お金がほしい

お金がほしい

2020年10月をもって更新をストップします。永らくのご愛読ありがとうございました。

公共の場でイチャつくなよ...

僕は休日になると大抵家の中に引き篭もる。

家が好きだから、というよりは外が嫌いという理由のほうがこの場合最も適切な表現なのであるが、ともあれこの季節になると外のクソみたいな暑さも相まって一段とその思いが強くなる。

玄関を開けた瞬間頬を撫でる生暖かい風。
誤って温めすぎた食品を電子レンジから取り出すときと同じ風が吹く。

痛いくらい照りつける太陽の下、今からこの灼熱地獄を自転車で駆け抜けねばならないという残酷な運命を平日に味わい尽くせば、休日たるもの部屋で漫然とゴロゴロして過ごすという選択肢が最有力候補になっても何ら不思議はない。

とはいえ僕はこういった炎天の日だけでなく春夏秋冬いつでも何かしら言い訳がましい自己正当化をして部屋に閉じ篭もるのだが、その最たる理由とは他人と関わりたくないというものである。

もう人間落第。
いつの間にかニートのエリート志向みたいな考え方になってしまっていた。

しかし、さすがにそこまではいかないものの人混みが嫌いという人は割と多いのではないだろうかと予想する。
お正月の浅草寺とか、バーゲンセールのショッピングモールとか、夏の花火大会とか。

まさに人混み。ムスカ大佐も嬉々としてあのセリフをのたまってくれることだろう。

よく皆さんあんな戦場に自ら志願して赴くよなぁと尊敬してしまう。
いや、これは皮肉でも何でもなくて、素直に凄いなぁと思っているのだ。

僕クラスの人混み嫌いともなると、「イベント」と聞くだけでイライラ度がMAXに達する。

イベント=人混み
この方程式はちょっとやそっとで瓦解するほどヤワではない。

もちろん密集度に関して言えば朝の通勤電車のほうが遥かにえげつないが、何と言えば良いだろうか。
満員電車に乗っている人は大抵これから職場に向かう人であり、彼らの感情は憂鬱ばかりではないにしても決してお祭り気分ではない。
全員が自らに課せられたある種の使命を全うすべく、仕方なく人混みを形成しているのだ。

しかしイベント時の混雑というのは参加者全員が浮かれている。

普段電車のアナウンスをちゃんと聞いている人もその日ばかりは彼氏彼女にベッタリで、腕時計を見ながら人と人の隙間を華麗に避けるスキルも封印し、時速2キロくらいのペースでのんびりと歩いてゆく。

誰もまともに前なんか見ちゃいなくて、その目を独占するのは恋人かセール品かはたまた花火か。

そんな空間に僕みたいな人間が行くと数秒で息が持たなくなる。
だから休日は基本何をするでもなく家に篭もっている方がマシなのだ。


ところが平日であるはずの今日、こんな出来事があった。

僕はそのとき電車に乗ろうとして駅に来たのだが、着いてみると電車が到着するまで少し時間に余裕があった。

だったら上にある本屋にでも立ち寄るかとエレベーターに乗ってその後少しブラつき、頃合を見計らって帰りのエレベーターを待った。
エレベーターは間もなく到着し、僕を含めた数人が入れ違うように中へ入ってゆく。

そして最後にカップルらしき制服姿の高校生の男女2人が乗って扉は閉まった。

この時はまだ「チッ、平日からデートですかそうですか」と思いつつもその存在を無視していたのだが、しかし彼らがエレベーターに乗り込むと彼氏であるクソ男がまさかの行動に出たのだ。

・・・なんて書くとちょっと期待させてしまうが、そこまで大したことではないので。

では例によって図を。。。
図3.png
エレベーター内はこんな感じの配置だったはず。

そしてエレベーターが動き出すと、彼氏っぽい男はモゾモゾと手を動かし徐ろに彼女のスカートにまでその手を回し始めた。
そうかと思えば、なんと彼氏は彼女のスカートの中にそのまま手を入れようとしたのだ。

コイツエレベータで何してんだよ!
心の中の僕がシャウトした。

2人は密着していて、というか彼氏が彼女に体を密着させていたので手のモーション自体はさほど大きくなく目立ってはいないため、どうやら彼氏は他の乗客にバレていないと思い込んでいるらしい。

一方の彼女はというと表情を変えぬまま彼氏の手をブロック。
「やめて」とばかりに彼氏の手を軽く叩いた。

だがこれで彼氏の暴走は終わらない。

すると今度は、何を血迷ったか彼女のスカートの裾を掴んでヒラヒラとめくろうとした。

な、何やってんだこのクソガキが!

もう僕のロックンロールも止まらない。ミックジャガーのシャウトも聞こえてくるようだ。

だがそれまで無言で彼氏の魔の手を防いできた彼女もさすがにこれはアウトだと...

「も、もうっ!ちょっとやめてよね////」

あれ?喜んでる?
何だコイツら2人揃って変態なのか?

小声で彼氏にそう言った彼女の表情は、怒っているようでとても嬉しそうなものだった。



まぁそうしてこの一連の流れに唖然としているうちにエレベーターのドアが開き、彼らは体を密着させたまま去っていった。

僕も電車の時間があるので早々に出ようとすると、彼女の後ろに立っていた乗客のおっさんがニヤついた顔で僕の目の前を通り過ぎていった。
チラリと他の乗客を見ると、どうやら全員が気付いていたらしい。ドンマイだな彼氏。

でもそういうのは本当にやめてほしい。
コッチにも心の準備ってモンがあるからさ。

シラフでアキラ100%のモノマネ芸見るみたいな感覚だよ、ホント。

はぁ。こんちくしょうめ。
高校終わりでホテル通いですかそうですか。
女を落として金も落として経済回してくれてありがとう。
恨めしい憎たらしい羨ましい。

彼氏だけかと思ったら彼女も変態なのかよ。
ついでに後ろにいたおっさんも変態なのかよ。

これだから外には出たくないのだ。

でも一番の変態はこの状況を詳らかに憶えてここに書いている僕ですよねぇ。
本当にごめんなさい。