尽きない
たまに、人間というのはなんて薄情なんだと嘆きたくなるときがある。
それは本当になんてことない、他人からすれば取るに足らないことなのかもしれない。
でも僕は、そんな人間がイヤだし、そんな自分が嫌いだ。
僕が「流行」という一過性の現象を疎ましく思っているのはそういった所以である。
一発屋芸人がチヤホヤされるのはせいぜい半年が限界で、その後はメディア露出なんて皆無に等しい。
まぁしかし、それは単に実力不足に因るところも大きいので一概にその現象を否定すべきではない。
現に最近彗星のごとく現れた芸人の中でも、あばれる君やブルゾンちえみなんかは息が長い部類に入る。
これは本人の努力があってこそだとも思うが。
ただ、オリンピック効果の大きいカーリングだって今後そうなるのだろう。
きっとこのオリンピックが終われば、カーリングの女子代表選手がいくつかのテレビ番組に呼ばれて丁寧にもてなされてチヤホヤされるに違いない。
これはなでしこジャパンが優勝したときも同じような現象が起きたので、容易に予想がつく。
だがなでしこジャパンもカーリングの代表選手も、それぞれちゃんとした本職があるのでメディア露出が減ろうがあまり支障はないだろう。
芸人にとっては死活問題になるかもしれないが、スポーツ選手はむしろ無駄な時間が減るくらいの認識かもしれない。
しかし彼ら彼女らがテレビに呼ばれなくなると、どのように感じるだろうか。
テレビに引っ張りダコになるスポーツ選手は、口を揃えて「自分たちがメディア出演することで少しでも競技人口が増えるきっかけになれば」と嘯くが、その真意は定かではない。
正直なところ、メディアに良いように使われ、要らなくなった頃に捨てられただけのように感じる人もいるのではないだろうか。
僕はそう思ってしまう。
というのも中学でサッカー部に所属していたとき、こんなことがあった。
僕は20人近くいた部員の中でも技術が上のほうではなかったため、毎日のように先輩に怒鳴られ脅され、時に蹴られることもあった。
「たいして好きなスポーツでもないのに、どうしてこんな思いをしなければならないのか」とは思いつつも、練習は休むことなく参加していたそんなある日。
練習の一環として高校生の女子サッカー部と練習試合をすることになった。
僕はそのときなぜか試合に出場して、そして5人抜きの末にゴールを決めるという結果を残した。
するとそれまで僕を褒めたことのなかった顧問が、試合後に全員の前で僕をベタ褒め。
正直褒められるのは嫌いじゃないし、結果を認められたのは嬉しかったので喜んでいた。
だがその直後、それまでさんざん僕を痛めつけてきた先輩たちが手のひらを返すように僕を持ち上げ始めたのだ。
「お前マジですごい」とか「いつかやる男だと思っていたんだよな」とか、そんな感じの言葉を投げられたような気がする。
ここで、僕は一気に冷めてしまった。
「あぁ、こいつらは権力者の言葉に迎合して踊るような人間だったのか」と、そう思って軽蔑した。
それまで僕に文句ばかりつけていた先輩は、たしかに口は汚いが実力は僕の何十倍も上で、その能力に関しては尊敬に値する人間だった。
だがその一件を経てからというもの、その人たちは僕にとってただ憎むべき存在となった。
無論、その次の日の練習では相変わらずの態度であったことは言うまでもないだろう。
こういうことがあったから、僕は「情報操作」が嫌いだし「流行」も苦手になった。
それは忘れ去られた後の虚しさに、身に覚えがあるからだ。
あれほどの寂寥感もそう簡単に転がってないだろう。
いつしか笑顔を見せていた人間が、顔を向けるどころかその存在すら忘れてしまうという薄情さを、どう許容すればいいだろう。
・・・なんてね。
ただの独り言です。
※それから、本日こんなメールが届きました。
ブログ自体はSeesaaブログ時代から数えるととっくの昔に半年は過ぎていますが、はてなブログに移行してから今日で半年だそうです。
感慨深いやら、一向に増えないアクセス数に虚しさがこみ上げるやら。
とはいえ今後ともよろしくお願いいたします。