お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第26話「海の色。大地の色。風の色。心の色。君の色。~Earth color of a calm~」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

 ・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

↓前回の記事↓

ex-finprethe.hateblo.jp

 

以下ネタバレあり。

 

冒頭。
大荒れとなったおふねひきの途中からスタート。

光からまなかを託されたちさきは。彼女を抱きかかえたまま地上に戻ってくる。

 

「まなか!まなか!まなかぁっ!」

 

ちさきは呼びかけるも、まなかはまどろみの中。

 

「そう、呼吸するみたいに。私だけじゃなくて、色んな気持ちが心の中に入ってきた」

 

まなかは美海によってエナを、そして「人を好きになる気持ち」を取り戻すことができたようだ。
それと同時に、たくさんの人の想いが彼女の中に染み入り、ここでようや海神とおじょし様の物語の続きが明かされる。


ここで一度「凪のあすから」のおさらいをする。

まなかのことが好きな光は、彼女が紡くんという地上の人間に惹かれてゆく様子を見て、彼女の背中を押そうと決意した。
だが実のところまなかは光のことが好きで、光はそれに気づくことはなかった。

そのまんま海神とおじょし様の物語であることに気づく。
光は海神と同じ道を辿っていた。そしてこのセリフ。

 

「好きにならなければ、辛くならない」
「誰かを想えば誰かが泣く。誰かを犠牲にして傷つけて、そんなのが好きって気持ちなら、人を好きになるって、最低だ」
「奪ってくれよ海神!俺の誰かを好きになる気持ち、まるごと全部どっか持ってってくれ!そんで、美海を助けてくれ!」

 

海神は自分の気持ちではなく、おじょし様の気持ちを優先して、彼女を地上に戻している。
ここで光の発言に海が反応しているのは、彼が「悲しい結末」の物語と同じ選択をしたから。

 

「凪いだ海は、おじょし様の心。もう激しく荒れることもない。愛を失った、平静の心」

 

これこそが凪の海。
海神もおじょし様も誰も幸せにならない、そんな結末。


けれど、そんな光の叫びを聞いたまなかは「その結末は間違っている」と答える。

 

「大丈夫だよひーくん、美海ちゃんの気持ちは」

 

何が間違っているのか。直後の美海。

 

「誰かを好きになる気持ちは・・・」
「光に伝えたい。こんな風に私を想って泣いてくれる人を、好きになって良かったって」

 

海神はおじょし様に惹かれていった結果、辛く苦しい思いをすることになる。
そして同じ思いをおじょし様にも背負わせていることに耐えきれず、地上に帰すことにした。彼女の「人を好きになる気持ち」を奪って。

なぜそんなことになってしまったのか。「好きになる気持ち」があるからいけないのだ、と。

そして同じ結論に至った人物がもうひとり。光である。

 

「誰かを想えば誰かが泣く。誰かを犠牲にして傷つけて、そんなのが好きって気持ちなら、人を好きになるって、最低だ」

 

そんな彼らに、美海は語る。

 

「好きな気持ちは、ダメじゃない」

 

うろこ様は呆れて笑っていたが、海神はようやくおじょし様の本当の気持ちを知った。
「人を好きになる気持ちを奪う」のは、凪の海は、間違っているのだと。

 

「傷つかなければ波が立つことはない。しかし、そこに悲しみはないが、同時に喜びもない」

 

このセリフはうろこ様というより、海神様の代弁という側面が強いだろう。
美海らの働きかけにによって、海神様がこの結論に至った。それがとても重要なのである。

 

「儂はうろこ。海神のうろこ。けれど海神と同じく、おじょし様。あなたを永遠に愛している」


これで海は長い凪から解放される。

 

「永遠に変わらない心。時の流れに変わっていく心。そのすべてが間違いじゃない」

 

人間はあらゆる感情を持っている。それが時に悲しみを生み、誰かを傷つけてしまう。
しかしだからといって、その気持ちをなかったことにしてはいけない。奪ってしまってはいけない。それらすべての気持ちは、間違いじゃない。

セカイ系らしく、だいぶ大きな話になってきましたね。


「おかえりは私のセリフだよ、美海ちゃん!おかえり!おかえり!おかえり!」

いつもの海が、美しい海が帰ってきた。

 


