「ハルカミライ」がメジャーデビューするそうで
THE NINTH APOLLOといえばインディーズ界ではかなり有名なレーベルだが、その中でもとりわけ勢いのあるバンド「ハルカミライ」の1stメジャーアルバムがついに本日1月16日に発売された。
別に古参アピするつもりとかは毛頭なくて、純粋に応援していたバンドがメジャーデビューしてくれたのが嬉しい。
2年ほど前にYouTubeを漁っていたら偶然見つけた彼らの「カントリーロード」という曲のMVを見て、直感的に「これは売れる」と思った。これが僕とハルカミライとの出会いであった。
正直なところこの曲をを初めて耳にしたのは、若手バンドの同じような曲調、歌声、展開に辟易していた時期だった。
だから、今では「カッコいいなぁ」と思う同曲イントロのドラムやギターについても、当初は「あーはいはい、いつものやつね」などと軽くあしらい、歌が始まる前に別の動画を探しに行く始末。
おまけに「カントリーロード」という曲名に呼応して、脳内では「カントリーロォォォー テイクミーホォォォォー」というマジモノのカントリーが流れはじめちゃうし。
今にして思えば烏滸の沙汰である。
けれども橋本学のあの声。
「街外れまで~」というあの歌声が聞こえたその瞬間、スマホの画面をスクロールしていた僕の親指は完全に停止した。
目は確かに、別のアーティスト動画のサムネを見ている。
見知らぬアーティスト名と、見知らぬ楽曲と、投稿元の見知らぬ公式アカウント名を、ひたすらにじぃと見つめている。
しかし僕の耳が、脳みそが、突如現れた橋本学の声に対して完全に為す術なく聴き入ってしまっていたのだ。
「なんやねんこの声、めっちゃええやないかい...」
数秒後、ふと我に返った僕の頭には、混乱していたためか普段使わない謎の関西弁が浮かんでいた。
どうでもいいだろうが、僕は自分の声があまり好きではない。
なよなよしているというか、自分で自分の声のことを「着地点のない声」と呼んでいるのだが、つまるところこれは太くて芯のある声に対して憧憬を抱いているということである。
だからそんな僕にとって彼の声はまさしく偏愛するそれであった。
そんなことを考えている間にも、曲はどんどん進んでゆく。
長すぎないAメロ、勢いを失わないBメロ、そしてキャッチーなサビ。
特に僕の心をくすぐったのは、サビにおけるメンバーのコーラス。
これは別に非難しているのではないが、バンドメンバーのコーラスが入る曲というのはきょうびあまりお目にかかれない。
ボーカル以外のメンバーのうち1人が主旋律に対してハモることこそあれ、コーラスとしてメンバー全員でハモるなんてなおのこと見受けられない。
おそらくボーカルと楽器隊の役割が劃然としているだけなのであろうが、正直その現状に物足りなさを感じないわけでもなかった。
だからたまにワンオクの「Cry out」あたりを聴くと、かっこいいなぁとかもっと他のバンドもコーラス入れればいいのになぁとか、そんなことを漠然と考えていた。
そんな矢先のこの曲。
まぁ正直なところ、インディーズらしさ、あまりこの表現は好きじゃないけれど「荒削り」だとか月並みな表現をすれば「勢いと若さ」で保っている部分も多分にあると思う。
おそらくこの曲はライブ化けするタイプで、CDだけを聴いて論じるのはナンセンスというか、的外れなのだろう。
けれどもこうやって横車を押してまであれこれ書きたくなるのは、純粋に嬉しかったからなのだ。
カッコいいサウンドで、カッコいい声で、カッコいい歌詞書いてサビで爆発して。
そのうえ僕の好きなコーラスまで入っているんだから、いやぁ最高じゃないか。
だから僕は思った。
このボーカルはさぞ男前で、おなごにおモテになるのだろう。
自分の経験上、というか先例に倣えば、いい声の人はいい顔面を持っている。
サビまでワンコーラス聴いたのにいまだ再生画面を見ていない僕の脳内には、勝手に苦み走った顔で高らかにこの曲を歌い上げる貴公子的な人物の顔が想起されていた。
