お金がほしい

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2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

凪のあすから 第3話「海のいいつたえ」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。


前回までに残った謎は以下のとおり。

・御霊火とは
・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・あかりのお相手は誰か

御霊火については、第2話の紡くんの質問により概要はつかめたので、今後外しておくことにする。


↓前回の記事↓

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僕の性分として、こういったストーリー展開のある話を視聴するばあい、可能であれば一気見したいのである。続きが気になるというのもそうだが、なにより1週間も空くと前話の記憶がすっ飛んでしまう。
とはいえ、結末まで視聴してから書くのも面白くないし、結末を知った状態では次回の展開予測なんてただの予定調和になる。

そういうわけで、どうにか次話に伸びる手(正確には指)を抑えつつ、無事に3回目を迎えました。
同時期に視聴してくれる仲間がほしいと思うんだけど、その実現のためには今期アニメをリアタイ視聴して記事にするしかないのかな。

こうやって2013年のアニメを1話からあれこれ予想している記事なんて、今日日探してもそうそうないでしょうし。


以下ネタバレあり。

 

名栓自性という四字熟語がある。名前がその人やモノの性質を表しているという意味である。

まなかはなんとなく4人の中心にいる。
光は先陣を切って何かをすることが多く、暗夜の灯のような立ち位置。ラピュタでいうと飛行石。
要は理知的なので、ブレーン的存在。
紡くんは今後おそらく、地上と海村とを繋ぐ役割を果たすことになろう。ちさきは・・・よくわからんが。

 

本編スタート。

 

前回のラストで、あかりが地上の男とデきていたことが露呈してしまった。そのことに関してうろこ様とあかり、父親で鼎談をしている。

それを覗き見する二つの影。光とまなかである。

ま「今うろこ様おならしなかった?」
光「なんで屁の音だけ聞こえんだよ!」

まなかの発言は、屁のような音のするぎょめんそうの遺恨か。


直後、ちさきと要が噂を聞いて駆けつける。
正直要はグレーだと思うのだが、ここで登場したということはやはり、表向き光と対立する気はないらしい。


OP終了後、廃校となった懐かしの波路中学に戻ってきた4人。
彼らとっては作戦部屋というか、秘密基地的な立ち位置なのだろう。

 

あかりの恋人?についてあれこれ語らう4人。

ち「でも優しそうな人だったよ?」
光「ちさき、男の趣味悪いな」
要「それは言えてる」

笑った。即答の要さん、光に同意しているようで同調していないのがとても面白い。光とまなかには知る由もないが。

 

光はまなかと紡くんのこともあり、地上と海の人間の恋愛には拒絶反応を示している。
というより、地上の人間が諸悪の根源であると言わんばかり。純粋に地上の男がいけ好かないだけでは。

 


男性陣の作戦会議の傍ら、なぜか木琴(マリンバ?)のドの音を鳴らし続けるまなか。木原くんだから木琴...てのは考えすぎか。何でもかんでも恋愛に結びつけてしまうのは良くない癖である。
廃校になる前に黒板に一瞬映し出された曲の練習をしていた、とかそんなところだろう。あとはもちろん、心音の役割も果たしているとは思うが。

 

なにかを見つけたまなか。

ま「ちぃちゃん、ウミウシ!」
ち「あぁ、すごい!お腹赤いの!」
ま「お腹の赤いウミウシに、誰にも言えない気持ちを伝えると教えてくれるんだよね、これから先のこと」
ち「うん。口から黒い石を吐いたら、その気持ちは間違っていて、綺麗な石を吐いたら」
ま「その気持ちは宝石みたいに、永遠に輝き続ける」

 

ここでいう「綺麗な石」というのが少々引っかかる。黒い石というのは明確で判別の付きやすい表現だが、綺麗の定義は人それぞれ。夢見がちな乙女心のフィルターによる発言なのか、あえてなのか。
あるいは伝言ゲームよろしく伝承特有の尾ひれがついたパターンか。いずれにしても眉唾ものではある。

紡くんを木原くんと言い直したり、「エッチだと思った?」とちさきに問うたりと、ずいぶん光の発言を気にしているご様子のまなか。

 

