お金がほしい

お金がほしい

2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

ロック好きならQueenの映画を観て欲しいなぁと。

ロックバンドQueenの映画が11月9日に全国放映開始ということで、小学校1年生のときからのファンである僕は公開初日に映画館に足を運んだ。

公開日に映画を観にいくなんてこと、わが人生において初めてのことだったかもしれない。
・・・などと書いておくと、僕がどれだけこの映画を見たがっていたのかというのが伝わったのではないかと思う。伝わらないか。


でも、Queenが映画を撮り始めたらしいという情報が入ってきた数年前からずっと楽しみにしていたこともあったので、このたび初日に映画館へ足を運べたのは感激の極みというか、それゆえ感動も一入であった。
僕つまるところ僕は大学生なので平日の昼間から映画を観ることができたというだけなのだが、これもまた特権であろう。

 

さて。いざ映画館に入ってみると、空席率7割、といったところか。
田舎の映画館ということを差し引いても、金曜の16:00上映開始だったため客層もリタイアしたジジババか主婦のような人しか見受けられなかった。


なので誰もポップコーンを食べていない。

僕は映画館≒ポップコーンという強烈なイメージを抱いたままこれまで生きてきたのだが、入り口から座席を見上げると、スマホを弄る男性やじぃと何も映っていないスクリーンを見つめる高齢男性ばかりが目に入った。

映画館あるあるとして、調子に乗ってLサイズのポップコーンを買ってしまったがゆえになかなか食べきれず、映画終盤の重要なシーンでボリボリとポップコーンを貪る音がシリアスな雰囲気を台無しにすることがあるんだけど、今回は全くその心配は要らなかった。
どうでもいいですね、この情報。


けれども、高齢男性が何も飲まず食わずで数時間座っていると、口臭という環境汚染物質を排出し始める。
特に映画に夢中になると口呼吸になる人が多いので、口腔内が乾燥して菌が繁殖し、もはや歩く下水道処理施設と化す。


案の定今回の映画も残り数十分あたりからものすごく臭かったし、右隣ではBBAがいびきをかいて寝ているし、そのあと起きたと思ったら横に座っている旦那に大きめな声で「寝ちゃってたわ~」とか会話し始めちゃうし。
なんやねん。


・・・と、ここまでQueen微塵も触れていない我がブログ。
完全にタイトル詐欺ですわ。


とはいえ、今回の記事ではネタバレをしようという気はさらさらない。
ファンならではの楽しみ箇所もたくさんあるし、初見の(Queenやフレディのことをあまり知らない)人にとっても十二分に楽しめる映画になっているように感じた。

まぁところどころ時系列がおかしいというか、「こりゃ映画用に歴史を改変したな」と思う点もいくつかあったけど、そんなの気にならないくらい最高の映画だった。


ただ、もし今後この映画を見に行こうか迷っている人がいるならば忠告したいことがある。
Queenのフロントマンであるフレディはかなり性に奔放だったため、そういうシーンやああいうシーンも存在する。

けれどもこれはとてもとても重要な場面なので、絶対に削れない。

まぁ強いてQueen初心者の方にアドバイスするならば、「メンバーの名前と、メアリー・オースティンという人間と、ポール・プレンターという人間と、ジム・ハットンという人間がどういう関係であったのか」を予習しておくと理解度と楽しさが倍増すると思います。
知らなくても全然大丈夫だとは思うけど。

 

そして言及すべきは、役者さんの見事な演技。

フレディ役のラミ・マレックはフレディの過剰歯を本当に過剰にデフォルメしているのが最初違和感だったけど、でもよくよく思い返せばフレディもインタビューであんな感じだったわ。ラストのほうではラミの背中がフレディにしか見えなかった。いやはや感動。
ブライアンは話し方と声が似すぎ。もはや怖い。
ロジャーはもうちょっとイケメンだったと思うけど、性格やセリフ回しは予想通りというか、純粋に満足。
ジョンは・・・色々考えたけど何も思い浮かばなかった。

歌声は当時の音源をそのまま流用していたり、たまにラミがそのまま歌っていたり、フレディの声に似ていると言われているマーク・マーテルが担当していたりと、全体を通じて違和感はあまりなかった。

総じて言うならば、非常に満足度の高い映画だった。
多分僕自身のQueenに対する思い入れが強すぎるせいもあるけれど、これまで観てきた中で一番いい映画だったと思う。

 

しかし、僕がこの映画を色々な人に見てほしいのは純粋にQueenを知ってほしいからとか、ラストが感動できるから観てね~とか、そんな薄っぺらい理由などではない。

かつて「華やかな孤独」というタイトルの著書にも記されていたロック歌手のあまりに茫漠な孤独と、それに圧し掛かるセクシャルマイノリティーのストレスと、そして4人のバンドメンバーという個性がぶつかる生々しさ。
何よりも、フレディ・マーキュリーという人物を生き抜いた、彼の生き様を目に焼き付けてほしい。

もちろんこの映画は役者による再現で、史実と異なり、たくさんデフォルメもされて、ご都合主義なのかもしれない。
制作途中で監督逃亡して頓挫しかけていたし。役者も全然定まっていなかったし。

でも今や伝説と謳われるQueenが、フレディがどのような人生を歩んだのか。
ロック好きの人間がそれを知ったところで、別にバチは当たらないと思うのです。


とにかく僕にとっては特別な映画だった。隣で寝ていたおばあさんには退屈な映画だった。ただそれだけのこと。

 

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