そんな杓子定規な想定は、動画の再生画面をポチッと押した直後に一転する。
まぁ何はともあれ見てください。
はじめに思った感想。
顔がうるさい。
これに尽きる。
なんかね、いや、正直ね、でも逆にね、逆に嬉しかったんだよ。
歌い方とか表情とかもう最高にロックじゃないですか。いや違う、パンクじゃないですか。
なんというかこれでは語弊があるかもしれないけど、ボーカルの橋本学を目の当たりにした瞬間、僕は彼らのファンになりました。
ちょうどその頃「センス・オブ・ワンダー」というアルバムが発売されるという情報が出ていて、その時YouTubeにアップされていた「アストロビスタ」や「宇宙飛行士」などの曲も好みにどストライクだった。
そうしたMVをはじめ、webではアルバム収録曲の試聴もできるので、アルバムを購入する踏ん切りがつかない僕のような人間でも充実した音源の数々を耳にすることができた。
その後はしかし、僕個人が忙しくなったのとYouTubeを漁るという行為が減少したこともあり、新曲が出てもツアーの内容が発表されても僕の耳に届くことはなく、たまの数ヶ月に1回程度オフィシャルHPを訪問するぐらいしか気にすることがなくなってしまっていた。
だから彼らのことを「ずっと応援していました!」とか「ハルカミライ大好きです!」というセリフは厚かましいので口が裂けても言えないが、いや口が裂けたら言えないんだけど。
そんな変遷を経て、先日ふと「ハルカミライ元気にしてるかなぁ?」と思って軽い気持ちでHPを見たらメジャーレーベルから初のフルアルバムをリリースするとか書いてあるじゃないですか。
おまけに昨年の10月にリリースされたこの曲。
なにこれめっちゃイイ。
もう一回書いちゃうけどなにこれめっちゃイイじゃないの。
初めて聴いたときは「メジャーを意識した曲かな?」なんて思ったりもしたが、これ。
本人が2018年のベストソングにセレクトしちゃっている。
いや、何が心配かって、もちろんメジャーデビュー進出を標榜して活動を続けるアーティストも沢山いると思うんだけど、レコード会社の意向で本人(たち)の意にそぐわない売り出し方をされて、結果解散みたいな。
そういうパターンって、少なくないと思うんですよ。
特に若いバンドだからってことで過度に心配してしまったんだけど、同曲を自薦するくらいなのだからメジャーだろうとインディーズだろうとどこ吹く風なんでしょう。
それに、本日発売のアルバムのティーザーもYouTubeで公開されていたが、みんな生き生きしているし、なにより楽しそう。
彼らより年下の僕だけど、若いっていいなぁなんて思ってしまう。
なんでもマネジメント業務は引き続きTHE NINTH APOLLOが執るらしく、とてもストレスの少ないメジャーデビューだと思う。
さて、ちょっと長くなりすぎたので、そろそろまとめます。
さきほどから橋本学にしか触れていないが、でも野球がピッチャーに左右されるようにバンドもフロントマンの力量がいちばん重要なわけで。
力量、つまりフロントマンは某かカリスマ性を持っていなければ一般的に言われる「売れる」「人気が出る」という状態には至らないと思う。
今話題のQueenのボーカリスト「フレディ・マーキュリー」は、まさに希代のカリスマであった。
国を越えて時空を越えて人々の心を動かし、揺さぶるような力、それがカリスマ性であるように思う。
そして僕個人の考えとしてハルカミライのボーカリスト橋本学にも、カリスマ性というのは備わっているように思うのだ。
だからきっともっと売れる。というか売れてほしい。
いやむしろハルカミライが、橋本学が認められるような社会になってほしいと、そう切に願っている。
まぁ何が言いたかったかというと、とりあえず皆さんも聴いてみてください。
そして気に入ってくれたら嬉しいです、以上。