光はまなかの複雑な胸中を知り、家に戻る。

光「地上の人間と、海の人間の・・・」

地上の人間と海の人間の恋物語。それは1話でも紹介されたように、はるか昔、海神様とおじょし様が子をなした伝説がある。
そして現在、まなかと紡くん、あかりと漁協の男。
光は、あかりには幸せになってもらいたいと思っている。しかしそれは地上の人間と結ばれるのを是とすることと同義であり、まなかと紡くんの恋模様を否定できなくなる自己矛盾が生じる。

布団をかぶった光は、今後どう行動するのか。

 


翌朝。ガバガバ作戦が失敗になり「卑怯者!」と叫び自転車を盗む光。

2話でも黒板に書かれていたが、地上はオシオオシ(鴛大師)と言うらしい。
海中がシオシシオで地上がオシオオシ。ややこしいな。


車を追いかけた光たちが到着したのは幸か不幸か、奇しくも紡くんの家だった。

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まなかはこれで隠れているつもりなのか。紡くんの家と分かり、様々な感情が入り混じっているのは分かるが。

 

そしてこの直後、光に放ったおじいさんのセリフが気になる。
「この眼、コイツは嵐だ」
この言葉は今後の展開の暗示か、あるいは布石か。


「地上の人間と海の人間がひとつになるのは、並大抵なことじゃない」
光の突撃に混乱する男性。それに比べておじいさんの察しのよさよ。

 

そして紡くんのありがたいご説明。

エナは胎児が包まれている羊膜と似た組織で、地上の人間はこれを破って生まれてくる。だけど、海の人間は肌と一体化した状態で生まれてくる。まるで、魚のうろこみたいに。海の人間が水中で呼吸ができるのは、エナがあるからこそ。海の人間と地上の人間との間に生まれた子供は、エナを持たないんだ。

もうひとつ。乾燥した場所では、エナが水分を吸って溜め込むという特性も明らかになった。

この特性についてはこれまでも別に気にならなかったわけじゃないが、たとえば「どうやって海中で肉じゃがを作るのか」なんてことを考えてもキリがない。創作物の良いところは、都合の悪い設定を「所詮、アニメなので」と一蹴できる点にあると思っている。

ということで不問にしていたが、一応理にかなった説明がされたのは満足。

 

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2話より抜粋。見返してみると、黒板には「少子高齢化」の文字が。人口減少に歯止めをかけるため、海村が追放という重い処罰を設けている理由がうかがえる。

 

目を覚ました光がお礼を言ったとき、おじいさんは海村出身であることが判明。
紡くんは海村に関する知識をおじいさんから聞いたのだろう。そして先刻のひと悶着で「地上の人間と海の人間がひとつになるのは、並大抵なことじゃない」と発したのは、おそらく実体験によるものに違いない。
紡くんがエナを持たない地上の人間であることからも、おじいさんは地上の女性と結婚し、子孫を残したといったところか。

では、どうして紡くんはエナの特性である保水機能を知らなかったのだろう。おじいさんと一緒に暮らしていて、あれほど海村に詳しいのならば知っていても不思議ではない。むしろ知らないほうが不自然である。
人間の肌と同じで、年齢とともに水の吸収力が減退するとか?

 

翌朝。紡くんに一歩近づいた光。昨晩の葛藤を経て、心境に変化が生じた結果である。
あと、はじめてまなかが要と呼んでいるところを見た気がする。

というか、これ。
光→ひーくん
ちさき→ちーちゃん
要→要
・・・おかしくない?普通「かーくん」じゃね。なに苦手なの?

 

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紡くん以外の地上の人間は、このやりとりと奇怪な目で見ている。


教室に着き、ちさきと会話する光。

光「なんかうちの姉ちゃんみてぇ」
ち「ご、ごめん。また大人ぶった・・・よね?」
光「いつも悪いな、心配かけちまって。俺もちょっとは大人になるように、頑張るからさ」
ち「光・・・?」

ちさきが大人ぶっているのではなく、自分が子供であったと自認した光。
しかし「姉みたい」という発言から、光はちさきを1ミリも異性として見ていない様子がうかがえる。かなしいなぁ。