ここから先は後日談。
第一話との対比が鮮やかに描かれているので、改めて見直してみると面白いし、何より感慨深い。

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もう網の中には誰もいない

と、ここで晃がシオシシオに登場(笑)
まさか本当にエナを獲得していたとは。

 


個人的には要のこのシーンが好きです。

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なんてことない描写だけど、1期OPでは光が同じような動作をしていた。
その当時に要がこんな子供っぽいことをしていたら、ちょっと違和感があっただろう。

だが26話の今では、この描写にもはや何の不思議もない。
そういった視聴者としての変化もなかなかに面白い。

 

ま「海に溶けて、空気に溶けて、時間を越えて、伝わる気持ち」
光「この世界には、たくさんの思いが輝いている」

 


~完~

というわけでここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。

 

  • 残った謎について

 ・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

これだけ一応残していたが、26話終了後に改めて考えてみると海神様の感情が残っていたのでは、と推測できる。

まぁうろこ様の真意はついぞ明らかにならなかったが、海神とおじょし様の物語で、海神の姿はうろこ様として再現されていた。
つまり(少なくとも26話において)うろこ様=海神様と捉えることもできるだろう。

それよりも謎を謎とすら認識していなかったのだが、「凪のあすから」は「凪のEarth Color」だったとは。
最終話のサブタイトルとして出してくるなんてなかなか粋ですね。

 

それから、最後に一つだけ。
最近はアニメの配信環境も整備されてきて、2倍速で視聴される方もいらっしゃると思います。
時間に追われる現代社会であれば、当然の流れでしょう。
しかし、2倍速では本作品に象徴されるような美しい背景、細かい描写を見逃してしまうこともあるでしょう。
たしかにストーリー展開にはついていけるでしょうが、細かい心象描写を堪能するのもアニメの醍醐味の一つであると考えています。
「絶対2回観ましょう!」とは言いませんから、せめて1回は通常速度で観てみることをお勧めします。
出過ぎたことを申しました。

少なくとも僕はもう一度、この作品を見直してみようと思います。
ありがとうございました!

凪のあすから 第25話「好きは、海と似ている。」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

 

↓前回の記事↓

ex-finprethe.hateblo.jp

 

以下ネタバレあり。

 

 

さて、凪のあすからも本話を入れて残すところ2話となり、クライマックスもクライマックス。

最終話まで完走するぞ!と自分で課しておきながら実のところ毎週続けるのは本当にしんどい。
なんだったら来週も書かずに終わらせたいレベル。

1記事4000文字としても26話で約10万文字なので、トータルで考えれば単行本1冊分が堂々完成する文字数である。
といっても誰も読んでないだろうし、ここまで無駄な10万文字の使い道もそうそうなかろうが。

でもせっかくここまで来たので、来週の最終話まできちんと書いて、ハッピーエンドまで見届けて去ってゆこうと思います。
というわけでもう少しお付き合いください。


25話はたくさんの伏線が回収され、最終話に向けてのラストスパートが開始された。

「さてさて次話に向けてどんな考察をしようかしら、そういえば他の人はどういう感想を持ったのかな?」

そう思って何の気なしに覗いたページの記事が、僕が書こうとしていたすべてを書いてしまっているのに気づく。

「あれ、今から書くのって意味ないんじゃね?」

気付いてしまった。
というか、今さらながら2013年のアニメを考察しているのがおかしい。時代は令和だよ?

これでは「結末知っているやつが、知らない体で次回の考察を書いている」と思われても詮方なかろう。
完全な後出しじゃんけん

なので今回の考察に関しては他サイトに任せて、気の向くままにあれこれ書いていくことにする。
急に偏差値が下がるでしょうが、ご容赦を。

 

ちなみに、こちらのサイトに今回書きたかったことが全部書いてある。

ch.nicovideo.jp

なんだったら自分が書こうとしていた内容よりも粒度が高いと思われるので、本ブログの上位互換です。デバイスで言うと数世代分のビハインド。


25話のメインは、言わずもがな美海とまなかの「好き」が共鳴してゆく過程であったわけだが、それと同時に本作品に通底する「テーマ」みたいなものも、ようやくそのベールが剝がされてきた。

紡「きっと、好きは海と似ている」
美「好きは、海と?」
紡「楽しさや、愛しさだけじゃない。悲しみも苦しさも、色んなものを抱きしめて、そこから新しい思いが生まれる」

