断されてしまった。しかも自分に向かって直接「嫌いだ」と。

 

ここから卑怯な手をやめた美海。おじょし様破壊の件を光に伝えたのも、当事者である光に直接伝えるべきだという心境の変化か。
にしても、おじょし様を破壊したさゆに向かって美海が吐いたセリフ「そういう卑怯なやり口は、私大嫌いだ!」は、まんま光の受け売りですよね。笑

 

本当に光は名前のごとく、誰かの進むべき方向を示す灯台のような立ち位置になっている気がする。

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光と、背景に映る灯台

 

このシーンの後、光はまなかの頭をなでようとして手を伸ばすが、思いとどまる。

もはや目の前にいるのは自分が守るべき対象ではない。

 

ヒーローがピンチに陥った時、誰がそのヒーローを助けるのか。みたいな問いがあるが、まなかにとっての光がそうであるように、光にとってのまなかも自分の道を示す存在になっていた。
それに気づいた光は、自分と対等の立場にいる(むしろ自分よりも先を進む)彼女に向かい「ありがとな」と告げている。

 


翌日。光は地上のクラスメイトに謝罪し、心の壁を(物理的に)取っ払うことに成功。

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黒板に書かれた三目並べの形跡が細かい。どちらもおあいこなのだ。

 

さて。地上の連中と和解し、要に諭されたさゆが謝罪して大団円のハッピーエンド!・・・というわけにもいかないのがこのアニメ。ラストのちさきがダークサイドに堕ちそう。

 

ち「光をかばいたかった...だけど」

 

だけど、その必要はなかった。光は光のやり方で、誠心誠意正面から謝罪して、クラスメイトとのわだかまりを解消した。
自分がやろうとしたことは間違いだったのだろうか。波路中学ではなくなり、みんな少しずつ変わっていって、自分だけが過去にとらわれているような、そんな居たたまれなさを感じ始めている。

 

地上のクラスメイトにちらし寿司をわざとこぼされ、大好きなまなかがひどい目にあった直後でさえ「ねぇ、もうちょっと仲良くしたほうがいいんじゃない?」と言えるのがちさきだった。
ちさきの「仲良くする」というのは光の考える仲良しとは多分違って「波風立てず、うまくやっていこうよ」ということ。

 

ちさきが事実を隠匿しようとした行為は、光の言う卑怯で嫌いなやり方だろう。そんなこと、ちさきが一番分かっているはずである。

じわりじわりとちさきの心が荒んでゆく。。。がんばれ。

 


にしても、ちさきがはじめて感情を露わにした直後の紡くんのセリフ「俺、海が好きだ。シシオのヤツも」がとてもかっこ良い。
海は荒れることもあれば凪ぐこともある。そういう様々な側面を許容するのが「海が好き」という一言。

紡くん自身、おそらく今後も感情を爆発させることはないと思うが、だからこそ複数の顔を持つ(=感情的な)海村の人間にあこがれを抱いているのかもしれない。

 

というわけで今回は以上。

次回に進むにあたり、ちさきの精神状態が不安でならないが、どう対処していくのか。

 

また、前回までに残った謎として挙げていた

  • ガム文字を残した少女2人組の正体

は解消されたと言って良いでしょう。

全貌は明らかになっていないものの、美海は(あかりが思いを寄せる)至さんの娘で、さゆはその友達。
彼女らの過去エピソードも簡単に紹介されたことで、十分に自己紹介は済んだと判断します。

 

さらに

  • あかりのお相手の正体(あかりとの馴れ初め・妻の存在)

こちらもある程度は把握できたので次回以降は除外。みおりさんという海村出身の女性と親交のあったあかりが、その家族である潮留家の人たちと知り合うのは自然な流れである。

 


そして以下が、いまだ明らかになっていない謎

・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは

謎はだいぶすっきりしたが、心のモヤモヤは蓄積していくような。そんな人間臭さがこの作品の魅力かと。4話で作品を語るな、って感じですよね。

それではまた次週。

 

 

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