放課後、おじょし様制作のシーン。
ラーメンを生徒におごりたい先生が良い。気持ちがわからんでもないが。

そして紡くん発案の池が完成したらしい。

ここで紡くんの感情がようやくお目見え。友達関係の成立が目に見える演出はとても良い。光の感情も爆発。海と地上の溝が深いぶん感動もひとしお。
なにこのまぶしい青春。友達と水の掛け合いをしたい人生でした。

 


帰路。一人だけサヤマートに向かう光。背後から襲った犯人は、ガム文字の少女。

ちなみに少量のクロロホルムを染み込ませても人体への影響はほとんどないらしい。
名探偵コナンのように一瞬で気絶するのは致死量を染み込ませた場合なので、真実はひとつじゃありませんでしたね。

 

ラストのセリフ。
「あの、協力して。パパと女が別れるの、協力して」

 

光が殴り込みをかけた先日、男性が「あかりと結婚するつもりなのか?」という質問の答えにまごついたのは、そういう理由だったか。
にしても男の年齢が読めない。あかりは20歳くらいだと思っていたのだが、小学生の娘がいるということは同年代ではないだろう。青春群像劇で不倫問題が取り沙汰されることはないと思うが、だとすればバツイチか。

今のところあかりと男性の接点というか繋がりが見えないし、どちらかというとあかりが男性に惚れている描写が多いので、その背後関係については次話以降明らかになることを期待したい。
もしかしたら、あかりの母が早くに亡くなったように、男性の妻も早世したのかもしれない。そういう共通点を抱えている可能性は大いにあり得るだろう。

 

 

次回以降に向けての整理。

明らかに不自然な流れで登場したウミウシだが、今回のサブタイトル「海のいいつたえ」には十分合致しているし、まなかはおそらく持って帰ったので今後再登場する機会が設けられるだろう。
それ以前に、なぜヒトデとかハマグリなどではなくウミウシなのか。そして「お腹の赤いウミウシ」というのが何を暗示しているのか。
まなかのイメージカラーは赤なので(髪の色とか)、彼女自身赤いウミウシと親和性が高い可能性、もしくはウミウシの習性がまなかの役回りを示している、など。
いずれにしても今後物語の転換点、とまではいかなくとも重要な場面で登場することは間違いない。

 

  • 美海という名のガム文字ガールズの一人

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実はこの子今後かなり重要な立ち位置になるんじゃないかと踏んでいまして。というのも、本作品の女性キャラクターは全員名前が平仮名なのに、彼女だけ漢字。しかも地上の人間ながら美海というネームセンス。
次回以降、ひと癖もふた癖もある絡み方をするに違いない。年の割に妙に大人びているのも気になるし。

 

  • 橋脚の謎

一話からしばしば登場してきたが、本話でその登場回数を更新した橋脚。
以前の記事で、海と地上を繋ぐ役割を果たしていないという暗喩ではないかと推測こそすれ、本当のところが気になる。OP映像でも不自然なほど象徴的に描かれているので、その役割の重さは否が応でも気づくはずだ。話を追うごとに完成されていったりなんてするのでしょうか。

 


毎回恒例、残った謎は次の通り。

・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・あかりのお相手の正体(あかりとの馴れ初め・妻の存在)

 

今回は第2話までの怒涛の展開の整理という側面が大きかったので、そこまで話は進まなかった。次回はどうなることやら。

 

 

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凪のあすから 第2話「ひやっこい薄膜」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらぜひにコメントお願いします。


前回までに残った謎は以下のとおり。

・御霊火とは
・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは

↓前回の記事↓

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以下ネタバレあり。

 


冒頭、まなかの膝から魚がログアウト。正式には「ぎょめんそう」と言うらしい。
魚は「またね」と発して、少しだけ空いている窓から外に出てゆく。

窓が中途半端に開いている描写からは、まなかの内(海中)と外(地上)に対する立場が変化しつつある様子がうかがえる。

そんな曖昧な立ち位置のまなかだからこそ、真っ先に紡くんの言葉を思い出して意気消沈。
あれほど嫌がっていた「ぎょめんそう」は、いまや彼女にとって紡くんと自分を結ぶキーであったからだ。

その後馬鹿のひとつ覚えのように、うろこ様に煮物を投げつけて呪われそうと試みるも失敗。
うろこ様。煮物は食うが、食えない男である。

 