海はあらゆる生物の起源とされており、本作品でも第1話で説明があったが、陸の人間はもともと海の人間だったという。
だとしたら、あらゆる人間がエナを獲得する可能性は大いにあるはずで、現に美海や紡くんは既にエナを得ている。

エナの獲得条件は、本話で紡くんが発言していたように、海が「思いに反応する」こと。
つまり、「海」が好きな人間である。

そうして考えると、この作品に「エナ」という曖昧かつ明快な境界線が存在する意義が分かる気もする。

 

 

  • 境界線

今回もたくさんでてきた境界線。
しかもそれがきちんとストーリーに生かされている。


例えばこことか、

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こことか。

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しかも、どちらも「失恋」を表しているのが面白い。
これまでも踏切は「好き」の気持ちを伝える境界線としての役割を果たしてきたが、今回は逆。

要のシーンは、彼と紡くんを分断することで、ちさきを追うことをやめた要を示している。
それを証明するように、おふねひきのてんやわんやでは、ちさきを追っていたはずの要が舟に引き返し、さゆの転落を防いでいる。

一方、美海は躓いて転び、線路の真ん中に倒れこんだまま泣いている。
要が境界線を越えたのに対して、美海は越えることも、引き返すこともできなかった。けっきょく彼女は、光を好きな気持ちを完全には諦めきれていない。

しかし、だから(光を好きな気持ちがあるから)こそおふねひきでまなかが転落したとき、美海の思いが海に溶け、まなかのエナが復活した。

数話前までは、まなかにエナが戻るとき、代わりに美海のエナが消失すると思っていた。

「何かが現れるとき、何かが失われる。さすれば、足し引き同じになるというわけじゃ」
18話にて、うろこ様のセリフ。

だが、まなかも美海も「同じ海」が好きな2人だ。であれば、両立は可能ということだろう。

 

 

  • 回収された伏線のまとめ

さて、今回はかなり謎が回収されたので順々に確認してゆく。

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容

これは「ひーくんが好き」でしたね。
まぁ予想通りというか、これは約束された言葉でした。


・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由

これは深い意味なく残してきたが、今にして思えば紡・ちさきルートのフラグとしか思えない。
ここで紡くんに海の思いが反応しなかった(エナを獲得できなかった)と考えるよりは、ちさきを地上に残すためのギミックとして考えるほうが良い気がする。


・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由

これは・・・明かされるとかそういったこと以前に、おそらく5年間という年月の長さを表しているのでしょうね。
着衣すら風化してしまうほどの長い年月が経過し、ようやく帰ってきたのだと。

と思っていたのだが、海村に残っていた人間たちはみんな服を着ているので、まなかの思いが源流となった潮に流されるうちに、服が脱げたとか?
だとしたら、おじょし様の墓場でまなかが裸になっていた理由が不明。

なので、おそらく一番上の予想が正しくて、そのほかの人はどうでも良いので服を着せておいたのでしょう。
だって、光が地上のあれこれを親父さんに向かって話している間、裸だったら何かイヤじゃないですか(笑)


・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

これについても明言こそされていないが、おそらくまなかの「好き」が奪われていることを知っていたからではないだろうか。
とはいえもしかしたら26話にて明かされるやもしれないため、一応残しておく。


・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

これは上でも少し述べたが、海が「思いの強さ」に反応すると、エナを身にまとうようになる。
何の「思い」であるかというと、「海が好き」という気持ち。

美海は、お母さんが好きだった海が大好きで、そして海のような光のことが好き。
紡くんは色々な側面を持っている海が好きで、そんな「海みたい」なちさきが好き。

「さゆはどうだろう」と考えてたのだが、どちらかというと晃が獲得する可能性が高いように思う。
晃はなぜかまなかのことがめちゃくちゃ好きで、まなかは海そのものであった。
であるならば、晃がエナを獲得してもおかしくないと思うのだが、さすがに最終話で晃が海に落ちるとも考えにくいので、そこまでは描かれないかな。


というわけであと1話。
残っている謎は、以下の通り。

 ・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由

 

次回はきっと伝承のこと、海神のこと、おじょし様のこと、そして美海のこと・・・
色々な物語が明らかになって、終わりに向かっていくのでしょう。

正直あと20分余で足りるのか?とは思うが、来週を楽しみに待っております。

それではまた次回。

凪のあすから 第24話「デトリタス」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。

 

前回までに残った謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

 

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 

 

