お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

クリアファイルくるくる問題

冬になった。
乾燥の季節である。

もう唇なんてカッサカサ。
年末のガキ使特番を観て大笑いしたら唇が裂けて血が出た。

結構パッカーンといったみたいで、こりゃ唇に「あけましておめでとう」を先越されたな、なんて思った年越しであった。

唇に限らず顔も手足も乾燥するので、まったく困ったものである。


乾燥するともうひとつイヤなことがあって、それは皆さんご存知の静電気。

洗濯物を取り込もうとすると必ずそのモーションのうち1回はバチッと火花が散るので、ただでさえ風の冷たい外に出る動作にも億劫さが加速する。
特に窓や扉を開けるときなんて恐怖でしかない。

随分昔の名探偵コナンでは「静電気を怖がる人は指先一本で触ろうとするけど、案外思い切って手のひら全体で掴んだほうが放電の量が分散されてバチッとこない」などと言っていたので、コナン君の言うことなら間違いないだろうと思って実践したらめちゃくちゃ痛かった。


マジで許さんコナン君。
自宅のドアの前で蹲りながらダミ声で「あれれ~おかしいぞ~?」と悶絶していた僕の気持ちを少しは考えてほしい。


とまぁ静電気というと特にこの時期嫌なイメージが先行してしまうのだが、その言葉を聞いてもうひとつ思い出すのはアレだ。

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コレだ。

いやこれじゃない。ひとりでやって何がそんなに楽しいのか。


小学生のとき、よく休み時間に髪の長い女の子でこれをやって遊んでいた。

今にして思えばあの時が合法的に女の子の髪の毛を触る最後のチャンスだった気がするので、いやはや幸せとは失って初めて気付くものである。


僕は下敷きがあまり好きではなく、小学校3年生くらいのときにパキンッと折れて以来一度も使用したことがないから、基本的にこの遊びは他人の下敷きを使用していた。


下敷きというと思い出すのが、おそらく静岡県民の僕と同じ世代なら「うわっ、懐かしい!!」と思ってくれるであろうアレだ。

 

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コレだ。

 

たしか学校で無料配布されたこの下敷きの保有率は異常に高く、さくらももこさんの出身地である静岡県民(のおそらく20代)はこの下敷きに見覚えのある人も多いと思う。

下敷きを髪の毛に数回こすり付けて、ただ引き上げるだけの暇つぶしにもならない暇つぶし。
いったい我々はあの遊びのどこに楽しみを見出していたのであろうか・・・。


まぁ幼い頃から日常的に科学の実験をするのは殊勝な心がけだとは思うので、下敷きを持っていない僕のような人間はクリアファイルでも使って遊んでみるといいと思う。

ただしクリアファイルの場合、新品のときはいいけどなんか一週間くらいすると急にカールし始めてそのまま形状記憶してしまうという謎現象が発生するので、そこだけ注意が肝要である。


そもそもどうしてクリアファイルは反り返ってしまうのか。
内部の書類をプロテクトする役割を担うファイルがそれを放棄するように外側に逃げてしまうのは、構造的欠陥ではないのか。

せっかく自分の好きなキャラクターがデザインされたクリアファイルを購入しても、数ヵ月後にはいつの間にか斜めに折れ目がついていて、あげく挟んでいた書類の角も折れ曲がっている。
もはや何のために存在しているのか分からないポリプロピレンの物体。

 

いや、だがちょっと待ってほしい。
責めてばかりの僕だったけど、よくよく考えると、彼は重力に反した動きを見せてくれている。

重力というのは地球上に存在する限り等しく物体にかかる力だ。
しかしクリアファイルのそれは、その力をものともせず一心不乱に上体を反らし続けている。

どんなに重たい書籍で挟もうと、逆向きにカールさせようとしても、頑として元の状態を保持しようとするその姿は、これこそ平成時代に生まれた僕らが見習うべき手本なのではないだろうか。


強い権力にも屈しない、寄る辺がなくとも立ち上がる、そんなクリアファイルを、その他多数は馬鹿にして笑うかもしれない。
常識がないのか。お前は言われたとおりに仕事をこなしていればいい。そんな言葉を受けても自分の信じた道を敢然と進む、そんなクリアファイルに僕はなりたい。

 

 

なりたくない。