OP終了後、まなかと紡くんの会話に割って入る光。

「今のうちに言っておく。地上の奴らが海の村に関わるな」

純粋に受け取れば「まなかにちょっかいかけるな」と牽制する言い回しである。
が、それならば「地上の奴が海村の人間に関わるな」と言うほうが自然ではないだろうか。駆け引きを知らない光の性格であれば、なおのこと。

光はその後のまなかとの口論で「地上の奴らのせい」「連帯責任」と表現している。紡くんはなにひとつ悪いことをしてないと光も分かっているので、そう表現せざるを得なかったといったところか。
2話のサブタイトル「ひやっこい薄膜」は当初エナのことだと思っていたが、地上と海の確執についての含意が有力になってきた。


にしてもこの学校、青を基調にしているとは思っていたが火災報知器まで青いとは。
なにかの暗喩でなければ、御霊火しかりこの世界の火のイメージは青色ということかしら。

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まなかを慰めるちさきの言葉。
「光は怒っているわけじゃないから、まなかも怖がらないであげて。余計ムキになっちゃうから」
「そんなの、小っちゃいときからずっと見てきたもん。まなかのことも、光のことも」

 

そしてついにガム文字を残した少女2人組が登場。

威勢よく啖呵を切った少女は、言葉とは裏腹に体が震えている。
一方の、一見か弱そうに見える少女はずいぶんと肝が据わっているようだ。さては影の首謀者だな。

海村の4人でいるシーンでは、光とまなかは子供っぽい演出を施されることが多い。
しかし本当の子供が出てくると光は大人の対応。カチンと来そうなものだが、いたって冷静だった点は正直驚いた。

そして結局今回も2人組の正体は明かされなかったわけだが、ヒントは得たので所感や今後の予想は後述する。


ずいぶんと年季の入った防災無線の描写。
(千葉県のとある地方ではパンザマストと呼ばれているらしい)

 

その後場面は授業のシーンに移る。

セリフやモノローグに留まらず、黒板のようにこの世界の情報を提示してくれるのはありがたい。

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どうやら海村の名前は「汐鹿生村(シオシシオ)」というらしい。読みづらいし書きづらいから今後も「海村」と書き続けようかしら。


もうひとつの新出単語「おじょし様」はおふねひきで乗せる人形のことらしい。

先生の説明
「元々のおふねひきは生贄の女性を乗せて海の神様に捧げたのが始まりだけど、今は本物の女性の代わりにおじょし様と呼ばれる木彫りの人形を乗せるんだ」

 

今年は執り行われないらしいおふねひきの有志をクラス内で募るも、学級大反対。と思いきや立候補者が。

ここで手を挙げた順番が興味深い。
紡くん→まなか→光→ちさき→要


紡くんは漁師の家庭と言うだけあり、海村に造詣が深い。
「うろこ様」のことも「ぬくみ雪」のことも「御霊火」のことも知っているとは。いや待って、ぬくみ雪って私知らないんですが。

塩が雪みたいに降ってくる現象をそう呼ぶらしい。


シーン変わって帰路につく4人組。
偶然(光の姉である)あかりのキスシーンを目撃してしまう。それだけならば何の問題もないのだが、光が気に食わない点は、相手が地上の男だったこと。

それに追い打ちをかけるように、要から告げられた事実。
「地上の人間と結ばれたら、村から追放されちゃうんだ」

どうやら要とちさきは以前から知っていたらしい。
初耳の光とまなかは寝耳に水。


とはいえ光にとっては好都合な情報だったはずである。もし光が打算的な人間ならば、その話を聞いて即座に口元が緩むであろう。光はまなかに惚れているので、その彼女が憎からず思っている紡くんへのルートが絶たれるのであれば、思ってもみない幸運である。
しかしその事実に真っ先に反発する光という存在は、まっすぐな人間なんでしょうね。総括するならば、猪突猛進と言ったところか。


ま「や、やだ、エッチなこと言うひーくんは嫌いだよ!」
光「俺だって、エッチなこと言うまなかは嫌いだっての!」
ま「私、言ってないよ!」
光「言ってる! なんか最近、気持ち悪いんだよお前!」