冒頭。
まなかに向かって「なんかちょっと顔色・・・」と言いかけた美海が気になるが、それ以上に前回ラストの告白シーンの続きが気になる。


紡「そう、感じてたんだ。お前の気持ち、今は俺にあるって。それ、俺の勘違いだったのか?」

 

そう言ってちさきを抱き寄せる紡くん。
このアニメではこれまで中学生の恋愛模様しか描いていなかったので、こういった何気ないシーンでも妙に生々しく感じてしまう。

 

「私は紡のことなんて、好きじゃない!」

 

言葉の上では否定しているが、ちさきが好き嫌いをはっきり述べること自体がおかしい。

自身の中にある色々な思いが混じりあって、逃げただけでしょうね。

とはいえ、形式上は振られてしまった紡くん。
想い人に思いっきり突き放され、走り去った直後のセリフがこちら。

 

「・・・気持ちが、漂ってる」

 

いやいやいやいや、鋼の精神力かよ。
ポエム詠んでる場合じゃないでしょうに。

 

 

OP終了後、逃げ出したちさきは木原家に戻ってきていた。
その場所に残っている思い出は、自身が紡くんを意識しているのだと、そう証言しているかのよう。

「たった5年。紡と過ごした時間はたった5年。光たちとは、生まれたころからずっと一緒にいたのに・・・」

紡くんに暴かれたように、ちさきは彼への恋慕を自覚している。
しかし、それを認めるわけにはいかない。

 

「紡のことは好きになっちゃいけない。そう、光以外の人を好きになったりしたら、眠り続けてるみんなを、時間を止めたままのみんなを裏切ることになるって思って」

 

ようやくちさきが本心をきちんと口にしたことで、自分の考察が若干ずれていることが判明。

てっきりちさきは「変わりたくない=あの頃の4人の関係性を壊したくない」という思いが先行して自分の心に蓋をしていたのだと思っていたが、実際は「自分だけ変わってしまうことで3人を裏切りたくなかったから」とのこと。

ちさきがちょっとくらい変わったところで誰も「裏切った」とは思わないでしょうが、ちさきにとっては「まなかのことが好きな光を好きな自分」で居続けることが最優先になっていた。
そうすることで、自身の時間もピタリと止めたのだ。

だから当然紡くんとの関係は進展しないし、ちさきを想う紡くんの心も停頓させられていた。

 

しかし、そんな枷とは裏腹に、心とは変化するもの。
認めたくないのに自分の気持ちは紡くんに大きく傾きはじめ、そんなちさきは5年ぶりに光と出会い「変わっちゃってごめん」と言った。

しかし光は「お前全然変わんなくて安心した」と返している。


この言葉にちさきが救われたのは、「自分は5年間、きちんと光を好きなままでいられ続けたのだ」と思えたから。
もちろん光の言う「変わらない」は別の意味なのだが、ちさきは5年越しの課題をクリアしたのだと、その安堵は大きかったに違いない。

 

それからもう1つ。
ちさきが光を好きなまま(正確には紡くんを好きだと認められなかった)理由としては、まなかという存在がある。

たとえばまなかの「好き」が戻らないうちに紡くんと自分が付き合ったりすれば、それこそ大きな裏切りである。
そんなことをちさきが許容できるわけがなかった。

だから要の言葉は足枷の1つを外すことにはつながったものの、まだ足りない。
まなかの問題が解消されない限り、ちさきは自らの足で前に進むことはしないでしょう。

 

であれば、そこは紡くんが無理やりにでも引っ張るのか。
あるいは(おそらく最終話で)まなかの問題を解消した後に動き出すか。

それは次回以降の展開によるので、楽しみな点ではある。


しかしこのときの要さんは切ないなぁ。
自ら斬られに行くのは潔いし、かっこいいとも思う。
実際、要はちさきの前で決して弱さを見せないよう努めているだろうし、これが一番スマートな振られ方だろう。

だからこそ、この後のシーンが対比をなすように燃えるわけでして・・・。

 

 

シーン変わり、美海と光。

光はまなかのために自分を犠牲にしている。
だから、そんな光を好きな美海は、こう思う。

「まなかさんを想う光に、せめて私ができること。光にこの気持ち、気付かれないようにすること」

と言いつつ、美海が光を見つめる目は誤魔化しがきかないレベル。
これはフラグとしか思えないのだが。。。

 


翌日。
ちさきは病院に行き、勇さんからおじょし様の話の続きを聞く。

 

「愛する男は死んでいた。消えたおじょし様を探し、海に入っておぼれ死んだと。地上に戻ったおじょし様を待っている者は誰もいなかった」

 

・・・え。本当にこれだけかよ。
なぜこんなオチのない話が語り継がれているのか謎でしかないが、いや、オチがないから語り継がれていないのか。

しかしさんざん引き伸ばしておいてコレはない。
ので、きっとあと2話で本当の結末みたいなものが明かされることを願う。


次のシーンからは、ようやく最終話に向けて物語が動き始める。

「おふねひき。おじょし様を捧げれば、また地上の終わりは緩やかになるんじゃないかと。それに向井戸の気持ちも、元に戻るかもしれない」

なるほど。
1期のラストがおふねひきで終わったように、物語のラストもおふねひきで締めると。
たしかに「何かが起きる」ことは間違いない。

 

それにしても、そこへの持っていき方がやや強引か。


「あのペンダント。あれに向井戸の気持ちが込められているなら、木のおじょし様につけることで、向井戸の代わりにならないか?」
「向井戸が戻ってきたと海神の思いが勘違いすれば、奪われた向井戸の気持ちも元に戻るかもしれない」

 

木のおじょし様にまなかのペンダントをつけるのは悪くない案だと思う。
だが、それによってまなかの「好き」が戻る必然性はない。光が言うように「めちゃくちゃ」であるとも思う。

でもまぁ、そこは一旦置いておこうじゃないか。
紡くんが説明するから理屈ぽく聞こえるだけで、1期の頃だって「めちゃくちゃ」な理由で始まって、「めちゃくちゃ」な結末を迎えたじゃないか。

そういった、あらゆる「どうしようもないこと」に抗う物語が凪のあすからだとしたら、とても人間的な働きで良いと思います。


てなわけで、地上ではおふねひきの準備がはじまった。

 

ちさき「まなかは私が地上にいる間、5年間もずっとおじょし様の代わりになっててくれたんだよね。そうしたら、今度は私が・・・」
紡くん「ちさき!」

 

「ずっと蚊帳の外」の要は、5年前よりも後退して、二人の様子に聞き耳を立てるだけ。
傷心の要に「サボり」と後をつけてきたのは、そのさらに後ろを歩くさゆであった。

 

踏切での告白シーンは良いですね。

このブログで散々触れてきたのでもうやめるけれども、これまで届くことのなかった気持ち(遮断機が下りて道が分断される)が言葉として届き(電車が通過)、そして遮断機が上がる。

映像やその動きもかなり凝っていて(振り返るような姿勢だった要がきちんと向き合うところなど)、製作者の熱意を感じる。

だが、それよりも個人的に注目したいのは要という一人の男の子。
初めて年頃の男の子らしさを見せたというか、誰かの前で弱さを見せるのはかなりレアなんじゃないかと。

 

「さゆちゃんのこと、これからちゃんと見てみる。ちっちゃな女の子じゃなくて、同じ歳の、ひとりの女の子として。そこからとりあえず考えても良いかな、さゆちゃんとの今後」

 

失恋したての要にとってはこれが精いっぱいで、最大限でしょう。
そして次話以降のメインストリームは光とまなか(と美海)になると思われるので、これ以上の進展はないはず。
だが、これで良い。

要が抱えていたのは恋愛的なディスアドバンテージだけでなく、もっと大きな人間としての存在意義が薄いという問題。
前者は木端微塵に砕かれたものの、後者はさゆに救われたことでだいぶ楽になったはず。

ずっと報われない役回りであったため、個人的には良かったなと思っています。

 


というわけで今回はここまで。
まなかの問題に進展はないものの、ラスト2話に向けて少しずつ外堀を埋めてゆく意味合いで
・ちさきと紡くん
・さゆと要
恋愛模様は一旦区切りがついたと思われる。

正確にはちさきがまだヨロヨロしているが、そこは紡が引っ張っていただいて。ね。

 

残っている謎

・9話ラストでまなかが赤ウミウシに告げた内容
・紡くんが13話にて海に落とされた(設定上の)理由
・海から帰ってきた光(と要)が裸になっていた理由
・18話にてまなかを連れ去ったときにうろこ様が物憂げな表情をしていた理由
・紡くんがエナを獲得した理由(エナを獲得する条件)

 

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