ち「気持ちは分かるけど、あれじゃまなか可哀そうだよ」
光「分かるってなんだよ。なんだよお前、いっつも大人ぶってさ、何でも知ったふうで、お前に俺の何が分かるんだよ!」
要「今のはダメだね、八つ当たり。まなかについては、さすがにイラっと来るのは分かるけどさ」

またしても口論。というよりは衝突か。

ちさきは先刻まなかに対して「光の気持ちが分かる」と言っていたが、それを本人から否定されてしまう。
面白いのが、要も存外まなかに対して怒っていたこと。ちさきへの気持ちがある手前、4人の範疇から逸脱しようとするまなかを面白く思わないのは理解できる。

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ここで3人と仲たがいした光と心を隔てるように、全員ポールの向こう側から海に戻る演出が細かい。


廃校になった汐鹿生村立波路中学校にて語らう要とちさき。

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立て看には「6月末日をもって廃校」と記載されていたが、どうしてそんな中途半端な時期に廃校になったのかは謎。

 

ち「私は地上の人を嫌いとかってないけど、やっぱりずっと海にいたい。まなかと要と、光と一緒に」
要「この場所に居たいのは、そのほうが楽だからだよね。別の場所に少しでもあこがれを持ってしまえば、辛くなるから」

 

要さん。これ強烈にブーメラン刺さってないですか大丈夫ですか。

ブランコというメタファーは、悩みを抱えている人間が心の揺れ模様を表現する際によく用いられる手法である。
この場合はちさきが悩んでいたはずだったのだが、ちさきは停頓している。つまり彼女の心はいまだ波路中学校にあって、過去を引きずっているだけのこと。ちょうどぬくみ雪が積もったまま放置されているこの場所のように。
一方の要はなまじ適応能力が高い分、ちさきのいる波路中学校(これまでの自分)とそうじゃない場所(新しい自分)との間で葛藤がある。要するに、ちさきとの関係性の葛藤でしょう。

 


光のモノローグに関連して。

話が前後して申し訳ない限りだが、本話のサブタイトル「ひやっこい薄膜」について。

当初は安直に薄膜=エナと考えていたが、「ひやっこい」という表現が引っかかった。
光はモノローグで「エナみたいにあいつを守りたかった」と言っている。それに「ぬくみ雪」という単語からも海に関連するワードには温かさがこもっている。

つまり「薄膜」は心の隔たり。光と、まなか・ちさき・要。それから地上と海。と考えたほうが自然であろう。


場面は「おじょし様」制作に移る。
正直な話、2話にしてちさきのメンタル大丈夫かしらとかなり心配していた僕だったが、杞憂だったらしい。
ゴミ捨て場で自分の考えを整理している描写があるということはつまり、自分の思いや悩みをきちんと消化(≒焼却)できている証。


そこへ紡くんもログイン。このあとの発言は審議ですね。

紡「あの、目のまんまるい子」
ち「...まなかですか?」
紡「あの子の魚も、喜んでくれるといいけど」

今世紀最大の衝撃。
おじいさんに「あの汐鹿生の娘っ子はどうした?」と聞かれたとき、「元気だよ(ぎょめんそうの真似)」とまなかのイミテーションで返した紡くん。
「彼はボケに回ることもあるのか」なんて悠長に構えていた僕だったが、その実まなかとの会話で唯一憶えていたセリフを返答していただけであった。

そして今回の「あの、目のまんまるい子」発言。まなかの名前を憶えていないどころか、こいつマジで魚にしか興味がないらしい。マジか...紡くんマジか。
思い返せば「1話の風呂シーン(いかがわしくない)」で紡くんは「綺麗だ、あんたも」と言っていたが、それは「綺麗だ、あんた(のエナ)も」ということだった。マジか...紡くんマジか。

2話冒頭におけるまなかの回想シーンでは、エナについて語る紡くんの記憶は完全に抹消されているのがつらい。え、なにこの誰も報われない世界。

 

1話終了の段階で、まなかと紡くんがくっついて光の立ち位置がどう変化するか、みたいなストーリー展開をするのかと想像していたが、ここまで爽快にフラグを折られたらその展開はまずあり得ないでしょうねぇ。


などと考えていたら物語は急展開。呪ってほしいまなかとうろこ様のもとに、あかりと父親が登場。例のキスの相手との関係が露呈してしまったらしい。

海村の一人が「見た奴がいたんだよ」と発言している。見た奴とはもちろん光たち4人。
ではそれを告げ口したのは?と考えると、消去法で要になるわけだが、別の場面を別の誰かが目撃した可能性もあるのでそこは何とも。

仮に要がバラしたとして、その事実が光に伝わった瞬間におそらく友達関係は破綻である。2話の段階で胃に悪い展開が続いているので、そういう展開も今後はあるかもしれない。ないことを望む。

というわけで場面を追っての所感は以上。

 

次回に向けての整理だが、まずはガム文字2人組。

肝の据わった女の子(美海というらしい)が「あの女と知り合い?」と訊いていたように、彼女らはあかりに対して不満を持っているらしい。
そして今回の最後の一件。果たしてこれら2つがどう繋がるのかは謎だが、2話ラストの引きからして次回はおそらくあかりにフォーカスを当てた話になるはずなので、彼女らの登場も当然期待される。

 

次に要。

ブランコのシーンで葛藤していた彼であるが、その後そういう立ち位置になるのかはぜひとも気にしておきたいところである。
もし「別の場所に少しでもあこがれを持ってしまえば、辛くなるから」という考えを振り切って、ちさきと結ばれるための布石としてあかりの一件を密告したのであれば、なかなかに最低野郎である。そういうの僕は好きだけどね。


最後にあかり。

正直主人公のきょうだいがここまでフォーカスされるとは思っていなかった。すでにドロドロの4人に加え、あかりの禁じられた恋愛までもが取り上げられるとさすがにしんどい。
ところで、光以外の4人に兄弟姉妹はいるのだろうか。2話の段階で判明していないだけかもしれないが、ちさきなんて弟がいてもおかしくなさそう。そういう角度の話が今後あるのでしょうか。

 

残った謎

・御霊火とは→多分海の中で燃える特殊な火。もうネットで調べたほうが早い気がしてきた。
・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・1話ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは
・あかりのお相手は誰か

 

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凪のあすから 第1話「海と大地のまんなかに」感想

アニメ初鑑賞。原作コミック未読。
素人がテキトーなことを書いているので、訂正や批判等あったらコメントお願いします。

 

当然ながら、以下ネタバレありです。

 

はじめに、主要人物の紹介。
名前(ふりがな)→本ブログでの呼称

先島 光 (さきしま ひかり) →光
向井戸 まなか (むかいど まなか) →まなか
比良平 ちさき (ひらだいら ちさき) →ちさき
伊佐木 要 (いさき かなめ) →要
木原 紡 (きはら つむぐ) →紡くん

どうして紡だけ「くん」づけなのかと不思議に思われるかもしれないが、どうか気にしないでほしい。大した問題じゃない。

 


さて、本編へ。(以下ネタバレあり)

アニメに限らず、第1話というのは説明的になる。
それはそうだろう。人の名前から舞台設定から時代背景から、なにからなにまで視聴者に理解してもらう必要があるからだ。

なにからなにまで、というのは語弊があるかもしれない。しかし物語の中枢というか根幹というか、展開される軸となる部分を見せておくのは、1話における最低限の義務となる。


そういう意味で、光が玄関を開けた直後、海中の世界が広がる風景によって「あぁ、これは海の中に住んでいる人たちの物語なのか」と即座に判別できる。

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光→まなかの構図も1話開始直後に判明

家を飛び出した光の発言。
「やっぱ今朝はしょっぱいな」
これは海の中の世界ということを強調しているのか。単に作った朝食がしょっぱかったのか。あるいは「情けない」「いやな」の含意があるダブルミーニングなのか。

朝食であれば「今朝はしょっぱかったな」になるので不適合か。

 

そして上記のセオリーは人間関係にも適応される。

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この構図がいい。
ちさき→要→まなか(まなかだけ木の向こう側)

 

これはOP映像など、のちのち気づくのだが、光はまなかのことが好きである。そしておそらくちさき→光の構図もあると思われる。
1話からアクセル全開だな、という情感は置いておき、こういう立ち位置にも合理性があるというか、手を抜いていない感じ。今後が大いに期待できる。

後ろの「塩」は駄洒落か?

 

この場面の直後、カメラはちさきの胸をアップするのだが、これが何を示しているのかまったくわからん。けれども悪くないだろう。

 


まなかだけ置き去りに、3人は陸に上がる。
背景に映る古びた橋脚から察するに、昔はずいぶん発展した都市であった可能性。あるいは今の陸地が最近まで水に浸かっていた可能性。

「やっぱりまなかが心配なんだ」
ちさきの言動からは彼女自身、光がまなかを好いていることを知っているようにも受け取れる。横恋慕とでもいおうか。


そして紡くんの初登場シーン。と同時に、まなかとの出会い。

光のモノローグ。
「俺は見てしまった。誰かと誰かが特別な出会いをした、その瞬間を」

これが普通ではないことはなんとなくわかる。
が、海の中に住んでいる人間という設定自体がファンタジーなので、そこまで特別な出来事なのかはちょっとわからない。

 


この日から転校らしく、4人は自己紹介。
光は、まなかが運命の出会いをしたと思われるその相手(紡くん)が同級生で、あきらかに不服そう。

4人の自己紹介。
「ひ、比良平ちさきです。地上の生活に早く慣れることができたらいいなって思ってます。よろしくお願いします」
「伊佐木要です。どうも」
「先島光。地上の奴らは豚臭いっすねー。よろしくブヒィー」
「(まなかは、かませなかったためにタイムアウト)」

これはクラスメイトと同時に視聴者に向けての自己紹介でもある。
この数十秒のくだりで、おおよその位置関係だったり性格だったり、いわゆるペルソナを理解してもらう役割。

女子更衣室でのくだりは、自己紹介の延長であるように思う。
ちさきはお姉さんタイプで、まなかは必然的に妹。

物語の特性上、姉の立ち位置を担う人物は報われないことが多い。自分の気持ちよりも、守るべき対象を優先してしまうからである。
というか、ちさきの髪色が「青」である時点ですでに負けフラグが立っているのがつらい。


一方の男子は、マラソンの練習でしょうか。
まなかの興味はもっぱら紡くん。海の反射と相まって、キラキラ輝く描写が恋心を匂わせている。


学校の帰り道。
光の姉であるあかりは以前より地上の店で働いているようだ。

そこでガム文字を残す小学生2人組。のちのち物語に関与してくることは疑う余地がない。


海に戻ってきた光。
うすうす勘づいてはいたが、というかそれ以上に海と陸の軋轢は大きそうである。
そうして考えると、陸にあったあの錆びた橋脚は、地上と海をつなぐ役割が機能していないというメタファーとして捉えることも可能であろう。

 

ここで出てきた「おふねひき」の説明。 

むかし、人はみんな海に住んでいた。でも、陸にあこがれた人間は海を捨てた。海で暮らせるように、海神様がくれた特別な羽衣を脱ぎ捨てて。
陸に上がった人間たちには数々の苦難が待ち受けていた。日照りが続き、水を求めて争いあう。これを海神様が怒っていると考えた人間たちは、少女を生贄として舟に乗せ、海に流した。
これが「おふねひき」の始まり。今じゃ生贄じゃなく、米やら菓子やらだけど。
海に住む俺らは、海神様と生贄の女がやらかした、その子孫らしい。

 やらかしたって、おい。

 

「エナ」というのがどうやら上の「海神様がくれた特別な羽衣」でしょうね。

そしてまたまた新出単語の御霊火とは、こはいかに。

ついでに誰だようろこ様。生ける神仏的な存在だろうというのは予想できるが。

と思ったら直後のシーンで解説。
光「神様じゃなくて海神様のうろこだろ? 俺たちがまた地上の奴らみたく変なことしないか、見張ってるって」

昨今は様々な擬人化がされているが、よもや鱗の擬人化もあるとは恐れ入る。

うろこ様いわく、まなかは発情期だそう。きっかけは間違いなく紡くんでしょうね。

 


翌朝。
「まーなーかちゃーん」の呼びかけに応答なし。光がずかずか部屋に押し入ると、まなかに呪いがかかっていた。
うろこ様、たしかに「呪うぞ!」と言っていたものの、えげつない。。。


光はまなかに対し「俺が守らなければ」という強い信念を抱いている。
「細っせえ足...」というつぶやきは、彼女の頼りなさや寄る辺なく立ち上がれないことを確信している証拠である。
だからこそ、まなかが紡くんに惹かれている=庇護下にいたはずの人間が、自分の思い通りにならないことに強い抵抗がある。

だが悲しいことに「ひーくんはいいの!」は異性として見ていないということなので光終了のお知らせ。


画面変わって、まなかの逃走シーン。
通例、現実逃避は自己保身であるから、走る方向は画面右側を向く。

しかしまなかの進行方向は画面左側。つまり物語のはじまりを示している。
この例として分かりやすいのが、となりのトトロのオープニング。暇な方は見返してみてほしい。

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派手に転んだまなかの皮膚が剥がれ落ちている。
まなかを探すちさきは「エナが乾いて」と頭痛を訴えている。

どうやら海の人々が地上で暮らすには制限があるようだ。そしてそれは海に浸かると解消される。
おそらく、皮膚の上にエナと呼ばれる薄い膜があり、それが乾く=地上に長く居続けると体調に障る。きっと放置すると命の危険もあるはずだ。


要とちさきの会話
「なんか、敵わないな」
「傍から見てると、ちさきと光のが夫婦って感じに見えるけどね。まなかはふたりの子供って感じ」
「えっ?」
「それにさ、このまま、もしまなか居なくなったら、光の隣にいるのはちさきでしょ?」

 

理解できない点が3つ。

ひとつめ。なぜ要は「夫婦」と表現したのか。中学生であれば普通はカップルとか恋人と言うはず。
ふたつめ。最後の要の発言。友達としてはちょっとあり得ないというか、さらっとそんなことが言えてしまうあたり人格破綻レベル。
みっつめ。そもそもどうしてちさきが光に好意を寄せていることを要が知っているのか。

 

だがこの3つの問題は、「要がちさきを好いている」という仮説によって解消できてしまう。

 

主人公の光が「感情」で動くタイプであれば、要は「理性」で動くタイプである。
つまり要はちさき同様に負けヒロイン属性を備えている。男だからヒロインではないが。

そして要は自分の恋が実らないことを皮肉って、夫婦と表現したのではないだろうか。まぁもしかしたら「まなかはふたりの子供って感じ」ということを言いたいがために夫婦にした可能性も大いにあるが。

最後の発言は自己保身のため。そういうこと言っているとあとで辛くなるのは自分だからやめたほうがいいと思うんだけどなぁ。

 

仮説とは言いながら個人的には確信しているというか。物語的にもそちらのほうが面白いし。
恋心とは、えてして(敵対関係にある)第3者の介入で自覚するものである。すると、要がちさきを好きになったとき、ちさきが光のことばかり見ていたら、否が応でもその事実に気付かざるを得ない。

なにより、まなかが生命のピンチかもしれないときに、ちさきを心配してその後捜索を再開しないってことは、ちさきと2人でいることのほうが彼にとっての優先度が高いはず。


そして倒れたまなかの元に、案の定紡くんが再ログイン。なぜ「野草」の図鑑を持っている?

紡くんは両親ではなくおじいさんと暮らしているらしい。あるいは共働きで帰りが夜遅いとか。
そしておじいさんは海の暮らしに詳しそう。

※この後の紡くんの無自覚イケメンコメントは諸事情により全スルーします。


場面変わって、光と再会したまなか。
「紡くん」呼びに怒りを覚える光。

 

最後の光のモノローグはむしろ説明的すぎるというか、不要だったのではないか。
そのくらいは前のシーンから予想できるだろうし、視聴者にそういった解釈の余地を与えるのも重要だと思う。

 

EDで本編終了。
OPでも思ったが、まなかが主人公のような映像が多い。
まぁ光の物憂げな表情をスローで流されても、てな気もするので良いが。

 

 

第1話終了。

残った謎は以下の通り

・御霊火とは
・ガム文字を残した少女2人組の正体
・うろこ様の正体
・ラスト付近のまなかの発言「おうたの練習」とは

 

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